専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第109回 みなさん、ゴルフを覚えるとき、誰かの真似をしますよね。最近だと、一番多いのはレッスンプロのスイングおよびコースマネジメントでしょうか。とにかく、誰かの”…

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第109回

 みなさん、ゴルフを覚えるとき、誰かの真似をしますよね。最近だと、一番多いのはレッスンプロのスイングおよびコースマネジメントでしょうか。とにかく、誰かの”猿マネ”をやりつつ、自分なりの流儀を確立していく――それが手っ取り早い上達方法です。

 だけど実際問題、上手なゴルファーのスイングを真似しようとしたって、そう簡単にはいきません。それが容易にできてしまったら、テレビでゴルフ中継を見ている人は、みんなシングルになれますから。つまり、うまい人ほど真似るのは難しいのです。

 じゃあ、いったい誰の、何を真似すればいいのか。

 それは、「自分より飛ばないけど、うまい人」から、コースマネジメントを学ぶ。これに尽きます。

 ですから、シニアのシングルさんとか、オバちゃんトップアマとかね、そういう方々とラウンドする機会を得たら、ぜひそのプレーをじっくりと観察しましょう。いろいろなことに気づくはずですから。

 以前、関東じゃあ有名なトップシニアとコンペで一緒になって、何度かラウンドをさせてもらったのですが、いつも気づくとこちらが負けています。それほど差のない感じでプレーしているのに、いつの間にか「忍者の仕業か!?」って思うほど、鮮やかに打ち負かされてしまいます。

 スタートは、双方ドライバーでそこそこのショットを打ちます。こちらが210ヤードぐらい飛んで、トップシニアは200ヤードぐらいでしょうか。そこでは、しめしめって思うんですよ。

 セカンドショットもおおよそ同じ。双方惜しくもグリーンを外す、といった感じです。お互い20ヤードぐらいの寄せ勝負となるわけです。

 そこで、トップシニアはフェアウェーからきれいに寄せて、ピン手前3mぐらいのところにつけます。こっちはラフからですが、何とかがんばってピン横3mぐらいにナイスアプローチ! ここまではほぼ互角に見えるでしょ?

 でも、すでに「戦いは終わっている」のです。

 トップシニアは、下から上りの真っ直ぐのラインをしっかり打って沈めました。片や、こちらは傾斜のある横のライン。入るわけもなく、大きく外して、あやうくダボになりかけました。

 ゴルフでは、ティーショットで100ヤードオーバードライブされたとか、そうしたわかりやすい負け方は珍しいです。うまい人との差は、このような微妙な差。その差の積み重ねなのです。

 そんなわけで、過去の体験から”細かく見ないとわからない”うまい人のコースマネジメントを引っ張り出してみたので、みなさんもぜひ真似してみてはいかがでしょうか。

(1)アプローチは全部、ピン手前につける
 多くのグリーンは手前から上りになっています。だから、カップの下につけるのが鉄則です。言うは易しですが、ついピンを狙ってオーバーしてしまうんですよね。

 簡単に言えば、上りの真っ直ぐのラインなら、20mぐらい下からでも「OK」を取りやすいパットを打てるのです。逆に、ピンの上や横は3mぐらいにつけてしまうと、非常に難しく、3パットの危険が大いにあります。

(2)刻むときは思い切り刻む
 例えば、420ヤードぐらいの長いミドルホールで、なかなか2オンを狙えないことがありますよね。その場合は刻むことになるのですが、できるだけ前へと思って、セカンドショットをピン手前30ヤードぐらいのところを狙います。でも、そういうときに限って、飛びすぎてガードバンカーにつかまったりしてしまうのです。

 うまい人は、自分の得意な距離、50ヤードとか100ヤードとか、そういう距離感を持っていて、セカンドショットでは3打目にそういう距離が残るように刻んできます。だから、こっちが「随分(距離を)残しましたね」と思って侮っていると、そこからきっちりと寄せてきて、結局はこちらが痛い目を見るわけです。

(3)林からは冒険せずに淡々と
 うまい人は達観しています。林に入ったら、それは「ペナルティーだから」と、淡々と脇に出すことが多いです。もちろん、前方が広くて狙えるのなら前に打ちますが、漫画のような冒険的なショットは一切しません。

 おそらく若い頃に何度も痛い目にあっているので、チャレンジしても意味はない、と悟っているのでしょう。現実を受け止めてなんぼ、それがゴルフというやつですね。


うまいシニアの方からは、いろいろな「極意」が学べると思います

(4)ショットはすべて軽やか。特にアプローチは超ソフト
 達人はとかくリズムを大事にしているので、ここはドラコンだからマン振り、みたいなことはあまりしません。だいぶ先のほうにドラコンの旗がある場合は、完全に無視。どうせ賞は取れないのだからと、自分のゴルフに徹します。

 アプローチでは、PWで110ヤードをフルショット的なことはまずしません。実に軽やかに、多くはスリークォーター、あるいはハーフショットでアプローチをしています。そこの力加減は、極めて参考にしたいです。

(5)アプローチの素振りは念入りに
 グリーン周りは、みなさん集中していますね。特に、20~30ヤードのアプローチは半分ぐらい寄せワンとなりますから。ここが腕の見せどころって感じで、気合いが入っています。

 ラフやベアグランドなどの微妙なライでの素振りの数は半端ないです。「もういいだろう」っていうくらいやっていますから。このしつこさが、シングルたるゆえんなのでしょう。

(6)パターのライン読みはさらにしつこい
 パッティングの際には、しっかりラインを読んでいます。グリーンに上ってくるときにはすでに下からのラインを読んでいて、それがルーティーンになっているので、カップを何往復もすることはありません。ただ、難しいラインのときは、時間をかけて素振りも丁寧にして、勝負をかけてきますね。

(7)絶えず周囲を見る余裕がある。間違っても先に打つことはない
 うまい人は余裕がありますから、絶えず周りの状況を見ています。他の人のパットはもちろん、順番もちゃんと守って、間違っても先に打つことはないです。人間ができている、というのでしょうか。

 そうして、グリーン周りまでは我々ともいい勝負をしているのに、スコアを書くときには”うまい人”が必ず勝っています。そういう場合が実に多いです。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

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