「マイナビ Japan Cup 名古屋大会」BMXフリースタイル・パーク種目がオアシス21銀河の広場 (愛知県名古屋市)にて、2023年4月28日(金)~30日(日)の3日間に渡り開催され、男子エリートは中村輪夢選手が、女子エリートは杉尾咲…
「マイナビ Japan Cup 名古屋大会」BMXフリースタイル・パーク種目がオアシス21銀河の広場 (愛知県名古屋市)にて、2023年4月28日(金)~30日(日)の3日間に渡り開催され、男子エリートは中村輪夢選手が、女子エリートは杉尾咲空選手が優勝を収めた。
今大会は2023年シーズン開幕戦としてふさわしい新たな舞台である愛知県名古屋市で初開催。全国から年齢問わずトップクラスのBMXライダーたちが集まり、エリート・アマチュア含め全13カテゴリーにてハイレベルな戦いが繰り広げられた。
そして会場となったオアシス21 銀河の広場は名古屋市街に位置し、県内でも名の知れた観光地の一つ。そんな都会のど真ん中で人通りも多いこの地に大会用のパークセクションを設置する形で盛大に今大会が開催された。
会場いっぱいの観客がライダーのライディングを見守った。
「マイナビ Japan Cup」/ ©JFBF
当日は子どもから大人まで本広場に遊びに来た家族連れやカップル、また通りすがりの観光客などたくさんの人々が集まり、なんとその観客数は大会3日間でのべ約20,000人。大勢の観客に見守られる中、世界を舞台に活躍するトップライダーたちのダイナミックなトリックの数々に会場中から歓声が湧き過去最高レベルの賑わいを見せていた。そんな大会の模様はJFBF公式Youtubeにてリアルタイムで視聴可能なライブ放送でも配信された。
以下は、今大会注目のエリートクラス決勝の大会リポート。
過去最高人数の観客が見守る中、男子は中村輪夢が大会5連覇。女子は杉尾咲空がエリートカテゴリー初出場初優勝。
男子エリートクラス
男子エリートの決勝進出メンバーたち
「マイナビ Japan Cup」/ ©JFBF
男子エリートクラス決勝は、今回は昨年日本人初の世界チャンピオンとなった中村輪夢、同じく世界の舞台に参戦中の溝垣丈司、そして昨年のJFBFシリーズランキング第1位の小澤楓、長年日本のBMXフリースタイルシーンを牽引してきたベテランライダー高木聖雄など国内最強ライダーたちが全員集合し、白熱した大会が繰り広げられた。
ランに入る前の落ち着いた様子の中村
「マイナビ Japan Cup」/ ©JFBF
圧倒的な強さで突き放し優勝を果たしたのは中村輪夢(所属:WingArk1st)。いつも以上にリラックスした表情で大会に挑む様子がうかがえた中村は、ラン1本目は「バックフリップ ・ダブルバースピン to ターンダウン」や「720・ダブルバースピン」、そして「720・トランスファー」などの高難度トリックを交えながらもパーク全体の色々なセクションを使ったライディング。まるで2本目に向けて感覚を掴むようにも見えたが、85.00ptをマークし暫定1位の位置に躍り出た。
中村輪夢のライディング
「マイナビ Japan Cup」/ ©JFBF
一方、ラン2本目を迎えた時点では小澤楓がわずか0.4ptリードしたことでミスが許せない状況。しかしプレッシャーを押し退けて魅せたライディングは、空中で2回転する720という超大技のコンボだけでも「720・テールウィップ」「720・バースピン」「720・トランスファー」の3種類のバリエーション。そこに加えて「バックフリップ ・トリプルバースピン」「ダブルトラックドライバー・トランスファー」「フレア・バースピン」などの大技も見事にメイク。
勝利を確信し観客に歓声を求める中村
「マイナビ Japan Cup」/ ©JFBF
パーフェクトランで終えた直後、中村は中央のジャンプセクションに立ち、両手を上げて勝利を確信して観客から歓声を求めていた。そんな中村のランに付いたスコアは今大会唯一の90点台である92.80pt。世界チャンピオンの強さを示し、圧倒的な勝利を収めて大会5連覇を記録した。約2週間後に迫る「X Games Chiba 2023」に向けてもいい流れで繋ぐ一戦となった。
ランの前にカメラに向かってポーズをとる小澤
「マイナビ Japan Cup」/ ©JFBF
準優勝は最年少でありながら中村にも引けを取らないライディングを魅せる小澤楓(所属:岐阜第一高等学校)。
ラン1本目では小柄の身体から繰り出される素早いコンボで、「テールウィップ to バースピン」や「バックフリップ・テールウィップ・バースピン」をメイクするも「アリーウープ・トリプルバースピン」で転倒し37.00ptとした。
小澤楓のライディング
「マイナビ Japan Cup」/ ©JFBF
転倒してしまった1本目の得点を塗り替えて、優勝争いに食い込みたいラン2本目では圧巻のライディング。1本目のミスを見事にカバーし「ダウンサイドテールウィップ・アリーウープ」や「360ダウンサイドテールウィップ to バースピン」の高難度トリックと、様々なセクションでメイクした「360テールウィップ」が光るフルメイクのパーフェクトランで85.40ptをマーク。暫定1位となる大逆転を見せた。惜しくもその後の中村に逆転を許し、優勝は逃したが堂々の準優勝を果たした。
ランに入る前の溝垣
「マイナビ Japan Cup」/ ©JFBF
3位は言わずと知れた実力者の溝垣丈司(所属:湘南工科大学付属高等学校)。先日、大和晴彦と内藤寧々の2名とともに日本国内ではBMXフリースタイル種目において初となる世界的有名なエナジードリンクブランド「Monster Energy」のアンバサダーライダーとなった彼。
溝垣丈司のライディング
「マイナビ Japan Cup」/ ©JFBF
ラン1本目では、今回溝垣だけがメイクした超大技「クアッドトラックドライバー」や彼のスタイルが光るスパインでの「バースピン to 180」、そして制限時間ぴったりに「フレア」をメイクし79.20ptをマークした。
ラン2本目では1本目を上回るように完成度の高い「トリプルバースピン」や「トリプルトラックドライバー」、「360ダウンサイドテールウィップ」をメイクしていき、最後は1本目よりも回転数を増やしたスパインでの「ダブルバースピン to 180」でランを締め括り80.60ptと得点を塗り替えた。ラン後はやり切ったのかガッツポーズも見えた。
入賞した選手に限らず、全選手が持ち技をアップデートしており、更にハイレベルな戦いとなっていた今回の男子エリートクラス。今後はより拮抗した試合展開になり、ちょっとしたミスが順位を大きく入れ替えることになりそうだ。どんな選手が今後表彰台争いに食い込んでくるのかも注目したい。
女子エリートクラス
女子エリートの決勝進出メンバーたち
「マイナビ Japan Cup」/ ©JFBF
一方、女子エリートクラスは東京オリンピック出場選手の大池水杜が怪我で欠場という状況の中、日本女子のレベルを引き上げるべく世界を舞台に大健闘を続けている日本代表の内藤寧々を始め、昨年まで年齢別で好成績を残してきた若手たちが本クラスに昇格し参戦。合計5名で今シーズン初戦の優勝の座が争われた。
杉尾咲空のライディング
「マイナビ Japan Cup」/ ©JFBF
今回、優勝を収めたのはなんと今回女子エリートクラス初出場の杉尾咲空(所属:細田学園高等学校)。バースピンを始めとしたハンドルバーの回転系のトリックを得意とする彼女は、終始安定した走りの中で技ありのトリックを入れ込み他選手たちを圧倒。
ラン1本目では「バースピン」や「ワンハンド・X-up」の得意技はもちろんのこと、「360」をジャンプセクションの飛び切りでメイクしたり、ラン終盤には玄人好みのトリックでもある「スミスストール」などをメイク。見事なパーフェクトランが評価され61.40ptをマークした。
ラン2本目では更にギアを上げて、1本目のバースピンを軸にしたランに加えて「トラックドライバー」や「アリウープ」などのハイレベルトリックを組み込み、再度パーフェクトランを披露。得点を67.40ptに引き上げて他選手から逃げ切り、見事女子エリートクラス初出場初優勝という快挙を残して、今シーズン幸先の良いスタートを切った。
山本結花のライディング
「マイナビ Japan Cup」/ ©JFBF
準優勝は杉尾に続き、今回初めての女子エリートクラス出場となった山本結花。他の選手があまりやらないハイレベルなトリックコンボを繰り出す彼女だが、ラン1本目では「タイヤグラブ to X-up」や「360・キャンキャン」のハイレベルトリックに加えて、まるでメキシコのスーパースターであるケビン・ペレザのごとくメイクした「キャンキャン・タイヤグラブ」は会場を沸かせた。その後クオーターでトライした「アリウープ」で転倒し惜しくも41.20ptにとどまった。
1本目のリベンジを果たすために挑んだラン2本目では、転倒後で万全の状態でないにも関わらず、ラン1本目の「タイヤグラブ to X-up」に加えてクオーターでの「キャンキャンエアー」やハイエアーの中に繰り出された「ノーフット」は綺麗で完成度も高く山本の気持ちの強さが感じられた。
結果としては見事ノーミスのライディングで56.90ptまでポイントを引き上げて女子エリートクラス初出場を準優勝で締め括った。
内藤寧々のライディング
「マイナビ Japan Cup」/ ©JFBF
3位は先日のサウジアラビアで行われたFISEで日本人過去最高位の予選2位通過を果たし、日本の女子BMXフリースタイルシーンを牽引する内藤寧々(所属:第一学院高等学校)。ラン1本目は「バースピン to X-up」、クオーターという難しい位置での「テールウィップ」、「バックフリップ 」などとハイレベルのトリックでルーティンをまとめていくも、ラン最後にトライした「540」で転倒しスコアを伸ばせず49.80ptに。
背水の陣で迎えた、ラン2本目では全力のライディング。1本目のトリックに加えて彼女の代名詞でもある「 X-up・ワンフット to キャンキャン」もメイク。そのままライディングをまとめても優勝争いができるほどのトリックの数々であったが、1本目の屈辱を果たすため、そして勝ちに行くために「540」に再トライ。残念ながら2本目も決められず転倒し、結果としては45.00ptで3位となったが本人の勝ちたい思いが全面に見られたライディングだった。
個性と実力を合わせ持つ若手の台頭で更にレベルが上がった女子エリートクラス。日本国内で切磋琢磨する彼らが世界の舞台で表彰台に上がる日も遠くないだろう。
優勝者コメント
見事優勝を収めた杉尾と中村
「マイナビ Japan Cup」/ ©JFBF
中村 輪夢 選手(男子エリートクラス)
「 日本の大会なので、負けられないという気持ちで臨みました。優勝できて、ほっとしています。目指しているところは世界なので、引き続き良い結果を得られるように頑張ります。」
杉尾 咲空 選手(女子エリートクラス)
「お客さんに囲まれての試合はあまり経験がなかったので緊張しました。今回は自分の実力ではなく、運で優勝したと思っているので、次の大会に繋げていけるようにこれからも頑張っていきます。」
大会結果
左から小澤、中村、溝垣の順
「マイナビ Japan Cup」/ ©JFBF
<男子エリート>
優勝: 中村 輪夢 (ナカムラ ・リム) / 92.80pt
準優勝: 小澤 楓 (オザワ・カエデ) / 85.40pt
第3位: 溝垣 丈司 (ミゾガキ・ジョージ) / 80.60pt
左から山本、杉尾、内藤の順
「マイナビ Japan Cup」/ ©JFBF
<女子エリート>
優勝: 杉尾 咲空 (スギオ・サクラ) / 67.40pt
準優勝: 山本 結花(ヤマモト・ユイカ) / 56.90pt
第3位: 内藤 寧々 (ナイトウ・ネネ) / 49.80pt
<キッズ4アンダー>
優勝: コジマ・ハル / 55.50pt
準優勝: フカマチ・コウト / 39.50pt
第3位: クボタ・ナナオ / 25.75pt
<キッズ5-6>
優勝: ナカジマ・キセキ / 63.00pt
準優勝: サカキバラ・カナタ / 60.50pt
第3位: トヨダ・ワク / 59.75pt
<ガールズ7-9>
優勝: ウメバヤシ・ユマ / 85.75pt
準優勝: ハシモト・コトハ / 74.25pt
第3位: ニワ・ココロ / 61.63pt
<ボーイズ7-8>
優勝: タカハシ・ヒサシ / 78.50pt
準優勝: マスイ・チアキ / 71.25pt
第3位: ヨシカワ・リキト / 65.50pt
<ガールズ10-12>
優勝: オクザキ・トモカ / 75.13pt
準優勝: シライ・レエナ / 75.00pt
第3位: ホソカワ・イロハ / 60.50pt
<ボーイズ9-10>
優勝: ニワ・コウキ / 81.25pt
準優勝: フダモト・ユウマ / 71.75pt
第3位: サイキ・タスク / 65.25pt
<ボーイズ11-12>
優勝: タニモト・リョウガ / 69.25pt
準優勝: シミズ ・ハル / 69.00pt
第3位: カワカミ ・ユウ/ 62.75pt
<女子13-15>
優勝: オザワ・ミハル / 79.25pt
準優勝: ヨシダ・ミオ / 59.00pt
第3位: スギモト・ミク/ 48.00pt
<男子13-15>
優勝: マツモト・ショア / 88.25pt
準優勝: シライ・レオン / 78.88pt
第3位: ジンボ・トラノスケ/ 78.00pt
<エキスパート>
優勝: イトウ・ユウ / 78.00pt
<30オーバー>
優勝: シモノ・マサシ / 65.75pt
準優勝: イシイ・コウスケ / 61.50pt
第3位: コシヤマ・マサヒロ/ 52.00pt
大会概要
⼤会名称 : 「マイナビ JapanCup 名古屋大会」(パーク第1戦)
開催期間 : 2023年4月28日(金)~30日(日)- 3日間 –
※詳細は公式HPをご覧ください。
大会会場:オアシス 21 銀河の広場(愛知県名古屋市東区東桜1丁目11-1)
主催: 一般社団法人 全日本フリースタイルBMX連盟(JFBF)
後援:一般社団法人 日本アーバンスポーツ支援協議会
特別協賛:株式会社 マイナビ
協賛:NTP 名古屋トヨペット、モトクロスインターナショナル
出場カテゴリー:全13クラス(アマチュア含め)
出場選手:男⼦エリート 12名・⼥⼦エリート 5名
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