第41回フジサンケイレディスクラシックが21日、静岡県・川奈ホテルゴルフコース開催される。2004年までは男子ツアー「フジサンケイクラシック」の舞台となっていた同GC富士コースに05年、舞台を移して今年で18回目となる(2020年はコロナの…

第41回フジサンケイレディスクラシックが21日、静岡県・川奈ホテルゴルフコース開催される。2004年までは男子ツアー「フジサンケイクラシック」の舞台となっていた同GC富士コースに05年、舞台を移して今年で18回目となる(2020年はコロナのため開催中止)。

川奈の特徴として高麗グリーンや海風が挙げられるがここ数年、設定距離を伸ばし続けていることも、大会の注目ポイントだ。その距離と、優勝者の特徴を照らし合わせると、他の大会以上にショットメーカーが有利であることが見えてくる。

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■毎年を距離を伸ばす

近年、フジサンケイレディスは毎年距離を伸ばしている。今年は6,457ヤード、昨年は6,447ヤード、一昨年は6,439ヤードだった。6,464ヤードだった年もあったが、その頃はパー72。2018年からはパー71なので、実質的には今の方が“長い”。

コースの距離が長いほど、基本的にはアプローチやパット巧者のステディなプレースタイルの選手よりも、飛距離が出てグリーンを直接狙えるショットメーカーがより有利になる。

グリーンコンディションやピンポジションが難しくなると、ステディなプレースタイルでは、グリーンを狙うショットで、どれだけ狙い通りの方向にイメージ通りの飛距離を出せたとしても、グリーンオンさせたり、バーディーチャンスにつけたりすることが難しくなる場合がある。

一方、グリーンを狙うショットでボールを上から直接グリーンにドンッと落とせるショット力があれば、あらゆる状況に対応しやすくなる。

フジサンケイレディスの歴代優勝者に名を連ね、通算3勝を挙げている大江香織はステディなプレースタイルの選手だったが「これ以上伸びしろはないと思った」という言葉を残し、2019年に29歳という若さでツアーから退いた。これは、ショットの方向の安定や、ショートゲームのうまさだけでは限界があり、日本女子ツアーでも活躍するには、飛距離を含めた総合的なショット力を有していることが“ベター”から“マスト”の時代になってきていることを表している。

■過去3大会の勝者は前年度パーオン率トップ2

過去3大会の優勝者は皆ショットメーカーだ。高橋彩華も、稲見萌寧も、申ジエも、前年度のパーオン率トップ2に入っている。

■昨年度のパーオン率トップ2は、山下美夢有、稲見萌寧

昨年は高橋彩華が悲願の初優勝を遂げた。幾度となく優勝争いに加わりながら最終日に崩れることを繰り返していた高橋の、初日から首位を守り続ける完全優勝は、黄金世代11人目の優勝となった。

今年の川奈では誰が優勝するのだろうか。過去3大会の流れが続くのであれば、昨季のパーオン率トップ2の山下美夢有、稲見萌寧のどちらかから優勝者が出るだろうか。稲見はコロナに感染し、バンテリンレディスに続き、フジサンケイレディスも欠場すると発表した。ということは山下か。

昨季のメルセデス・ランキング、賞金ランキングともに1位の山下は、今季も1勝を挙げメルセデス・ランキング1位だ。今季これまでの7戦、予選落ちなしですべて25位以内。さすがの安定感を見せているだけでなく、3月19日には21位だったパーオン率は4月16日時点で6位まで上昇。毎週順位を上げており、ショットの状態が上向いていることをうかがわせる。

また、今季の7戦はすべて初日アンダーパーで初日の平均スコアが1位。3日間トーナメントのフジサンケイレディスでは、より有利に働くだろう。

■岩井明愛 双子姉妹そろって初優勝から2週連続優勝なるか

先週のKKT杯バンテリンレディスオープンでツアー初優勝を遂げた岩井明愛は勢いに乗って川奈に乗り込む。昨季は、双子の妹、岩井千怜が初優勝から2週連続優勝という快挙を達成。この川奈で明愛が優勝すれば、双子姉妹そろって初優勝から2週連続優勝となる。

明愛にあるのは勢いだけではない。昨季のパーオン率は山下と稲見には及ばなかったものの3位となり、山下に引けをとらないショットの精度がある。さらに、ボールストライキング3位、平均バーディ数12位など、パーオン率以外にも“勝っていないのが不思議”なぐらいのスタッツを昨季叩きだし、大きなポテンシャルを感じさせていた。

21年には、ステップ・アップ・ツアー(下部ツアー)で、千怜が初優勝した次の大会で明愛が初優勝している。双子で2大会連続優勝。「双子姉妹そろって」「千怜に続き明愛が」「2連続」などのワードが絡む記録が2人には多い。明愛の初優勝から2週連続優勝は、十分にありえる。

山下か岩井明愛か。もしくは、今季パーオン率1位の福田真未や2位の穴井詩あたりの中堅勢が食い込んでくるのか。距離が長くなり続けるフジサンケイレディスで最も輝くのは、今季もショットメーカーのような気がする。

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文●野洲明