毎年言っているがフェブラリーSは、若い馬(4歳・5歳)が有利なレース。東京ダート1600mは、トップスピードの速さが活きる舞台で年齢を重ねるとスピードの対応が難しくなる。パワーや器用さでカバーできる地方交流重賞で勝てていても、東京ダート…

 毎年言っているがフェブラリーSは、若い馬(4歳・5歳)が有利なレース。東京ダート1600mは、トップスピードの速さが活きる舞台で年齢を重ねるとスピードの対応が難しくなる。パワーや器用さでカバーできる地方交流重賞で勝てていても、東京ダート1600mで行われるダート界最高峰レースでは、スピード対応を他の適性でカバーしきれずに勝つことが難しくなってくる。

 ただ、今年はタイトルにも書いた「変化」を大きく感じる年。変化の原因は『サウジカップ』。総賞金2000万ドル、1着賞金1000万ドル(約13億円)。5着賞金でも100万ドル(約1億3000万円)なのでフェブラリーS1着賞金(1億2000万円)とほぼ同じ。ダート1800mで行われるので、チャンピオンズカップの1着ジュンライトボルト、2着クラウンプライドが参戦。それに加えて、フェブラリーS2連覇中のカフェファラオまでがサウジカップを選択。実施時期が、今のままでいいのかと考えさせられる状況になっている。

「全日本的なダート競走の体系整備」が行われることになりダート種牡馬の価値が上がると言っても、チャンピオンズカップ・フェブラリーSをすでに勝っている馬が複数回勝ったところで価値はほぼ同じ。それを考えたらもっと賞金を稼げる可能性があり、勝ったらダート種牡馬の中から少し抜けた種牡馬となれるチャンスまであるサウジカップ。必然的なレース選択だ。

 それでも数少ない国内ダートGI。フェブラリーSに必要な「格」がある王道の馬がいるなら、その馬を選ぶべきレース。フェブラリーSへの王道は、前年東京1600m重賞勝ちがあり前走でチャンピオンズカップで負けた馬(理想は一桁着順)、前走東海S・根岸Sの勝ち馬。

 過去10年でこの条件に該当しなかったのは故障して直近の着順が悪かったが実は世代最強で、その後連覇するコパノリッキーだけ。今年の出走馬で、この条件に該当するのは「レモンポップ」だけ。例年より格のある馬が少ない年に、フェブラリーSに向けての王道路線で結果を出したことは大きな価値がある。

 格として他を挙げるとしたら「ショウナンナデシコ」。牝馬限定の地方交流重賞で3着が3戦続いて、東京大賞典6着。近走内容を見ると物足りない結果に見えるが、かしわ記念1着の「マイルJpnI勝利」の価値は大きい。このかしわ記念を超えるパフォーマンスで走れる馬が何頭いるのかと考えたら少ない。過小評価された人気なら買う価値は十分ある。

 例年と違う変化を感じるフェブラリーS。馬券圏内に来れそうな馬が多く見えるが、能力・適性を考えると買える馬は絞れてきそうだ。

(文・nige)