木村和久の「新・お気楽ゴルフ」連載◆第23回 コースのメンバーになり、ハンデキャップを取得し、「さぁ、競技!」という新しいステージに突入していく矢先、思わぬ"伏兵"が現れました。それは、スランプです。 今回は長く、スランプに陥ってからおよそ…
木村和久の「新・お気楽ゴルフ」
連載◆第23回
コースのメンバーになり、ハンデキャップを取得し、「さぁ、競技!」という新しいステージに突入していく矢先、思わぬ"伏兵"が現れました。それは、スランプです。
今回は長く、スランプに陥ってからおよそ2カ月経っても治りません。それでも、その原因がおおよそわかり始めて、ひと筋の光明が見えてきました。
結論から先に言うと、頻繁に叩いていた理由は、年齢による衰えです。しかも、体力的な面と機敏さ、そしてメンタル面の3つの"老化"が同時にやってきた模様です。その結果、ミスをカバーしようとしている間に、次の新しいミスが発生し、次第に膨れ上がったミスをカバーできなくなってきたんじゃないですかね。
今回は、そんな老化による衰えにどう対処すればいいのか、考えてみたいと思います。
老化による衰えにはどう対処していけばいいのでしょうか...
(1)体力的な衰え
実は昨年辺りから、飛距離が落ちた、と薄々感じていました。よく通うコースのショートホールで、以前と同じクラブを使って打っても、グリーンに届かないのです。それで、1番手大きいクラブで打つと、ちょうど届く。つまり、飛距離は確実に落ちていたのです。
それは、一緒に回っている人たちとの飛距離の比較でもわかりました。以前は4人でラウンドすると、たいてい飛ばし屋がひとりは混ざっていて、「あの人、すごいなぁ」と驚いたものでした。
ところが最近、私以外の同伴メンバー3人が皆、飛ばし屋だったりして。それで「最近の若い人は飛ぶなぁ」と驚いていたものですが、毎回飛ばし屋とばかり会うので、ひょっとしたら自分が飛ばなくなったのでは? と思い始めるようになりました。
そうして、たまたま昔の仲間とラウンドした時、「最近飛ぶようになったね」と言うや、相手は「全然、前と変わっていませんよ」と言うじゃないですか。これで、自分が飛ばなくなったことがはっきりとわかりました。
そこからは、無駄なあがきです。飛ばそうといろいろと努力しますが、クラブを強く振ろうとすると、逆にドライバーをこすってへなちょこスライスが出る始末。ますます飛ばなくなる悪循環に陥りました。
この飛距離問題、今では別の解決法を考えています。どうせ飛ばせないのなら、昔の飛ばないドライバーを持ち出して、せめて真っ直ぐ飛ばそうと。そういった戦略の切り替えで、調子は取り戻せそうな気がしています。ひとまず、今後の成り行きを待つとしましょう。
(2)繊細なショットも不調に
飛距離が落ちたのなら、アプローチでカバーしようとするでしょ? ところが、得意だった寄せも全然ダメになってしまいました。
残り30ヤードをピンそばにつけようとして昔のノリで打つと、ヘッドアップして、トップしたり、チャックリしたり。逆にグリーン回りで叩いてしまうことに......。
過去の栄光を背負ってしまうと、それがプレッシャーになって押し潰されてしまうのです。困ったものです。
こちらの解決策としては、アプローチの主力をウェッジから、より簡単なショートUTに変えることにしました。特に冬場は枯芝。そこでウェッジを使うと、ボールが上がらずミスしがちです。
それで、試しにロフト45度のUTを使ったら、芝の上をうまく滑ってくれて、すこぶる調子がいいです。ミスの頻度がかなり減りました。とりあえず、グリーンに乗ればいいと思って打つと、自分へのプレッシャーもかからず、いい球が出ます。
今では、ロフト35度のショートUTも使用。100ヤード以内はすべて、2本のショートUTを打ち分けてカバーしています。
昔はグリーンを外しても寄せワンパーを狙いましたが、最近はグリーンに乗せることを最優先してボギー狙い。むしろ、どうしたらダボにならないかと考えています。
とにかく今は、このまま調子がよければ、芝が生えそろった新緑シーズンを迎えても、UT多用でいきたいと思っています。
(3)ミスをすると冷静さを失う
昔はよく、ひとつミスをやらかすと頭のなかが真っ白になって、ミスの連鎖を起こしていました。少し前までは「そんな昔が懐かしいなぁ」と思っていたものですが、ゴルフ歴30年を過ぎて、もはやそんな暇などありません。再びミスの連鎖が起きているのです。
原因は何か? 老化によって、精神的なゆとりがなくなった――いわば、動作が鈍くなったってことです。
うちの義父は85歳でまだ元気にしていますが、70代後半にゴルフをやめています。やめた理由は動作が遅くなって、周りから「もっと早く打って」と言われるようになり、それが嫌だったから、とのこと。
現在の自分は、動作は遅くありませんが、ショットを打つ際の注意事項、確認事項がおざなりになり、ミスをしています。微妙な左足下がりなのに、平らだと思って打って、大ダフりするとかね。こういったことがしょっちゅう起きています。
経済学者のトーマス・グレシャムは、「悪貨は良貨を駆逐する」と語っています。それと同じで、「ミスショットはナイスショットを駆逐する」とでも言いましょうか。
ナイスショットができた。じゃあ、続けざまにナイスショットができるかというと、そうでもないです。ナイスショットはたまにしか出ません。
でも、ミスショットをやらかすと、頭がブチきれて、次もミスショットをし、またさらにミスショットを重ねてしまいます。ミスはネズミ算的に増えていくんですね。
今後は、ミスしたあとの欲張ったリカバリーをやめたいと思います。ミスを甘んじて受け入れ、「素ダボ&素トリ大丈夫」宣言をして、めげないようにします。
(4)自分に甘いゴルフだったことを痛感
あと、長年甘やかされてラウンドしてきたので、そのツケが今、回ってきたのだと思います。
かつてのメンバー生活をやめて以降、ここ十数年間のラウンドではスルーザグリーン6インチプレースと甘いOKパットがお約束でした。けど、今後は月例競技に出るからと、それに合わせてノータッチルールと厳しいOKプレーでのラウンドにしたら、すごく叩くようになったのです。
また、昔は少々ライが悪くても、力でボールを運べましたが、今は力んでしまうと、クラブが地面につっかかってミスにつながることが多いです。
ゴルフを始めた頃、林のなかに打ち込んでしまった時には、そこからできるだけピンの近くまで運びたいから、狭い隙間を狙って大叩きしたことが多々ありました。その後に学習して、林のなかに入ったら、横に出すのが一番いい、ということに気づかされます。
それと同じでシニアになったら、ちょっと変なライから打つことになった場合、たとえフェアウエーであっても、フルショットすることなく、7割くらいの力でコンパクトに振り抜くとか。工夫が必要です。
とまあ、こんな状況で現在はいろいろと試行錯誤を繰り返している最中です。「100叩きゴルファーに戻りました」と宣言するのは簡単ですが、やはりそれはまだ悔しい。
そこでシニアゴルファーとして、飛ばないけど、慎重なゴルファーを目指して、ゆっくりと回復していこうと思っています。
それにしても、まさか新しいステージが競技参加ではなく、スランプ入りとは......。
このステージを乗りきれるかどうかは、気力の問題です。気が滅入って「これでいいや」とならないこと。日々の練習やニューギア導入は、必ず報われることを証明したいです。