去年10月6日に埼玉スタジアムで行われたイラク戦(写真:Getty Images) ここまで1勝1分5敗で勝ち点は『4』。すでに予選敗退が決まっているイラクだが、一つひとつの試合を見れば接戦が多く、それこそ昨年10月に行われた日本戦で山口蛍…


去年10月6日に埼玉スタジアムで行われたイラク戦(写真:Getty Images)

 ここまで1勝1分5敗で勝ち点は『4』。すでに予選敗退が決まっているイラクだが、一つひとつの試合を見れば接戦が多く、それこそ昨年10月に行われた日本戦で山口蛍による起死回生のゴールが決まっていなければ、現状はまったく違うものになっていたかもしれない。当時の監督だったラディ・シェナイシル氏が解任され、バシム・カシム新監督の初陣となった今月1日の親善試合・ヨルダン戦は1-0で勝利。さらにUAEで行われた7日の親善試合・韓国戦は0-0の引き分けと、新体制で高いモチベーションを維持している。

 メンバーは日本がホームで大苦戦した前回の対戦からほとんど変わっていない。強固な最終ラインの守備とシンプルながら正確な中盤のつなぎ、そしてサイドから徹底して繰り出される高速クロスとワイドからのミドルシュート。タイプ的に言えば最終予選の中でも日本が最もやりにくい相手だ。特に前回対戦でゴールを挙げたセットプレーはイラクにとって最大の武器。アハマド・ヤシーンの右足とアリ・アドナンの左足は“超アジア級”であり、直接でも間接でも脅威となる。

 また、イラクは試合巧者でもあり、相手陣内でファウルをもらう術に長けている。特にアラー・アブドゥルザフラと“イラクのメッシ”こと小柄なレフティーのフマム・タリクには要注意だ。不動の左SBであるドゥルガーム・イスマイールが負傷しているため、左サイドはそのタリクとアドナンがコンビを組む可能性が高い。その破壊力抜群の左サイドと対峙する右SBの酒井宏樹が守備のキーマンになるだろう。シリア戦の前に行われた欧州組合宿でも、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督からファウルせず厳しく止める方法を密着指導されていた。

 一方で右サイドのアハマド・ヤシーンも鋭いドリブルからのクロスに加え、ワイドな角度からミドルシュートを狙ってくる。左SBに入る選手の対応力も問われる一戦となるだろう。

文・河治 良幸