■今季通算4戦4勝、早大が単独首位に浮上 早大は23日、立大との2回戦に臨み11-3で圧勝した。これで今季通算4戦4勝、勝ち点を2に伸ばして単独首位に浮上した。6投手を次々とマウンドへ送る“マシンガン継投”が功を奏するなど、小宮山悟監督の采…
■今季通算4戦4勝、早大が単独首位に浮上
早大は23日、立大との2回戦に臨み11-3で圧勝した。これで今季通算4戦4勝、勝ち点を2に伸ばして単独首位に浮上した。6投手を次々とマウンドへ送る“マシンガン継投”が功を奏するなど、小宮山悟監督の采配が的中した。
先攻の早大は初回に1点を先制したが、その裏には、4年生にしてリーグ戦初先発を果たした飯塚脩人投手が3安打1四球を許し、同点に追いつかれた。ただ、ピンチが続いた1死満塁の場面では後続を仕留めた。小宮山監督は「1回裏を1失点に抑えた時点で、勝ちを確信しました」と言い切る。
続く2回の攻撃で、2死走者なしで打順が9番の飯塚脩に回ると、迷わず代打を送り、その裏から2番手・中森光希投手(3年)にスイッチ。中森が2イニングを2安打無失点でしのぐと、4回の攻撃でその中森に代打を送る。その裏以降、鹿田泰生投手(3年)が2回2失点、田和廉投手(2年)が2回無失点、齋藤正貴投手(4年)が1回無失点、伊藤樹投手(2年)も1回無失点でつなぎ、勝利を引き寄せたのだった。
小宮山監督は試合後「もうネタばらしをしてもいいでしょう。今日は延長なしの9回打ち切りで、しかも先攻でしたから、どうしてもオフェンシブ(攻撃的)にいかなければならなかった。あらかじめ投手陣には、投手のところに打席が回ったら代打を送って継投する、全員準備せよと伝えてあった。確信を持った、予定通りの継投です」と明かした。事実、ベンチ入りした7人の投手のうち6人が登板したが、打席に入った投手は1人もいなかった。
早大の先発投手は、昨秋にリーグトップの防御率1.41をマークした加藤孝太郎投手(4年)が今季も安定しているが、2回戦になると決め手に欠ける。一方で打線は、今季4試合全てで2桁安打をマークし、1試合平均10.5得点の猛打を振るっている。1人1、2イニング限定の小刻みな継投で相手打線の目先を変え、好調の打線に物を言わせて勝ち切ったこの日の展開を、小宮山監督は「博打に勝った」と表現した。
さらに小宮山監督は、もう1つの賭けにも勝っていた。1点ビハインドで迎えた6回1死二塁の好機に値千金の逆転2ランを放ち、その後の打線爆発につなげたのは、群馬・健大高崎高時代に高校通算52本塁打を量産し、今季6大学デビューを果たしたばかりの小澤周平内野手(2年)だった。
小澤は立大先発の沖政宗投手(3年)の2球目を一閃すると、本塁打を確信したように一瞬立ち止まった。打球は思いのほか伸びなかったが、なんとか右翼フェンスを越えた。小澤は「打った瞬間は行ったと思ったのですが、走っている途中に失速したので、スピードを上げました」と顔を赤らめ、小宮山監督は笑みを浮かべながら「己を知れ」とたしなめた。
1年生だった昨年はリーグ戦出場を果たせなかった小澤だが、今季はこれまで全4試合に「7番・三塁」で出場し、打率.353(17打数6安打)の大活躍。本塁打は、オープン戦を含めて大学入学後初だった。“確信歩き”は恥ずかしい格好にこそなったが、チームへの貢献度は非常に高い。
ただ、小澤が高校時代の大半と昨年1年間にわたって守ってきたポジションは、二塁だった。小宮山監督は「春季キャンプの段階では、小澤をスタメンで使うつもりはゼロだった」と明かし、「オープン戦の最後の2試合だけサードで使ってみたら、いい動きをしていたので、その勢いでリーグ戦も任せている。あくまでバットではなく、グラブ(守備)の方でいけると判断したが、高校時代から打っていた選手ですから要領を得ているのでしょうね。そこまで大きな期待をしていたわけではなく、おつりがくるくらいの活躍です」と目を細める。
もちろん、普段から選手を観察し、コミュニケーションを取っているからこそ、“博打”に映る用兵も的中するのだろう。昨秋は勝ち点4で首位に並びながら、勝率差で優勝を逃した。東大、立大を相手に4戦全勝スタートを切った今季は、着実に天皇杯へ近づいている
(Full-Count 宮脇広久)