今年3年ぶりに開催された、ハワイオアフ島を最長で100マイル(160km)走る人気のロングライドを振り返る。折り返し地点のエイドステーション以降をお届けしよう。※前編はこちらからご覧ください。このエイドでは、折り返し地点まで来たことを示すボ…

今年3年ぶりに開催された、ハワイオアフ島を最長で100マイル(160km)走る人気のロングライドを振り返る。折り返し地点のエイドステーション以降をお届けしよう。

※前編はこちらからご覧ください。

このエイドでは、折り返し地点まで来たことを示すボード前で記念撮影する人も多く、順番待ちになる。美しい海を楽しめる公園で、寝転がったり、海辺まで写真を撮りに行ったり、皆が思い思いの方法でリラックスして過ごしている。



100マイル折り返し地点に到達!

エイドでは、フルーツやシリアルの焼き菓子をいただく。向かいにセブンイレブンがあり、ハワイ定番のスパムおにぎりなど、エイドは甘いもの中心になるため、食事になるものを買い足す方も多い。筆者は冷たいものが食べたくて、m&m’sのミントアイスと、エナジードリンクをゲット。



人気の「スパムむすび」。沖縄にもあるけれど、やはりハワイでも食べたくなる



セブンイレブンで購入。m&m’sのミントアイスは、激ウマだった。今すぐ日本でも売ってほしい!



存在感ピカイチなe-bikeを発見。荷物もたくさん搭載できるようだ

帰路も80km残っており、登坂がないわけではない。実は、このライドの最大の難所は、絶景ポイント「マカプウ」を反対側から上る登坂にある。そこまで、体力を残しておかなければ。折り返しエイドの制限時間は12時15分だが、帰路は往路より疲れもあり、ペースが落ちると考えた方が安全であり、12時前には出発したい。名残惜しいが、早々に再スタートすることにした。



山々と海、2種の美景を一度に楽しめる。帰路も元気いっぱいに走る参加者

美しい海を反対車線から見ながら進む。クアロアには牧場があり、馬もいる。山々と牧草とが作り出す青々とした風景もまた、美しい。
細かいアップダウンもあるが、勢いでクリア。帰路になると、参加者ごとのペースの差が大きくなってくる。誰かを追い抜く時には「オン ユア レフト」と左側から抜くことを、声をかけて伝え、接触のリスクを回避する。路肩が狭いところもあるので、気をつけて走りたい。



第5エイドに到着!

順調に「キープロジェクト」の第5エイドに、たどり着いた。ここは帰路専用のエイドとして設定されている。スターフルーツなどの南国のフルーツも並び、シリアルの焼き菓子もふんだんに用意され、勝手に豊かな気持ちになった。帰路のエイドも氷が用意され、保冷ボトルがあれば冷たいドリンクを楽しむことができ、かなり快適だ。



帰路に入り、エイドでもゆったりくつろぐ姿が



星形のフルーツ、スターフルーツ。ジューシーで、水分補給によさそうだ

椅子を借り、ゆったり談笑している参加者もいるが、疲労を感じている参加者もいる模様。景観も最高、参加者やエイドスタッフとの交流も楽しくて、元気いっぱいなのだが、正直、脚の疲労は感じていた。体力と残り時間とを計算し、無理のないペースで走らねば。脚力に自信のない筆者は、BCAAなどのアミノ酸を適宜摂りながら走る。



自由に過ごすエイドスタッフもハワイらしく、リラックスした空気を生み出している

このエイドのスタッフには女性が多く、にこやかでとても元気。誰かが出発すると見ると、パワフルに大きな歓声をあげ、楽しく、景気よく送り出してくれる。どのエイドもスタッフが明るくて、エイド運営もお祭り的に楽しんでくれている雰囲気があり、私たちのライドを、また忘れられないものにしてくれている。残りは60km。もはや、長いのか、短いのかも分からないが、ハワイを満喫しながら行こう!

ここからのルートは、市街地を抜ける太めの道路が多いが、車も配慮してくれて走りやすい。基本的には来た道を戻るが、ところどころ違うルートも選ばれている。日本でもおなじみのチェーン店があったり、日本系のブランドがあったりと、沿道を眺めるのも興味深い。住宅街を抜け、かき氷を食べたエイドに、逆側から入った。序盤に寄ったエイドであり、距離感も覚えているため、ここまで来ると安心感が持てる。復路でもかき氷サービスが残っていて、お兄さんが、いたずらっ子っぽい笑顔で、特別にレインボーのかき氷を作ってくれた。ありがとう!



お願いしたら「OK!」と二つ返事でレインボーシェイブアイスを作ってくれるお兄さん



ポップなレインボーシェイブアイス。嬉しくて気分が上がる

バナナとピーナッツバターを乗せたクラッカーをいただき、ドリンクを補充して、再スタート。残りはもう40kmを残すのみ。



エイド定番のバナナピーナッツクラッカー



住宅地を抜ける。どの公園も景観が整えられており、美しい

ほどなく、あのジャングル地帯に入る。疲労が出てきた復路になってみて、このエリアには意外とアップダウンがあることを悟る。往路で休みすぎ、遊びすぎて遅くなると、復路でペースアップしなければならず、かなり辛くなるのだ。



ジャングル地帯へ。行きよりもペダルを重く感じるのは気のせいか

居合わせた皆で声をかけあって、無理のないペースでクリア。そして再び、海沿いの道へ。片側は山々が連なり、木々が繁っているが、海側は、ワイマナロ、カイオナ、カウポと、美しいビーチパークが続く。植栽が途切れて視界が開けるごとに、美しい海が目に飛び込んでくる。海や小さな島々を眺め、気持ちよく走っていると、前方にそびえ立つ岩山のようなものが見えてくる。来た! マカプウだ。往路では「気持ちよく下った」あの坂が、上りになって戻ってきた。視覚的にも威圧感があり、脚力的にも疲れが来ており、このマカプウの上りは、文句なく、センチュリーライドの最大の難所である。



そびえ立つマカプウの上り。最難関スポットだ

息を整え、スタート。見晴らす景観はすばらしいので、上りをあまり意識せず、気晴らししながら行くと、少し楽に上れる気がする。軽いギアにして、淡々とペダルを回していく。無事に上りきり、展望台に到着。この後には、もう大きな上りはないはずだ。ここで一休みする面々の表情も明るい。
続いて待っているのは、下り坂。行きに上った坂だが、今度は海の絶景が広がる下り坂になっている。気持ちよく、景観を楽しみながら下った。だが、ここで突然の雨が! すぐにカメラを防水バッグにしまい、レインジャケットを着て、大慌て。南国では突如、強い雨が降ることがあり、長くは続かないものの、最低限の備えをしておかなくてはならない。カメラの故障を避けるため、雨宿りし、おさまるのを待って再スタート。先ほどの雨が幻だったかのように、晴れた。海からまた内陸に入り、ゴルフ場を抜け、ハートブレイクヒルを下る。

いよいよ終盤だ。マカプウからこのあたり一帯はハワイカイと呼ばれる高級住宅地。豊かな暮らしが垣間見えるようだ。この先は、ハーバーやショッピングセンターがあるが、復路では海岸線まで出ず、入江を横切ったり、沿って走ったりするため、往路とは違う雰囲気を味わえる。ここで最後のエイドステーションに到着。全体としては6つめのエイドとなる。雨宿りで遅れた影響で、すでにかなり人が少ない。だが、まだ十分な食べ物が残っていた。このエイドにはマラサダ(ドーナッツ)が! エイドで食べるにはちょっと大きいけれど、ありがたく、最後のエネルギー補給にいただいた。



まだエイドはふんだんに残っていた!



最後の補給はマラサダ(ドーナッツ)をチョイス。普通サイズで、エイドにしては大ぶり

ここからは、もう気持ちよく走るのみ! ハイウェイを行く。周りには日本人は見えないけれど、他国の参加者のウェアを見るのも楽しいし、バイクを牽引しお子さんと走るパパなど、いろいろな参加者がいて興味深い。



パパの自転車に装着したバーで牽引されながら走る女の子。最高にキュートだった

ハイウェイを降り、帰路はカハラをぐるりと大きく周ってから、海沿いの道へ。夕景となった海を眺めながら、ダイアモンドヘッドの横を抜ける。まもなく、フィニッシュのカピオラニ公園だ。このハワイの空気ともうお別れかと思うと、少ししんみりしてしまう。



感動のフィニッシュ。多くのスタッフが出迎えてくれる

フィニッシュエリアに入ると、多くのスタッフの方が歓声を上げ、ボードを叩いたり、拍手したりして、にぎやかに出迎えてくれた。長かったようで、でも、短かった気もする100マイルが終了。
次々と日本にはない絶景が目に飛び込み、異文化の中を走る刺激も強く、ゴールの達成感は、とても、とても大きかった。フィニッシュ後の参加者は、疲れ切っている方も、まだまだ余裕のある方もいるけれど、皆とても満足げだった。話を聞いた皆が目標距離を走り切れており、ライドを振り返り、しばらく話に花を咲かせる。本当に楽しかった!
完走賞を受け取ると、早くも来年の相談が聞こえてきた。景観も、エイドやスタッフの明るい歓待も格別で、ライド自体も非常に楽しく、同時にディープな海外旅行として、興味や好奇心も満たすことができる。リピーターも多く、中には、定例のごほうびライドとして参加し続けている方も少なくないことも納得だ。ここで仲間グループができたという話も聞く。



南国の景観は気持ちを開放的にしてくれる。マカプウ・ビーチ・パーク付近にて

ちなみに、このライド参加者は、JAL便などであれば、自転車を無料で飛行機に乗せて運ぶことができる(要登録、他社は問い合わせを)。普段はそれなりの金額がかかることを考えると、非常にお得である。自転車の現地レンタルも可能で、今年はレンタルe-bikeでの参加者も登場し、脚力に自信がなくとも、センチュリーライドを完走できるようになった。

今年は、エントリー期には海外渡航に際しての煩雑な要件もあったけれど、おそらく来年は解消されていることだろう。不安があれば、メカニックが帯同し、サポート付きのツアーなどを利用すれば、ビギナーでも、おひとりでも、安心して参加できる。マイレージで飛び、ハワイ内で現地発着ツアーを利用することもできるという。次回の開催は、2023年9月24日。40回目の開催となる。自転車でハワイを満喫するという最高の体験に、トライしてみてはいかがだろうか。

画像:ホノルルセンチュリーライド受付事務局、編集部