群馬県の群馬サイクルスポーツセンター(以下 群馬CSC)で、「東日本ロードクラシックDAY2」が4月30日に、開催された。JBCFロードシリーズ内の最高峰リーグJプロツアーの第7戦であり、前日の「DAY1」との連戦として設定されたものだ。※…

群馬県の群馬サイクルスポーツセンター(以下 群馬CSC)で、「東日本ロードクラシックDAY2」が4月30日に、開催された。JBCFロードシリーズ内の最高峰リーグJプロツアーの第7戦であり、前日の「DAY1」との連戦として設定されたものだ。

※東日本ロードクラシックDAY1の模様はこちら

「DAY2」も前日の「DAY1」同様、群馬CSCの6kmサーキットを逆回りで用いるが、距離は10周60kmという短い設定となった。天候が思わしくなく、雨の中での開催ではあったが、150kmの設定だった前日の半分以下の距離となり、ハイペースとなることが予想された。





群馬CSCの6kmサーキットを逆回りで用いる

先頭には、個人総合首位の証である赤いリーダージャージの岡本隼(愛三工業レーシングチーム)とU23の首位である白いリーダージャージの岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)が並ぶ。



赤いリーダージャージを切る岡本隼(愛三工業レーシングチーム)らを先頭にスタート



ローリングスタート方式で木々に囲まれたコースをゆっくりと進む集団

パレード区間を終え、リアルスタートが切られて2周目に入ると、橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)と、リーダージャージを守り抜きたい岡本隼の2名が飛び出した。この動きに、後方集団から合流する選手が相次ぎ現れ、レース半ばの5周目までに12名の先頭集団が形成されることになった。



リアルスタートが切られ、一気にレースモードに突入する



早々に橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)と岡本隼が抜け出した

この集団内には、近年優勝を続けるマトリックスパワータグから、前日も逃げ集団に入ったホセ・ビセンテ・トリビオ、前日も表彰台に乗った超ベテラン、フランシスコ・マンセボ、小森亮平(以上、マトリックスパワータグ)や、昨年の全日本選手権準優勝の新城雄大、前日の覇者である孫崎大樹、過去にはジロ・デ・イタリアにも出場経験のある山本元喜(以上、キナンレーシングチーム)が入っていた。さらに今季補強を行い、好調のシマノレーシングからも、石原悠希、横山航太、天野壮悠(以上、シマノレーシング)の3名が入り、3名を送り込めた3チームが有利な状況に。



先行した2名を追走してきた小集団が合流

一方、動きの契機になった岡本が所属する愛三工業レーシングチームは鈴木譲(愛三工業レーシングチーム)が合流したが、チームブリヂストンサイクリングは、橋本1名のみと、少々、分が悪い状況となった。



先頭集団を牽引するフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)

ハイペースで推移するメイン集団との差は30秒前後で推移し、同じ状況のまま、周回を重ねていく。



リーダージャージを着る岡本も、積極的に先頭集団のペースを作る

先頭に1名しか送り込んでいないチームブリヂストンサイクリングは、このままレースを終わらせるわけにはいかない。後半に入ると集団コントロールを始め、強烈な牽引で差を詰め始めた。

※レースはさらにペースアップ!優勝争いの行方は……!? 次のページへ→



逃げ切りに向け、先頭集団もペースアップを図る



メイン集団もペースアップし、一列棒状となり、先頭集団を追う

これを受け、先頭集団も、逃げ切りたいキナンレーシングチームのメンバーを中心にペースアップを図ったが、8周目までに吸収され、レースは振り出しに戻った。



メイン集団との差が詰まり、先頭を牽引し、ペースアップを図る新城雄大(キナンレーシングチーム)



先頭集団後方にメイン集団が迫る

スプリント勝負に持ち込みたいチームブリヂストンサイクリングが集団の先頭に立ち、コントロールを固持したまま、最終周回へ入った。



チームブリヂストンサイクリングが強力に牽引し、ハイペースを刻む集団

各チームはスプリント勝負に向け、先頭付近に集まり、位置取りを始めた。



最終周回、強烈な位置取り合戦が始まる。先頭を固めるチームブリヂストンサイクリングに並走して挑むシマノレーシングの隊列

ラスト3km、シマノレーシングが隊列を組み、先頭に立つチームブリヂストンサイクリングと並んだ。どちらも譲らないまま、ラスト1kmへ。



ここまで牽引してきた入部正太朗(シマノレーシング=写真左)が駆け上がるのを確認する中井唯晶(シマノレーシング=写真右)

シマノレーシングの隊列が先行し、ラスト200mに突入。中井唯晶(シマノレーシング)に引き上げられた入部正太朗(シマノレーシング)が加速し、先頭に躍り出ると、誰も寄せ付けぬままフィニッシュラインに飛び込んだ。中井もそのままガッツポーズで、2位でフィニッシュ。シマノレーシングのワン・ツーフィニッシュとなった。シマノレーシングからは、石原悠希が4位にも入り、3名が上位を占めた。3位には、単騎で上がってきた北野普識(イナーメ信濃山形)が入っている。



入部が優勝し、中井も2位に入り、シマノレーシングは1-2フィニッシュを決めた



表彰台に立つ、入部、中井と北野普識(イナーメ信濃山形)

この日のレースについては、入部は「路面もウェットで、距離も短く、難しいレースになる」と覚悟していたという。終始ペースが速く、さらに最終周回は前日の展開(2名で抜け出して勝った)を踏まえ、警戒が強く、ペースが上がり、終始、脚力を奪われる厳しい展開だったそうだ。そんな中、シマノレーシングは、序盤の逃げに3名を送り込み、有利な展開となり、後半は中井、石原、佐藤が入部を守り、位置取りなどのアシストに徹し、入部は脚力を保つことができたという。中井が「完璧としか良いようがない」リードアウトで最後まで入部を引き上げ、勝利することができたと、チームメイトへの感謝を語った。上位に3名が入るこの日の結果への喜びを語るとともに、この後に重要なレースが続くことを受け、「(チームとして)はずみをつけて頑張っていきたい。楽しみです」とインタビューを締めくくった。
5月はツアー・オブ・ジャパンや、古座川ロード、ツール・ド・熊野などのUCI(世界自転車競技連合)認定の国際レースが続く。Jプロツアーの次戦は6月4日で、熊野の最終日と同日の開催になる。



個人総合、U23のリーダーを守った岡本隼と岡本勝哉。勝哉は総合首位への差も詰めている

個人総合のリーダーは、岡本隼が守ったが、U23のリーダーを守る岡本勝哉が個人総合2位に迫っており、この2名のポイント差は166。展開によっては、1レースで覆ることも。同時に、他の上位選手間の点差は、まだそれほど大きくないため、いつでも覆る可能性がある。今後の展開に注目したい。

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【結果】
Jプロツアー2023第7戦
東日本ロードクラシックDAY2(60km)

1位/入部正太朗(シマノレーシング)1時間27分9秒
2位/中井唯晶(シマノレーシング)+0秒
3位/北野普識(イナーメ信濃山形)+0秒
4位/石原悠希(シマノレーシング)+0秒
5位/孫崎大樹(キナンレーシングチーム)+0秒

【Jプロツアーリーダー】
岡本隼(愛三工業レーシングチーム)

【U23リーダー】
岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)

画像提供:JBCF(一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟)

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【Jプロツアー2023・レポート】
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