(写真:六川 則夫) 悔恨の引き分け。難しい中東アウェイ戦だったとはいえ、最後まで慎重に、そして賢く戦っていれば、勝ち点3を手繰り寄せられた試合でもあった。 8分、本田圭佑が蹴った右CKを大迫勇也がヘディングで合わせて、日本が幸先良く先制。…


(写真:六川 則夫)

 悔恨の引き分け。難しい中東アウェイ戦だったとはいえ、最後まで慎重に、そして賢く戦っていれば、勝ち点3を手繰り寄せられた試合でもあった。

 8分、本田圭佑が蹴った右CKを大迫勇也がヘディングで合わせて、日本が幸先良く先制。37℃を超えるイラン・テヘランの暑さの中でも、序盤は効率的な攻撃からゴール前に迫り、ゴールも陥れた。ところが、徐々にこの戦い方は空転していく。

 日本が戦前に予想していた以上に、イラクは地上戦を展開。サイドからのクロスだけでなく、中央をパスで崩す形でも日本はゴールに迫られた。その結果、「守備がハマらなかった」(本田)ことでボールを回収する位置が低くなっていく。それでもヴァイッド・ハリルホジッチ監督が目指す縦に速い攻撃を繰り返した結果、ピッチ内の選手の可動域は広大になり、酷暑の下で徐々に体力が蝕まれていった。

 後半に入ると、井手口陽介が脳しんとうを起こし、今野泰幸と交代。さらに酒井宏樹もひざを痛めながらプレーし、久保裕也も足をつるなど、選手の体が悲鳴を上げていく。そして72分、ここまで踏ん張ってきた日本の守備陣が決壊。自陣ゴール前の混戦で、CBの吉田麻也とGK川島永嗣の経験者二人の連係ミスからこぼれ球をイラクに押し込まれてしまった。

 その後の反攻も実らず、結局ミス絡みでの引き分け。個人の失態がこの結果に直結したことは間違いないが、同時に戦い方に柔軟性を欠いた日本の力不足も露呈された。苦しい時間帯で垣間見えたのは、選手の稚拙な判断や選択。そして指揮官の頭の固さ——。90分内の多くの時間で奮闘しながらも、日本は勝ち点2を取りこぼした。

文:西川結城