1981年春に勝ち点2で4位…“勝つ味”を知る大久保監督代行 東大は1日、東京六大学春季リーグの慶大2回戦に0-3で敗れた。今季6戦全敗、勝ち点0で立大と並び最下位に沈んでいる。1998年春から昨季まで50季連続最下位で、勝ち点を挙げたのも…
1981年春に勝ち点2で4位…“勝つ味”を知る大久保監督代行
東大は1日、東京六大学春季リーグの慶大2回戦に0-3で敗れた。今季6戦全敗、勝ち点0で立大と並び最下位に沈んでいる。1998年春から昨季まで50季連続最下位で、勝ち点を挙げたのも2017年の秋が最後だが、今季は勝ち点奪取と最下位脱出を懸けて「奪出」をスローガンとして掲げている。残る立大、法大相手の2カードへ向け、どこに活路を見出すのだろうか。
可能性を感じさせる試合ではあった。先発の松岡由機投手(4年)は7イニング中、初回、2回、5回を3者凡退で片付ける快調な投球。味方のエラーをきっかけに背負った6回無死一、二塁のピンチも、相手の4番・栗林泰三外野手(4年)を遊ゴロ併殺に仕留め乗り切った。
ただ、打線は慶大先発の谷村然投手(4年)に3安打完封され、谷村には打っても、3回に左翼席へ先制2ラン、7回にも適時二塁打を浴び、全打点を稼がれた。松岡は「ピッチングでもバッティングでも彼(谷村)にやられた。打たれた球は完全に失投で、投げた僕が悪い。単純に実力で負けました」と唇をかんだ。
東大では、エースの鈴木健投手(4年)が3試合0勝2敗も、防御率3.00と健闘。今季から先発の軸の1人となった松岡も、安定感を増している。今季リーグ戦デビューを果たしたショートの青貝尚柾内野手(2年)、セカンドの山口真之介内野手(3年)も好守が光る。
残る課題は、今季6試合でわずか10得点の打線の活性化に他ならない。井手峻監督の病気療養を受けて、今季開幕から指揮を執っている大久保裕監督代行(助監督)は「しっかり守ってくれれば、こういう試合ができる。守備は昨年に比べて改善されていると思います」と手応えを得ており、「打線もチャンスをつくれるようになってきた。そこで、あと1本が出れば……。打つ方に元気が出れば勝てる、というところまで来ています」と力を込めた。
得点力不足の突破口となりうるのが、機動力だ。実際に足の速い選手が多い。6回には、代打で右前打を放った大井温登外野手(4年)が、相手の隙をつくディレードスチールを決め、その後1死一、三塁として得点に迫った。一方、8回2死一塁で代走で起用された近藤悟外野手(4年)は、同じくディレードスチールを仕掛けるも、失敗に終わった。大久保代行は「ランナー一塁ではなかなか点が入らない。なんとか二塁へ進める方針でやっています」と言う。
ただ、4月29日の慶大1回戦では、6回1死から代走の近藤が二盗を決め、相手の失策も絡んで1死一、三塁とチャンスが広がったが、一塁走者の代走で起用された榎本吉伸外野手(2年)が、チームきっての好打者である1番・酒井捷外野手(2年)の初球に走って刺され、得点できなかった。
大久保代行が「ちょっと調子に乗り過ぎたかな。積極的な走塁が持ち味で、基本的に『行けたら行け』というスタンスだが、あの場面はもう少し、じっくりいってもよかった」と指摘した。持ち味の発揮と過信の紙一重の見極めも、勝つために求められることになりそうだ。
大久保代行は東大の現役選手で主将を務めた1981年の春、早大と慶大の両方から勝ち点を奪い、6勝7敗1分で4位になった実績がある。「東大が史上最も優勝に近かったシーズン」と言われている。勝つ味を知る代行指揮官の下、ナインは最後まで目標を諦めない。
(Full-Count 宮脇広久)