「非常ベルが鳴っている」。前節・鳥栖戦に敗れてリーグ3連敗を喫したあと、浦和のペトロヴィッチ監督は自らそう言及した。 第14節の柏戦では敗れたあとにも「最終的にシーズンが終わったときにわれわれは柏より上にいると私は思っている。必ずわれわれが…


「非常ベルが鳴っている」。前節・鳥栖戦に敗れてリーグ3連敗を喫したあと、浦和のペトロヴィッチ監督は自らそう言及した。

 第14節の柏戦では敗れたあとにも「最終的にシーズンが終わったときにわれわれは柏より上にいると私は思っている。必ずわれわれが連勝して(柏を)追い越せる日がくると思っている」と力強く話していた。しかし、前々節の磐田戦で敗れると「ホームで磐田に2-4で敗れたあとにどんなコメントをしたらいいのか」という言葉から始まり、「スランプと言っていい状態にあるのかなと思う」と一転。磐田戦、鳥栖戦ともに「責任は監督である私にある」と繰り返してきた。元来、喜怒哀楽を隠さずストレートに表に出すタイプではあるが、その様子は徐々に変化していった。

 鳥栖戦後、選手たちには自信を失わせないためだろう、「悲観する内容ではない」と伝えたようだが、戦術的な修正はもちろんのこと、選手たちをどう試合に向かわせるか、メンタル面をモチベートする必要もあるだろう。29日の練習のゲーム前には強めの口調を交えながら10分近く、選手たちに話をしていた。それは決して珍しいことではないが、一方で10秒程度で終わることもある。その10分足らずの時間にチームを好転させたいという気持ちが感じられた。

 3連敗は昨季もあったこと。ただ、今節で敗れれば、浦和の監督になってからは最多、自身では広島がJ2に降格した07年以来の4連敗を喫する。奇しくも相手は5年半、監督を務め、その基礎を作った広島だ。状況、相手ともに何が何でも負けるわけにはいかない。

「自分たちでしか結果を変えることはできない」。

そう、非常ベルを止めることができるのは選手たち自身であり、ペトロヴィッチ監督自身だ。いまのチームを作り上げたのは紛れもなくペトロヴィッチ監督であり、この苦境を乗り越える力を持っているはずだ。

文・菊地 正典