SUPER GT第3戦『SUZUKA GT 450 km』が4日、三重県の鈴鹿サーキットで開催された。GTアソシエイションの定例会見で、坂東正明代表は「今シーズンのGT300クラスへのカーボンニュートラル燃料(CNF)の導入を延期し、来シー…

SUPER GT第3戦『SUZUKA GT 450 km』が4日、三重県の鈴鹿サーキットで開催された。GTアソシエイションの定例会見で、坂東正明代表は「今シーズンのGT300クラスへのカーボンニュートラル燃料(CNF)の導入を延期し、来シーズン導入を目指す」と説明した。

GT500クラスでは今シーズン開幕からこの燃料を使用しており、GT300クラスも同じようにシーズン当初から使用する予定だったが、導入が延期されていた。

◆2030年にCO2半減
SUPER GTでは、2030年までにシリーズ全体のCO2排出量半減を目指した環境対応ロードマップ『SUPER GT Green Project 2030』を2022年に発表しており、シリーズ全体のカーボンニュートラル化を推進している。昨シーズン終了時にドイツのハルターマン・カーレス社製の『GTA R100』というCNFを使用して走行テストを行ない、GT500クラスでは今シーズン開幕からこの燃料を使用している。

GT500クラスはメーカー系のチームがマシンを走らせており、エンジンは、トヨタ・日産・ホンダで規格が統一された、排気量2000ccの燃料直噴シングルターボエンジンのNRE(ニッポン・レース・エンジン)を使用していることもあり、CNF対応についてはメーカー内で開発を行い、燃料の素性に合わせて燃焼効率などを制御できている。

◆GTクラスはエンジンの種類が多い
GT300クラスでは、FIA GT3マシンはマニュファクチャラーから販売されているエンジンを使用するため、カスタマーであるチームが、CNFに合わせて、機械的な部分の変更や、燃焼に関するプログラムなどの変更は難しい。

FIA GT3とひとまとめにしても、ホンダ「NSX GT3」のV6ターボ 3500cc、メルセデスのメルセデスAMG「GT3」のNA V8 6200cc、アウディ「R8 LMS」の直列10気筒 5200cc、日産の「GT-R NISMO GT3」のV6 ツインターボなどがある。

さらにGT300やGT300 MCなど、いわゆるJAF GTと呼ばれる国内で製造されたGTカーでは、トヨタ『GRスープラ』や『GR 86』のNAのV8 5400ccのエンジンや、スバル『BRZ』の水平対向4気筒2000ccなどがあり、さらに種類が増える。

◆CNF対応でチームの負担が増える
FIA GT3マシンのチューニングに関しては、マニュファクチャラーと連携をはかりエンジン制御や燃料に合わせた調整などが必要になるが、メーカーのエンジニアが帯同しているわけではないため細かく制御ができない。さらに燃料を変更してトラブルやエンジンが壊れた場合は、チームで修理代を負担しなくてはならないため、チームによっては、エンジンを複数用意したり修理などのコスト増を敬遠したところもあるだろう。

これらのコストやリスクを考慮し、GT300クラスでのCN燃料を徐々に使用できるようにGTAでも配慮していた。さらにGT300クラスの燃料対応にあわせた占有走行なども開催したが、マニュファクチャラーの対応にさらに時間を要するということもあり、今シーズンのGT300クラスへの導入を延期することなった。

GTA坂東代表も「国内のハイオクガソリンにしても夏と冬で同じハイオクを売っている訳ではない、それと同じようにCNFに関してもいろいろ違う部分はある。開幕戦や第2戦富士では気温が低かったこともあり、ハイオクに対してCNFは揮発性が低く、エンジンオイルにCNFが混ざりやすくなっていた。各マニファクチャラーで対応してもらっており、エンジンベンチテストでは問題無くても実車に載せると問題が起きたりする。それらの対応を各カスタマーチームに負担してもらうわけにもいかない」と導入延期に関してコメントする。

「CNFでいくという意思統一はできているので、その方向性ですすめていくことは間違いない。そのために燃料供給元のハルターマン・カーレス社と意見交換をしていく。当初言われていた強い匂いや目にくる刺激など、改善されている部分もある」と燃料自体も進化しているという。