NBA10大「B級」ニュース@後編 名プレーヤーの引退、大記録ラッシュ、激動のファイナル、そして先日行なわれたドラフト指名……。2016−2017シーズンもNBAは話題にあふれていた。コート内外で飛び交った小ネタ…

NBA10大「B級」ニュース@後編

 名プレーヤーの引退、大記録ラッシュ、激動のファイナル、そして先日行なわれたドラフト指名……。2016−2017シーズンもNBAは話題にあふれていた。コート内外で飛び交った小ネタを一挙に紹介!

「NBA10大B級ニュース@前編」はこちら>>>



アイバーソンが3人制バスケでふたたびコートに戻ってきた!

(6)史上ふたり目、最年少、歴代3位。大記録が続々と誕生!

 今シーズンもさまざまな新記録が誕生した。なかでも驚異的な記録といえば、ラッセル・ウェストブルック(オクラホマシティ・サンダー/PG)が記録した「シーズン平均トリプルダブル」だろう。

※ポジションの略称=PG(ポイントガード)、SG(シューティングガード)、SF(スモールフォワード)、PF(パワーフォワード)、C(センター)。

 ウェストブルックのレギュラーシーズンの成績は平均31.6得点・10.7リバウンド・10.4アシスト。過去にシーズン平均トリプルダブルを達成したのは、1961−1962シーズンのオスカー・ロバートソン(PG/当時シンシナティ・ロイヤルズ、現サクラメント・キングス)たったひとりしかいない。

 ウェストブルックの長所は、その身体能力の高さだろう。殿堂入りを果たしているジェリー・ウェストも、「身体能力だけを見れば、ジョーダンより上かもしれない」とまで語っている。

 今年5月、そのウェストブルックに第一子となる男児が誕生した。自身のツイッターを通じて長男誕生を発表すると、ニューヨーク州立大のバスケ部のヘッドコーチがすぐさまウェストブルックの投稿に「Offer(オファー)」とだけ加えて引用ツイート。ウェストブルックの遺伝子を引き継いでいるだけに、このヘッドコーチの判断はかなり賢い青田買いではないだろうか。

 他にも大記録と言えるのは、3月24日のボストン・セルティックス戦でフェニックス・サンズに所属するリーグ2年目の20歳、デビン・ブッカー(SG)が70得点をマークしたことだろう。ブッカーは史上6人目、そして最年少での「70点ゲーム達成者」となった。

 チーム記録でいえば、サンアントニオ・スパーズが20シーズン連続でプレーオフ進出を果たしたことも触れておきたい。これは、ジョン・ストックトン&カール・マローン時代のユタ・ジャズに並ぶ歴代3位の連続出場記録だ。ちなみに1位は、今は長らくドアマットチームに成り下がっているフィラデルフィア・76ersが1949年~1971年に記録した「22シーズン連続出場」である。

(7)ファンのアイデアで来季のオールスターはガラッと変わる?

 2月にニューオーリンズで開催された今年のオールスターウィークエンドでは、新たなチャンピオンが次々と誕生した。

 スリーポイントコンテストでは、昨年王者のクレイ・トンプソン(ゴールデンステート・ウォリアーズ/SG)が予選で敗退する波乱もあり、伏兵のエリック・ゴードン(ヒューストン・ロケッツ/SG)が優勝。ダンクコンテストでは、「ビッグ・ドッグ」のニックネームで知られる元NBA選手グレン・ロビンソンの息子、グレン・ロビンソン三世(インディアナ・ペイサーズ/SF)がチアリーダーとチームメイトを跳び越えるリバースダンクで初の栄冠を手にした。

 そして、今年のオールスターゲームは192−182というスーパーハイスコアゲームとなり、ウェストが3年連続でイーストに勝利。両チーム合わせて374点は、もちろん歴代最多記録だ。MVPに輝いたのは、地元ニューオーリンズ・ペリカンズのスターでもあるアンソニー・デイビス(PF)。オールスターゲーム歴代最多となる52得点を記録してファンを大いに喜ばせた。

 ただ、このようなお祭り騒ぎのオールスターだったが、NBAコミッショナーのアダム・シルバーは心から満足できる結果ではなかったようで、「オールスターは来年から変わると約束する」と発表している。

「もっと真剣な競争が必要だという点で全員が合意している。もちろんケガの可能性などを考え、ファイナルのようなプレーを望んでいるわけではない。だが、現状とファイナルとの間に落としどころがあるはずだ。ファンからもツイッターやフェイスブックでアイデアを送ってもらいたい。我々は新しいアイデアに対してオープンだ」

 ファンが喜ぶ真剣勝負のオールスターでありながら、選手にケガのリスクを負わせないゲーム……。何かピンと閃(ひらめ)いた方は、ぜひリーグにそのアイデアを送っていただきたい。

(8)東京オリンピックに「3×3版ドリームチーム」がやってくる?

 6月9日、国際オリンピック委員会の臨時理事会がスイスで行なわれ、2020年の東京オリンピックの正式種目として3人制バスケットボール『3×3バスケットボール(男女)』が追加採用された。

 思い起こせば1992年のバルセロナオリンピックで、初めてプロ選手が参加。マイケル・ジョーダン、マジック・ジョンソン、ラリー・バードらスーパースターが集結したアメリカ代表は「ドリームチーム」と呼ばれ、世界中で大ブームを巻き起こした。

 はたして、東京オリンピックで「3×3版ドリームチーム」が結成されることはあるのだろうか。

「もしも出場を打診されたら?」との問いに、レブロン・ジェームズ(クリーブランド・キャブス/SF)は「追加採用はバスケットボールにとって素晴らしいことだが、俺は3人制があまり得意じゃない。たぶん打診されても参加しない」とコメント。「仮にプレーするなら誰とチームを組みたいか?」と聞かれると、レブロンは「ジョーダンとマジック」とふたりのレジェンドの名前を挙げた。

 レブロンの不参加の意向は残念だが、J・R・スミス(キャブス/SG)は他のチームメイトふたりを3×3代表に推している。1on1の能力が高いカイリー・アービング(キャブス/PG)と、スリーポイントシューターのカイル・コーバー(キャブス/SF)だ。

「カイリーなら間違いない。1on1をさせたら、現時点でベストプレーヤーだ。カイルも3×3に向いているはず」

 ちなみに6月25日、ラッパー兼俳優のアイス・キューブらが手掛ける3×3の新プロリーグ『BIG3』がブルックリンで開幕した。アレン・アイバーソン、ジェイソン・ウィリアムス、ジャーメイン・オニールなど、かつてNBAを盛り上げたレジェンドたちが参戦している。

 3年後、アイバーソンが3×3のアメリカ代表として東京にやって来るかも?

(9)ポール・ピアース引退。はなむけの言葉はトラッシュトーク?

 シーズン開幕前に「これが最後のシーズン」と明言していた39歳のポール・ピアース(ロサンゼルス・クリッパーズ/SF)が引退した。

 2月5日には2008年にリーグ優勝を果たした古巣ボストンとの試合に出場し、思い出深い「TDガーデン」で最後のプレーを披露。ヘッドコーチの計らいで15試合ぶりに先発出場となったピアースは、ティップオフ直前にコート中央のボストン・セルティックスのロゴにキスをすると、会場からは大歓声が巻き起こった。この試合、無得点に終わるかと思われたが、試合終了残り8秒でピアースはスリーポイントシュートを沈め、会場をふたたび沸かせている。

 ところが2月23日、ゴールデンステート・ウォリアーズのホーム「オラクル・アリーナ」で行なわれた一戦では、トラッシュトーク(挑発)が得意なドレモンド・グリーン(SF)にピアースは毒舌を吐かれる。

「コービー(・ブライアント)のように引退ツアーをやってもらえると思ったのか? お前はそんなに愛されていない!」

 なんとも失礼な発言だが、全盛期はトラッシュトークで有名だったピアースに向けて、グリーンなりの「はなむけの言葉」だったのかもしれない。

 ちなみに、40歳のビンス・カーター(メンフィス・グリズリーズ/SG)は「あと2年プレーして引退する」と発言しており、39歳のダーク・ノビツキー(ダラス・マーベリックス/PF)も来季の現役続行を明言している。一方、今年7月で40歳になるマヌ・ジノビリ(サンアントニオ・スパーズ/SG)は明言こそ避けたものの、現在の心境をこう語っていた。

「まだ、プレーできると感じている。ただ、どういう決断にしても、僕はとても幸せな人間だ」

(10)ショータイム復活。マジックがレイカーズに帰ってきた!

 今年2月、ロサンゼルス・レイカーズのバスケットボール運営部門代表――つまりは「球団のトップ」にマジック・ジョンソンが就任した。ショータイムの復活だ。

 就任後、マジックはウォリアーズに対し、いきなり宣戦布告をかました。

「もしも、ショータイム時代のレイカーズと今のウォリアーズが戦うなら、ウォリアーズは小さすぎる。インサイドでカリーム・アブドゥル=ジャバーを守ることになるのはザザ・パチュリアだ。ショータイム時代のレイカーズなら、今のウォリアーズをスウィープする」

 この言葉に対し、すぐさま悪童グリーンは「ナンセンス」と反論。だが、あえてウォリアーズの反感を買うコメントをしたということは、マジックなりの自信が来季はあるという裏返しではないだろうか?

 さらにマジックは「我々が動かさない選手は(2016年のドラフト全体2位で指名した19歳のSF)ブランドン・イングラムだけ」とも発言。来季に向けてロスターの大胆な変更もいとわないことを宣言した。2018年の夏にFAとなるポール・ジョージ(インディアナ・ペイサーズ/SF)が地元レイカーズへの移籍を強く望んでいるとも言われおり、さらにレイカーズはレブロンの獲得にも動くとウワサされている。

来シーズン、マジックがどんなチームを作るのか、今から楽しみでならない。

「NBA10大B級ニュース@前編」はこちら>>>