第40回全農 日本カーリング選手権大会(1月29日~2月5日)が北海道北見市常呂町のアドヴィックス常呂カーリングホールで行なわれる。 女子の優勝候補は、やはり連覇を狙うロコ・ソラーレだろう。1年前の北京五輪での銀メダル獲得の快挙はまだ記憶…

 第40回全農 日本カーリング選手権大会(1月29日~2月5日)が北海道北見市常呂町のアドヴィックス常呂カーリングホールで行なわれる。

 女子の優勝候補は、やはり連覇を狙うロコ・ソラーレだろう。1年前の北京五輪での銀メダル獲得の快挙はまだ記憶に新しいところだが、以降もチームの成長は著しい。

「もうオリンピックは過去のこと。私たちは常に前を向いて進んでいる」とスキップの藤澤五月が語るように、2022-2023シーズンを迎えてからも、今季新設されたパンコンチネンタル選手権に日本代表として出場して優勝。さらに、クラブとしても念願のグランドスラム初制覇を達成するなど、日本のカーリング界にまた新たな金字塔を打ち立ててきた。



日本選手権連覇を狙うロコ・ソラーレ。写真は昨年9月のアドヴィックスカップで優勝した時のもの。photo by (C)北海道カーリング協会

 そんな彼女らが次に目指すのは、原則として日本選手権優勝チームが出場権を得る世界選手権の頂点だ。

 実は、ロコ・ソラーレは日本選手権を過去3度制しているが、意外にも世界選手権出場は日本選手権で初優勝を遂げた直後の2016年大会(カナダ・スウィフトカレント)だけ。日本選手権で2度目の優勝を果たした2020年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、開幕目前にして世界選手権の中止が決定。当時、すでに現地のカナダ・プリンスジョージ入りし、大会に向けて万全の態勢を整えていたメンバーたちは落胆の色を隠さなかった。

 選手はそれぞれ、大会開催に向けて最後まで尽力していた世界カーリング連盟への感謝を口にしたのちに、「勝つ覚悟も準備もしてきただけに悲しい」とサード・吉田知那美。リードの吉田夕梨花が「勝てたかどうかはわかりませんが、最高の準備はできていた」と言えば、セカンドの鈴木夕湖も「(上位に)いけそうだったので、残念です」と、肩を落としていた。

 そして、日本選手権3度目の優勝を飾った昨年は、スケジュール面なども考慮してか、日本カーリング協会は北京五輪代表となったロコ・ソラーレとは別に、世界選手権代表を選出し、中部電力が出場している。

 そのような経緯もあり、ロコ・ソラーレの世界選手権への思い入れは強い。実際に鈴木はかつて「世界選手権は世界のトップに挑む貴重な機会なので、ライバルチームが出ていると単純に羨ましかったです」と語っている。

 さらに、世界選手権は近年、参加国が13カ国に拡大され、ラウンドロビン(総当たりの予選)だけで12試合。クオリファイ(プレーオフ進出)以降も合わせると、最大15試合を戦うことになる。チームとしてのピーキング能力や耐久力が試される五輪を超える長丁場は、真の強さが試されると言っていい。

 だからこそ、出たい。そこで勝ちたい――ロコ・ソラーレのメンバーの思いは強い。

 また、2016年大会で彼女たちは銀メダルを獲得しているが、のちに藤澤は「そのあとの平昌五輪(銅メダル)もそうなんですけど、あの時の世界選手権の結果を(自分たちは)"まぐれ"とは思っていませんが、周囲からはどうしても『新しいチームが勢いで上がっていった』という評価がされていたと思う」と吐露したことがある。

 平昌五輪以降の戦いぶりからして、世界選手権や五輪でのメダル獲得がフロックではなかったことは証明されているが、彼女たちにとってみれば、昨季の北京五輪での銀メダルや今季のグランドスラム制覇によって、自分たちは"ニューカマー"ではなく、真の世界トップチームとしてやっと認められた、その仲間入りを果たした――そう考えているかもしれない。

 すなわち、それらの実績をいわば"手形"として、いよいよ世界の頂点に正式に挑む。どこまでもストイックでどん欲な彼女たちであれば、そう捉えていてもおかしくない。

 念願の世界選手権出場へ、そして世界の頂点へ。目標の切符を手にする日本選手権の決勝は、2月5日だ。

 もちろん勝負事なので、予断は許されない。国内トップチームも軒並み好調を維持している今季、ラクな試合など存在しないだろう。

 だが、藤澤が加入した2016年大会から、ロコ・ソラーレは出場した6大会(2018年大会は平昌五輪出場のために不出場)すべてでファイナルに進出している。

 7度目のファイナル進出を決め、4度目の日本王者に輝いた時、彼女たちは世界選手権に向けてどんな言葉でその思いを語るのだろうか。