JBCFロードシリーズ最高峰のJプロツアー第5戦となる「西日本ロードクラシック・播磨中央公園ロードレース」が4月16日、兵庫県立兵庫県加東市にて開催された。今回会場となる播磨中央公園のコースは、特に西日本では、レース会場としてメジャーなコー…

JBCFロードシリーズ最高峰のJプロツアー第5戦となる「西日本ロードクラシック・播磨中央公園ロードレース」が4月16日、兵庫県立兵庫県加東市にて開催された。
今回会場となる播磨中央公園のコースは、特に西日本では、レース会場としてメジャーなコースのひとつ。公園内の道路を使用して設営された1周7kmの周回コースを用いる。本年度もすでに「播磨中央公園ロードレース」は開かれているが、この日のレースはJプロツアーの第5戦であり、さらにリーグ戦の中でも「ゴールド」と位置づけされる「西日本ロードクラシック」としての開催だ。「ゴールド」レートのレースでは、通常のレースの1.5倍のポイントが付与されるため、総合ランキングには大きな影響を持つ。選手たちの気合も高まっていた。

播磨中央公園は丘陵地帯にあり、もともと緩やかなアップダウンがある。今回のコースは、その地形を生かし、厳しい登坂はないものの、アップダウンが続く。公園内にあることから、コース幅も狭く、特に前半はコースが強くうねっており、カーブが続くため、集団は長く伸ばされるだろう。後半は、うねりはなくなり、大きく下った後に、ラスト1kmから大きく上ってフィニッシュを迎える。勝利を掴むためには、最終局面に臨むまで、チームとしていかに走るか、が重要なファクターとなることが予想された。



前半は小さなうねりが続き、後半はダイナミックなアップダウンと、特徴的な播磨中央公園のコース(JBCF公式サイトより)

この日は、朝から晴天に恵まれた。
個人総合首位は、前戦で優勝した今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)の手に移っているが、U23の首位は津田悠義(キナンレーシングチーム)が守っている。この日、今村は欠場した。



晴天の下、レースがスタートした

午後1時、7kmコースを21周する147kmのレースが始まった。



新緑の美しいコースを抜ける。道幅が細く、走り方が問われるコースだ。レースは、リアルスタートへ

長距離のレースではあるが、過去にツール・ド・フランスでも個人総合4位の経験を持つ超級のベテラン、フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)がファーストアタックを繰り出した。



スタート後すぐにフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)がアタックを仕掛け、一気に緊張感が高まる

このマンセボのアタックを契機に、早々に6名の先頭集団が形成された。この中には、マンセボの他、トマ・ルバ(キナンレーシングチーム)、當原隼人(愛三工業レーシングチーム)、横山航太(シマノレーシング)ら、有力選手が含まれている。6名は協調しあいながら、好ペースを刻み、メイン集団との差を開いて行った。



マンセボのアタックから、6名の集団が形成された



スピードが上がる中、連続するカーブに、長く伸び、引き伸ばされる集団

メイン集団はシマノレーシングがコントロールを担う。メイン集団との差は2分30秒以上にまで開いた。
これ以上差が開くことを避けるために、マトリックスパワータグが牽引を担ったり、愛三工業レーシングチームや群馬グリフィンレーシングチームなどが協力したりと、メイン集団の引き上げを行い、タイム差は少しずつ縮まり、1分50秒に。



レース中盤になると、メイン集団のコントロールを担っていたシマノレーシングに、愛三工業レーシグチームや群馬グリフィンが協力、ペースアップを図る

ところが、レースが折り返しを迎えるころ、天気が急変し、大粒の雨が落ち始めたのだ。瞬く間に大雨となり、非情にも選手たちに打ち付ける。ほとんどの選手が雨を予想していなかったため、装備も整えておらず、一同に動揺が広がった。



突然降り始めた雨の中、先行し続ける先頭集団



雨は勢いを増し、路面は水しぶきを上げるほどの状況に



岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)を先頭にメイン集団のペースが上がる

この雨で、先頭集団のペースが落ち、メイン集団との差が急激に縮まった。ラスト5周を迎える頃に先頭していた選手たちはメイン集団に吸収された。

※激動のコンディションの中、レースは終盤戦へ!→

集団はふたたび一つになったが、厳しい展開の中で、選手の数も減っており、先頭は30名ほどに絞られていた。



先頭はマトリックスパワータグが固め、集団を強固にコントロール

この集団の先頭にはマトリックスパワータグのメンバーが並び、勝利への意欲を示して見せた。集団から抜け出しを図る動きは生じるものの、先頭に陣取ったマンセボが目を光らせ、危険な動きをつぶしていく。



マンセボは先頭に立ち、ハイペースに引き上げながら、ライバルチームの動きに目を光らせる

ハイペースを刻む集団は、そのまま最終周回に突入した。ゴール勝負に向けて各チームが隊列を整え、位置取りを行い、緊張感の高まる集団は、周回前半をこなし、最後の下りを越え、ラストの上りでも、仕掛ける選手は出て来なかった。
緩やかに下り、ラスト200mに差し掛かるタイミングで、先月までリーダージャージを着ていたスプリンター岡本隼(愛三工業レーシングチーム)を率いた草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)が先頭で飛び出した。



先行した草場啓吾(愛三工業レーシングチーム・中央)の左から岡本勝哉が追い上げる

このまま草場、岡本隼が加速し、スプリントを始めるが、この後ろにぴったりと付いていた岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)が左側から飛び出し、強烈な伸びを見せる。
フィニッシラインでハンドルを押し込み合った草場と岡本勝哉の勝負となったが、判定は、ごく僅差で競り勝った岡本勝哉の優勝となった。



ごく僅差で、フィニッシュラインでハンドルを押し込んだ岡本勝哉が勝利をもぎ取った

岡本勝哉は、まだ日本大学の3年生。今期の新加入選手だ。この勝利はもちろんプロ初勝利。しかもJプロツアーの「ゴールド」レースで、まさにうれしい金星を挙げることになった。



プロ初勝利を決め、喜びに笑みがこぼれる岡本勝哉

2位に草場、3位には岡本隼が入った。



表彰台に立つ上位3名。愛三工業レーシングチームは、2位、3位を確保した

前レースで連勝を上げたチームブリヂストンサイクリングだが、この日は3名のみでの参戦だった。厳しい展開を受け、「3人で固まって力を溜めていよう」と話し合ったと言うが、最終局面まで残れたのは、岡本勝哉1人のみだった。
「スプリントには自信があった」と語るルーキーは「最後のペースアップに必死で食らいつき」、「最後の登りさえ耐えられれば、自分にも勝利はあると信じていた」とレースを振り返る。「前方に位置したまま、愛三の選手の後ろにつけて登り切った時に、勝ちを確信した」と、自信をみなぎらせた。
個人総合首位は、岡本隼が奪取し、U23の首位は、今回を勝利した岡本勝哉の手に移った。

次戦は、4月29、30日に開催される東日本ロードクラシック。同じく「ゴールド」に位置づけされる重要なレースだ。上位2名のポイント差はまだ小さく、連戦の結果次第で上位陣が入れ替わる可能性も大いにあるだろう。3連勝のチームブリヂストンサイクリングの快進撃は、まだ続くのだろうか。

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【結果】
Jプロツアー第5戦・西日本ロードクラシック・播磨中央公園ロードレース

1位/岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)3時間52分41秒
2位/草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)+0秒
3位/岡本隼(愛三工業レーシングチーム)
4位/入部正太朗(シマノレーシング)
5位/岩田聖矢(弱虫ペダル サイクリングチーム)

【Jプロツアーリーダー】
岡本隼(愛三工業レーシングチーム)

【U23リーダー】
岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)

画像提供:JBCF(一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟)

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