3月24日(ウルグアイ戦)と28日(コロンビア戦)で再スタートを切る森保ジャパン。次のW杯を目指す新チームに相応しいキャプテン、そして中心メンバーは誰になるのか。識者5人の意見を聞いた。◆ ◆ ◆遠藤航は、多くの識者が次期キャプテンと考えて…

3月24日(ウルグアイ戦)と28日(コロンビア戦)で再スタートを切る森保ジャパン。次のW杯を目指す新チームに相応しいキャプテン、そして中心メンバーは誰になるのか。識者5人の意見を聞いた。

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遠藤航は、多くの識者が次期キャプテンと考えている

【キャプテンは当面試合毎に】

杉山茂樹(スポーツライター)

 キャプテンは当面、試合毎に決めればいい。

 理由は2つ。選ぶとすれば欧州組のなかの大物選手になるが、誰か1人に定めるとその選手に毎試合出席する義務感のようなものが生まれかねない。負担増となる恐れがあることが1つ。

 もう一つは、欧州で確固たる地位を築いている選手が少ないことだ。4年後(実質3年数カ月後)日本代表の中心でいる保証がある選手が少ない。悪く言えばどんぐりの背比べ、よく言えば粒ぞろいという現状と、大黒柱を意味するキャプテンを置くことは円滑な関係にないと考える。

 中心メンバーは、実力重視でいけば三笘薫(ブライトン)、鎌田大地(フランクフルト)になるが、確約できるのはこの先2年だ。第1期森保ジャパンからの流れでいけば遠藤航(シュツットガルト)になるが、先は読めない。また循環が激しくないとチームのレベルは上がらない。

 本大会、予選ともに次回W杯からレギュレーションが大きく変わるので、従来の価値観を捨てる必要がある。チームを固めるのは最後の最後、W杯本番直前で構わない。発想を転換して臨まないと危ないと見る。

【キャプテンは遠藤航、中心は鎌田大地】

小宮良之(スポーツライター)

 森保一監督は、引き続き吉田麻也(シャルケ)にキャプテンを求めるだろう。カタールW杯は最大の成功であり、そのチームを継承する形になる公算は高い。二人の信頼関係は絶大だ。

 しかし新チーム編成を考えるなら、遠藤航(シュツットガルト)のようなタイプがキャプテンにふさわしい。メンタル的にもタフで、周りに一目置かれ、責任感でプレーを好転させられる。何より、今のチームは「守備ありき」の比重が高く、攻撃的にシフトするには、中盤でバックラインと前線をつなげるバランサーの発言力が必要だ。

 中心選手には、鎌田大地(フランクフルト)を推したい。

 カタールW杯でも、鎌田の存在が戦術決定に影響を及ぼした(フランクフルトと同じ布陣だった)。戦術的にチームをけん引していくべき立場。彼の発言権が増すことで、攻撃に広がりが出て、プレーの再現性が増し、例えばコスタリカ戦の勝率を確実に上げられるはずで、スペイン、ドイツに一方的に攻められ続けることもないだろう。

 ハイラインを敷いて、遠藤を中心に高い位置で守りながら、鎌田をエースに久保建英(レアル・ソシエダ)、堂安律(フライブルク)、上田綺世(セルクル・ブルージュ)などが持ち味を出せるか。

 三笘薫(ブライトン)は一人でも「戦術」となるはずで、彼がいい形でボールを受けられる仕組みを整えることが重要課題だ。

【攻撃の軸は三笘薫。板倉滉に最終ラインのリーダーシップを】

原山裕平(サッカーライター)

 これまでキャプテンを務めていた吉田麻也(シャルケ)はすでに34歳。次のW杯で招集される可能性はゼロではないとはいえ、常時ピッチに立ち続けることは難しく、統率者としての役割を担うには適任ではない。

 すでに前回のチームでもリーダーシップを発揮していた遠藤航(シュツットガルト)がキャプテンを引き継ぐのが自然の流れだろう。シュツットガルトでも主将の任を担う生粋のリーダーが、日本代表をさらなる高みへと導いてくれることを期待したい。

 この遠藤がチームの中心なら、攻撃の軸として期待されるのは三笘薫(ブライトン)をおいてほかに見当たらない。カタールW杯でもチームを救う活躍を見せていたものの、役割的にもポジション的にも決して能力を最大限に発揮できたとは言い難い。

 ブライトンで圧巻のパフォーマンスを続ける三笘を適所に配置し、彼を中心としたチーム作りを推し進めることが森保一監督に課せられたテーマとなるはずだ。

 またドイツで望外の成長を続ける板倉滉(ボルシアMG)にも、最終ラインを力強く束ねるリーダーシップを期待したい。

【世代間をつなぐキャプテン3人制もあり】

中山 淳(サッカージャーナリスト)

 おそらく森保一監督は、引き続き吉田麻也(シャルケ)にキャプテンを任せるだろう。ただ、吉田個人のパフォーマンス維持を考えても、多岐にわたるキャプテンの仕事から解放してあげるのも選択肢。これを機に、遠藤航(シュツットガルト)にキャプテンマークを渡すほうが妥当だと思われる。

 あるいは、第1キャプテンを吉田、第2キャプテンを遠藤、そして第3キャプテンを冨安健洋(アーセナル)または板倉滉(ボルシアMG)と、世代間をつなぐようにキャプテン3人制を採用し、中長期的な視点に立ってリーダーを育成、継承していくのもひとつの方法だ。

 今後、チームの中軸となっていくのはカタールW杯組になるが、その中でも冨安、板倉、田中碧(デュッセルドルフ)、三笘薫(ブライトン)、堂安律(フライブルク)、久保建英(レアル・ソシエダ)、上田綺世(セルクル・ブルージュ)といった東京五輪世代の存在が重要になる。彼らが代表に定着し、これから加わってくるであろう、若い世代の選手たちと融合することがチームの成長には欠かせないポイントになる。

【東京五輪世代が自然と中心になっていく】

浅田真樹(スポーツライター)

 普通に考えれば、次期キャプテンは遠藤航(シュツットガルト)だろう。

 リオ五輪代表でもキャプテンを務めていたばかりか、かつて所属した湘南ベルマーレでは19歳でキャプテンを任されたほど、リーダー気質を備えた人材である。吉田麻也(シャルケ)が日本代表に残るか否かにかかわらず、再スタートを切る日本代表のキャプテンは遠藤に任せてもいい。

 また、次回ワールドカップに向けて、チームが生まれ変わったことをより強く印象づけるなら、東京五輪世代の中山雄太(ハダースフィールド)に託してみてもいいのではないだろうか。彼もまた、その任に足る人材のはずだ。

 今後、中心メンバーとなっていくのも、東京五輪世代であるべきだ。

 三笘薫(ブライトン)、久保建英(レアル・ソシエダ)ら、すでに多くの東京五輪世代がカタールW杯を経験し、その後もヨーロッパで活躍の度合いを順調に高めている。彼らが今後中心メンバーになっていくべきだというより、自然とそうなっていくことは間違いない。