長野県野辺山高原の滝沢牧場を会場に11月12~13日の2日間にわたって、「ラファ+弱虫ペダル スーパークロス野辺山」が開催された。野辺山高原の滝沢牧場を会場に開催これは、年齢、経験に基づきカテゴライズされた多様なレースが用意されたシクロクロ…

長野県野辺山高原の滝沢牧場を会場に11月12~13日の2日間にわたって、「ラファ+弱虫ペダル スーパークロス野辺山」が開催された。



野辺山高原の滝沢牧場を会場に開催

これは、年齢、経験に基づきカテゴライズされた多様なレースが用意されたシクロクロスの大会で、男女のトップカテゴリーの上位者にはUCI(世界自転車競技連合)ポイントが付与されるUCIの認定レースも含まれている。コロナ前には、海外からの参戦もあり、非常にレベルの高い戦いが繰り広げられていた。



牧場に設営されたコースを選手が走り抜ける

同時に、牧場を舞台にしており、飲食をしながらレースを見守ったり、動物がいたりと、観客の視点も考えたコース設計や、地域のグルメなどが楽しめる。ディスプレイもハイセンスなフードブースなど、観客を楽しませる仕掛けが随所に散りばめられているため、参加して楽しく、観て楽しい、例年多くの参加者、観戦者が足を運んでいる人気の高い大会だ。





会場で楽しめるグルメも魅力!



レース会場おなじみのキッチンカー。温かいメニューは今年も大人気!

コースは、八ヶ岳を見渡せる牧場の敷地内をうまく活用して設計されており、フライオーバー(立体交差)も設営され、本場ヨーロッパを思わせるような環境も魅力。ドライコンディションの年は、上位カテゴリーのレース時には、水を撒き、オランダのような難度の高い泥セクションが用意され、レースをさらに面白くすることも。観客は、苦戦する選手を拍手と歓声、そして特製カウベルを鳴らして応援するのだ。



滝沢牧場を這うように設定されたコース



牧場の既存の施設をうまく生かし、海外に来たような独特の世界が広がる。観戦が楽しい!

初日は、男子エリートカテゴリー4から始まり、午前中に50歳代~、60歳代~のマスターズや、男女のカテゴリー2までが開催された。かつての日本のトップ選手など、強者が揃った男子スーパーマスターズ1は大いなる盛り上がりを見せた。



仲間と参戦し、盛り上がる



バイクトラブル時は、ピットまで担いで走る。トラブルも、また一興



かつてのトップ選手が参戦したスーパーマスターズの表彰台。熱戦だった

※女子エリートは次ページへ→

そして、午後からは男女のトップカテゴリーが開催された。男子エリートは、AJOCC(日本シクロクロス競技主催者協会)が認定する一連の主要レース「JCXシリーズ」の第3戦となる。スーパークロス野辺山としては連戦になるが、初日はJCX戦、2日目は、JCX戦に加え、UCIレースとなり、さらに重要度の高いレースとなる。初日も大切な1戦ではあるが、トップレーサーたちはUCIポイント獲得のチャンスがある2日目のレースを見据えながら、初日のレースに臨むことになる。
この週末、ロードレースでは、UCIレースのツール・ド・おきなわが開催されており、ロード系の選手たちの参加は難しかったものの、MTBや、シクロクロスに重きを置く多くの有力選手が集結していた。



女子エリートのスタート

女子は、全日本チャンピオンの渡部春雅(明治大学)が欠場し、今季好調の小川咲絵(AX cyclocross team)や、海外のチームに在籍し、世界のロードレースを走っており、東京五輪もロードの日本代表だった與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)らがエントリー。スタート後、小川が快調に走り、早くも1周目から先行し、強豪の與那嶺らからリードを奪った。



トップを走る小川咲絵(AX cyclocross team)



追う與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)。だが、小川には届かない

周回を重ねても、小川のペースが衰えることはなく、周回を重ねるごとに、その差を広げて行った。力強く、リズムよくハイペースを刻む小川に迫れるものは、この日誰もいなかった。



善戦した石田唯(早稲田大学)

小川は独走態勢を貫き、両手を上げて笑顔でフィニッシュ。多くの観客の祝福に迎えられながらの優勝となった。



トップでフィニッシュした小川



副賞は地元産のハクサイだ

2位には與那嶺が、3位には石田唯(早稲田大学)が入り、表彰台を確保した。

※男子エリートは次ページへ→

続いては、男子エリートが開催された。少し日も傾き始めたが、気温は17度と悪くない。この日の出走は70名。ツール・ド・おきなわ組は欠場となったが、連勝を続ける織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)や昨年度の全日本チャンピオン小坂光(宇都宮ブリッツェン)ら、強豪選手が肩を並べた。



男子エリートがスタート。先頭は小坂光(宇都宮ブリッツェン)

スタートから、ホールショットを取ったのは小坂光(宇都宮ブリッツェン)。小坂は過去にこのコースで開催された全日本選手権を制した経験を持ち、コースとの相性もよい。今季絶好調の織田が小坂の後ろに続く。



シケインを降りて走るか、タイムロスは少ないが体力を使うバニーホップで跳ぶか。織田は常にバニーホップを選択する



小坂の後ろにつける織田

シケイン(障害物)に突入し、先頭の小坂はリズムよく降車し、バイクを手に越えて走るが織田はバイクにまたがったまま、迷いなくバニーホップで跳んでクリア。タイムギャップを狭めていく。小坂と後ろにピタリとつけた織田は高速で先頭を走る。レースは9周回での実施と決まった。



段差を跳ぶ小坂

3周目、織田が巧みに小坂をかわし、先頭に踊り出た。織田は力強い走りで先頭を行く。小坂も追うが、なかなかこの差が詰まらない。
5周目に、織田がパンクし、小坂が先行。再び小坂が単独で先頭を走ったが、ラスト4周で織田がアタック。小坂をかわし、先頭に戻った。



先行する織田



一時小坂が先行したが、再び織田が先頭に。僅差でフライオーバーを上る

織田は落ち着いた走りで、また少しずつタイム差を開いていく。3位争いは混沌としていたが、スタートで大幅に出遅れ、圏外にいたベテラン竹之内悠が、着実にペースを上げ、先頭2名に匹敵する走りを見せ、選手をかわし、強烈に追い上げて来ていた。



じわじわと順位を上げる竹之内悠

小坂は最後まで織田に届かず、織田が単独でフィニッシュ。今季無敵の印象をさらに決定づけて見せた。



両手を上げ、トップでフィニッシュする織田



安定した走りを見せ、表彰台に上がった上位3名

2位に小坂、3位に竹之内が入った。竹之内は長く所属したチームを離れ、無地のジャージで個人として参戦したが、底力を見せた。織田は「前半は落ち着きがなく、ミスが多かった」と振り返る。後半には修正ができ、思うように走れたとのこと。「同じように(落ち着いてミスなく)走りたい」と翌日のレースへの意気込みを語った。
この翌日、同大会は2日目を迎え、男女エリートカテゴリーは、UCIレースとしてのレースが開催された。

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【JCXシリーズ第3戦】
【結果】Rapha+弱虫ペダル スーパークロス野辺山2022Day1
女子エリートDay1

1位/小川咲絵(AX cyclocross team)48:03
2位/與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)+2:21
3位/石田唯(早稲田大学)+2:56
4位/大蔵こころ(早稲田大学)+4:28
5位/鵜飼知春(and more)∔5:13

男子エリートDay1
1位/織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) 1:04:20
2位/小坂光(宇都宮ブリッツェン) +0:27
3位/竹之内悠 +1:25
4位/鈴木来人 +1:59
5位/中島渉(弱虫ペダルサイクリングチーム)+2:14

画像提供:/Rapha+弱虫ペダル Super Cross Nobeyama(撮影:Kei TSUJI)

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【JCXシリーズ2022-2023・レポート】
茨城シクロクロス土浦ステージ
幕張クロス2022