(C)Getty Images 3月8日にNHKのEテレでオンエアされた「クラシックTVスペシャル『羽生結弦 フィギュアスケートと音楽 完全版」。放送から10日以上が経っても、視聴者からの絶賛の声が収まることはありません。 司会者は…

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 3月8日にNHKのEテレでオンエアされた「クラシックTVスペシャル『羽生結弦 フィギュアスケートと音楽 完全版」。放送から10日以上が経っても、視聴者からの絶賛の声が収まることはありません。

 司会者はピアニストの清塚信也さんと歌手の鈴木愛理さん。プロフィギュアスケーターの羽生結弦さんをゲストに招き、「春よ、来い」や「序奏とロンド・カプリチオーソ」といったプログラムの音楽作りへと一緒に取り組んだ「羽生&清塚タッグ」が「フィギュアスケートと音楽」を徹底的に深掘りする52分。これが実に濃密で感動的なひとときだったと、称賛の声が相次いでいるのです。

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 スポーツ紙のデスクが言います。

「正直驚きました。熱心なファンの皆さんの中では常識なのかもしれませんが、羽生さんは音楽家と言っても過言ではないほど、音に対するこだわりと理解が深い。このレベルで音楽と向き合っているトップアスリートはジャンルを問わず、他にいないでしょう。いい歳して恥ずかしいのですが、打ちのめされてしまったというのが偽らざる本音です(笑)」

 中でも羽生さんと清塚さんとの深い信頼関係が織りなす「阿吽の呼吸」には、ホンモノとホンモノがぶつかり合うことで生まれる熱き芸術が、見ている者の心を揺さぶらずにはいられません。

 前述のデスクは続けます。

「二人に共通して言えるのは、優れたアートを生み出すことに対する並々ならぬ熱意です。それは気持ちだけじゃない。研ぎ澄まされた技術があるからこそ、人々の胸を打つことが可能になる。芸術に対するお互いの真摯な姿勢に共鳴するからこそ、コラボが足し算ではなく掛け算になり、高いレベルで化学反応を起こしていくことが分かるのです」

 そんな二人ですが、お高くとまって「分かる人だけ分かればいい」といった態度を取ることは一切なく、持ちうる技術を広く一般の人々の幸せへと還元していく点も、強い人気を誇る理由でしょう。

「二人が織りなす『春よ、来い』はコロナ禍の閉塞した時代において、心身が疲れ果てた人々の希望の灯火になったんです。苦悩の中にいる時、あの音色と舞いにどれほどの人々が生きる活力をもらったことか。芸術家が持ちうる技術や熱情を、市井に生きる人々のためにここまで使うだなんて、二人とも他に比類無きアーティストですよ」

 さらに二人に共通する点は、ユーモアです。そのトークを聞いているだけで笑顔になる人は多いことでしょう。教養に溢れた鈴木愛理さんの喋りも安心して聞いていられて、本当に喜びだらけの52分。「神回」としても過言ではありません。

「音楽家にとって、演奏は目に見えることなくその瞬間に消えてしまうもの。しかし、羽生さんの演技はその『音』をカタチにしてくれる。清塚さんにとっても羽生さんとの仕事が『特別な時間』であることが画面の端々から伝わってきましたね」

 こういった番組はやはり、NHKが本気を出したときにオンエアされるもの。公共放送の矜持を感じるひとときでした。録画したものを、今後も事あるたびに何度も見てしまいそうです。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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