『世界卓球2023南アフリカ』が5月20日(土)~28日(日)に開催される。

2年に一度の個人戦となる今大会は、男女シングルス・男女ダブルス・混合ダブルスの5種目で行われ、大会序盤からメダル決定戦が予定されており、連日のメダルラッシュに期待が高まる。

今年は、東京五輪女子シングルスで銅メダルのエース・伊藤美誠をはじめ、昨年の世界卓球(団体戦)で中国選手から2勝を挙げた張本智和が出場予定。前回混合ダブルスで銀メダルの張本/早田ひなペア、女子ダブルスで銀メダルの伊藤/早田ペアが今回もタッグを組む。

戦いを前に、早田ひな(日本生命)にインタビューを行った。

Q.世界卓球は今回で何回目?

2017年からなので、(2020年がなかった)6回目ですね。

Q.ベテランの域に入ってきている?

そんなことないです(笑)。でも、私も6回出た感覚はあまりないです。団体戦2回があまり出場できていなくて個人戦のイメージの方がすごい大きいので、「もう6回目なんだ」という感じです。

小さい頃はテレビのテロップで何回目出場と書いてあるのを見ている側だったので、自分が出る側になって6回目というのは少し感慨深いです。

Q.今回、3種目に出場(シングルス、女子ダブルス、混合ダブルス)。まずはシングルスについて

(2022年の団体戦では)相手どうこうというよりも、自分のコンディショニングを整えることができなかったので、自分が思うような卓球ができなかったです。

台やボールの感覚だとか、環境にあまり慣れないまま終わっちゃったなという感じで、そこは悔しい部分でした。

団体戦だからこそベンチに座って目の前の試合を見ることができるという良さも収穫としてありました。中国人選手と試合はできなかったですが、間近で見て感じることができたことが唯一良かったなと感じました。

Q.今や日本中、世界中から憧れの目で見られる存在になってきているが、どんな景色が見えている?

地元に帰る時間がなかったり、ずっと海外に行っていたり国内の大きい大会に出ていたりすると、応援してくれている人達と直接会うことができないので、「そういう私を憧れとしてくれている人はいるのかな」と思ったりします。

今はSNSを通じて色々な応援メッセージをもらったり、この前のTリーグファイナルでお客さんが自分たちのために足を運んで会場に来てあの応援をしてくれるというのが見えた時に、「あー、やっぱり卓球をやっていてよかったな」とすごく思いました。

それと同時に、日本代表の早田ひなとして自分自身が色々な人に応援してもらえて、尊敬されたり憧れてもらえるような選手になりたいなとすごく感じました。

自分に対する期待値が上がっているからこそ、結果が出ないと色々なことを言われてしまいます。

前まではそういう評価はあまりなかったのですが、1回、2回負けただけでも結構言われるのは、この実力になって皆さんに「勝って当たり前」と思ってもらえているからこそだと思います。「そのポジションまで自分が来たんだな」とすごく感じています。

今まで戦ってきた伊藤選手や石川選手、男子だと張本選手も、そこで自分を超えて更に強くなってきて今の実力があるんだなと思いました。

私はまだのぼった段階で、ここからもっと更に研究されたり、プレッシャーがかかったり、絶対に勝たなきゃいけない状態の中で試合をしていかなきゃいけない回数が増えていくと思います。

その中でまた自分自身がそれに鍛えられて強くなっていくんだろうなという楽しみはあります。

Q.嬉しいような苦しいような?

そうです。でもそこまで行ったからこそ新たに出てきた悩みや苦しさ、それをまた越えられた時の楽しさを糧にどんどん頑張っていくんだろうなと思います。

それがあるからこそ常に成長できていくと言うことはあると思うので、それをプラスに捉えて「乗り越えてやろう」という強い気持ちで頑張っていきたいです。

Q.世界卓球シングルスでの目標は?

シングルスに出るのは2回目で、昨年は自分の最低ラインのところまでは行ったんですが、そこからの壁を感じました。

中国選手を『一つ越える難しさ』をすごく感じた大会でもあって、あの時は自分自身の状態もパフォーマンスも悪くなかったのですが、それでも技術・メンタル・パワー・体力、全てに課題が残った大会でした。

それを経験して全日本で三冠を獲ったのですが、それは技術もそうですし、時間配分や練習時間の調整、色々な経験を踏まえての三冠でした。

世界卓球でも色々な経験を活かして、自分自身が試合で100%の状態でできるように調整していかないといけないなと思います。

前回よりもっと自分自身を突き詰めて成長してきた部分があるので、その部分では中国人選手とやるのを一番の楽しみにしています。勢いの部分で楽しみということは今までもあったんですが、今回は実力で戦うことが楽しみで、自分自身が一番自分の試合に興味があります。

それまでに負けないようにする力を付けることも大事ですし、技術だけじゃなくて体力面や精神面も整えて試合に入っていきたい。

Q.混合ダブルスについて。前回は表彰台にも上がって、張本智和選手とのペアは日本を代表するペアになっていると思うが?

男子選手のボールを打ち返したいという気持ちを持っているだけでも、多分混合に可能性があるんだなと最近すごく感じています。小さい頃から物怖じしない性格で、どんなことにも突っ込んでやっていくようなタイプなので。

男子選手のボールが怖いと思ったことがあまりなくて、それが混合ダブルスで活きている部分かなと思います。

決勝では、王楚欽/孫穎莎ペア(中国)と戦いましたが、そこが大本命ではあると思うのでどう崩して立ち向かっていくか。真っ向勝負する時も大事だと思いますし、それを回避する時も大事だと思います。

張本選手の強さに自分がしっかり乗っかって、二人で力を合わせて頑張っていきたいなと思います。

Q.女子ダブルスのみまひなペアも一番有名なペア。毎回必ず中国ペアが立ち塞がるが?

前回(3月のWTTシンガポールスマッシュ)で負けた王芸迪/陳夢ペア(中国)も一人一人の質が高いので、そこをどう崩していくか。まずは凡ミスをせずにちょっとずつ相手にプレッシャーを与えることが一番大事だと思います。

伊藤選手と組んでだいぶ対策されてはいるんですが、それでも勝ち上がっていけるのは、自分達が越えられる力があると思うので、中国に対策されても「じゃあ次はこれをやってみよう」という色々な引き出しを追求して練習していきたいなと思います。

毎回銀メダルで終わっているので、次こそ金メダルを獲れるように。でも簡単なことではないので、一つ一つ階段をクリアしていけるように、大会に入った時には自分達ができる全てのことをやって試合していきたいなと思います。