F1フォトグラファー 新春対談 特別編F1の現場に30年以上足を運び、撮影を続けるベテランフォトグラファーの熱田護氏と桜井淳夫氏。ふたりの2022年シーズンのベストショット26枚をコメントとともに紹介する。photo by Sakurai …

F1フォトグラファー 新春対談 特別編

F1の現場に30年以上足を運び、撮影を続けるベテランフォトグラファーの熱田護氏と桜井淳夫氏。ふたりの2022年シーズンのベストショット26枚をコメントとともに紹介する。



photo by Sakurai Atsuo

第1戦バーレーンGP 開幕戦でバトルするマックス・フェルスタッペンとシャルル・ルクレール。この時点でレッドブルとフェラーリの力関係はきっ抗し、ふたりがシーズンを通して戦う展開となればよかったのですが、そうはならなかった。ある意味、シーズンを象徴する1枚。(撮影=桜井淳雄)

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photo by Atsuta Mamoru

第2戦サウジアラビアGP サーキット横のビルの上から撮影しました。美しい景色のなかで行なわれるサウジアラビアGPは、レースウィークにはジッダにある国営石油会社サウジアラムコの石油関連施設が攻撃を受け、一時はレース開催が危ぶまれる事態になりました。(撮影=熱田護)

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photo by Sakurai Atsuo

第3戦オーストラリアGP フェラーリの仕事をしている関係でチャーターした遊覧ヘリコプターに乗る機会があり、上空から撮った一枚です。無線で操縦士に指示を出し、定点でホバリングして、外した窓から撮影。面白い写真が撮れました。(撮影=桜井淳雄)

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photo by Atsuta Mamoru

第10戦イギリスGP 1月7日に38歳になるルイス・ハミルトン。速さはやや落ちていますが、実力はまだまだ一級品。母国での人気は圧倒的で、若いジョージ・ラッセルやランド・ノリスは全然およびません。レース界を盛り上げるためにまだまだ頑張ってほしい。(撮影=熱田護)



photo by Sakurai Atsuo

第4戦エミリア・ロマーニャGP イモラ・サーキットの観客席の裏からアルピーヌを撮影しました。この時は暗くて天気が悪かったのですが、仮設の観客席と4つ並んでいたゴミ箱を利用して、カラフルで疾走感のある写真が撮れました。(撮影=桜井淳雄)

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photo by Atsuta Mamoru

第11戦オーストリアGP 名物となっているオランダGPのオレンジカラーの発煙筒。絵的にはすごくいいのですが、あまりの煙でマシンが見えないことも。2022年から発煙筒の持ち込みが禁止されたんですが、スタンドではたくさんの発煙筒が炊かれていました。(撮影=熱田護)

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photo by Sakurai Atsuo

第4戦エミリア・ロマーニャGP コクピットに座る角田裕毅選手です。彼はすごくカメラを意識して、決して嫌がることはありません。これまで日本人ドライバーはカメラにそっぽを向くドライバーが多かったのですが、撮りやすい選手です。(撮影=桜井淳雄)

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photo by Atsuta Mamoru

第13戦ハンガリーGP 19位に終わり、肩を落としながら歩く角田選手。2022年はアルファタウリの競争力不足に悩み、本来の力を発揮できなかった。参戦3年目は飛躍のシーズンにしたいですね。(撮影=熱田護)



photo by Sakurai Atsuo

第4戦エミリオ・ロマーニャGP 開幕から好調だったフェラーリの勇姿を見るために、たくさんのファンが駆けつけていました。しかしフェラーリは中盤から失速し、タイトルを逃す結果になりました。(撮影=桜井淳雄)

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photo by Atsuta Mamoru

第16戦イタリアGP ルクレールは目力があり、本当に絵になるドライバーです。カメラを向けても背を向けることなく、どうぞ好きに撮ってください、という感じ。カメラのほうを見て、いろんなポーズをとってくれますので、すごく撮りやすい選手のひとりです。(撮影=熱田護)

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photo by Sakurai Atsuo

第6戦スペインGP 決勝はルクレールが独走する展開でしたが、マシントラブルでリタイア。フェルスタッペンが逆転優勝し、ポイントリーダーに立ちます。この頃からフェラーリは歯車が狂いだし、レッドブルはマシンの改良が進み、徐々に力を発揮してきました。(撮影=桜井淳雄)

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photo by Atsuta Mamoru

第18戦日本GP スタート直後の1コーナーで先陣争いをするフェルスタッペンとルクレール。フルウェットのなか、2台が並んで1コーナーを駆け抜けています。どちらかのマシンが少しでも流れてしまったら、2台そろってリタイアです。シビれる瞬間でした。(撮影=熱田護)



photo by Sakurai Atsuo

第7戦モナコGP ガードレールに少しだけ空いている隙間にレンズを無理やり入れて撮影しました。モナコは撮影場所が限定されていますが、みんなと同じようなところで撮っても面白くないのでトライ。まるでマシンが止まっているような写真が撮れました。(撮影=桜井淳雄)

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photo by Atsuta Mamoru

第19戦アメリカGP 少数精鋭の日本人スタッフで、ホンダがレッドブルのコンストラクターズのタイトル獲得に大きく貢献しました。2022年シーズンで一番感動した瞬間。第2期や第3期のスタッフに比べると若いですが、みんな精力的に仕事に取り組んでいます。(撮影=熱田護)

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第10戦イギリスGP

 シルバーストン・サーキットの旧1コーナー「コプス」をかなり遠くから撮影しています。手前の赤く見えるのはタイヤバリアです。青い空をヘリコプターが飛ぶなか、F1屈指の超高速コーナーを駆け抜ける角田選手を捉えました。(撮影=桜井淳雄)

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photo by Atsuta Mamoru

第19戦アメリカGP テキサス州オースティンで開催されたイベントには3日間で44万人という観客が集まりました。数年前までF1にとって「不毛の地」と言われていたアメリカですが、状況が一変。今、人気が過熱しています。(撮影=熱田護)



photo by Sakurai Atsuo

第10戦イギリスGP スタート直後に発生した周冠宇(アルファロメオ)のクラッシュ。マシンが逆さまになり、火花を散らしてエスケープゾーンを滑っていきます。そのあと、タイヤバリアを飛び越え、フェンスに激突。ドキッとしました。幸い大きなケガもなく、F1マシンの安全性があらためて証明されました。(撮影=桜井淳雄)

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photo by Atsuta Mamoru

第20戦メキシコGP F2にフル参戦するジャック・ドゥーハンがメキシコでフリー走行に出走しました。お父さんは言わずと知れたロードレース世界選手権で5年連続チャンピオンに輝いたミック・ドゥーハン。ジャックは速いし、日本人の岩佐歩夢選手とともに将来が楽しみな若手です。(撮影=熱田護)

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photo by Sakurai Atsuo

第11戦オーストリアGP レッドブルの地元でオレンジ色のウェアを着たフェルスタッペンのファンが大勢詰めかけていました。スタンドの観客は興奮しているので緊張感や恐怖感がありますが、ファンの熱狂を表現しました。(撮影=桜井淳雄)

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photo by Atsuta Mamoru

第20戦メキシコGP ハースの小松礼雄・エンジニアリングディレクター。ハースという小規模で予算が限られたなかでいかに効率的に開発を進めて、ひとつでも上にいこうとギュンター・シュタイナー(左)とともに奮闘しています。2022年のハース躍進の立役者。(撮影=熱田護)



photo by Sakurai Atsuo

第13戦ハンガリーGP 予選はマシントラブルで10位に沈んだけれど、決勝では圧巻の走りと見事なタイヤ戦略で優勝したフェルスタッペン。夏場になると、レッドブルのパッケージとフェルスタッペンの走りががっちりかみ合い、手のつけられない強さになっていました。(撮影=桜井淳雄)

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photo by Atsuta Mamoru

第20戦メキシコGP アメリカと同様にF1が盛り上がっているのがメキシコです。レッドブルのセルジオ・ペレスの活躍もあり、スタンドは毎年、超満員。2022年は3日間で日本GPの約2倍、39万5902人の観客を集めたとのこと。(撮影=熱田護)

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photo by Sakurai Atsuo

第13戦ハンガリーGP 初めてのポールポジションを獲得し、3位表彰台に上がったラッセル。F1参戦5年目となる2023年シーズンにも期待したいです。(撮影=桜井淳雄)

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photo by Atsuta Mamoru

第20戦メキシコGP 全22戦中15勝を挙げて、2年連続王者に輝いたフェルスタッペン。彼がピリピリしたところを見たことがない。レース前でも自然体で平常心を保っています。だから強いんだと思います。(撮影=熱田護)



photo by Sakurai Atsuo

第17戦シンガポールGP 豪雨でスタートが大きく遅れたシンガポールで、グリッドに着くためにガレージを出る瞬間のルクレール。僕はコースからカメラを構え、コンクリートウォールの上にたまった雨をフレームに入れました。(撮影=桜井淳雄)



photo by Atsuta Mamoru

第22戦アブダビGP 4度の世界王者に輝いたセバスチャン・ベッテル。現役ラストレースを10位でゴールしたあとは、派手なドーナツターンを披露していました。スポーツ選手は引退すると言ってやめられる人は少ない。いつの間にか消えているのが大半。幸せなドライバー人生だったと思います。(撮影=熱田護)

終わり

対談 前編<「フェルスタッペンはファンサービスしない」「ラッセルは腹黒い」。F1カメラマン2人が目撃した一流ドライバーたちの意外な一面>から読む

【プロフィール】
熱田 護 あつた・まもる 
1963年、三重県鈴鹿市生まれ。2輪の世界GPを転戦したのち、1991年よりフリーカメラマンとしてF1の撮影を開始。2022年シーズン終了時点で取材557戦の、日本を代表するF1カメラマン。2023年1月28日まで写真展『0.2sec』が「M16 Gallery」(東京都江東区冬木22-32 森芳ビル1階)で開催中。1月7日、14日、22日にはトークイベントも実施。

桜井淳雄 さくらい・あつお 
1968年、三重県津市生まれ。1991年の日本GPよりF1の撮影を開始。これまでに400戦以上を取材し、F1やフェラーリの公式フォトグラファーも務める。YouTubeでは『ヒゲおじ』としてチャンネルを開設し、GPウィークは『ヒゲおじ F1日記』を配信中。鈴鹿サーキット公式HP内の特設ページ『写真で振り返る2022年シーズン』で作品を掲載。