フランス・パリで開催されている「全仏オープン」(5月28日~6月11日/クレーコート)の大会12日目、女子シングルス準決勝で、世界ランク47位のエレナ・オスタペンコ(ラトビア)が第30シードのティメア・バシンスキー(スイス)を7-6(4)…

 フランス・パリで開催されている「全仏オープン」(5月28日~6月11日/クレーコート)の大会12日目、女子シングルス準決勝で、世界ランク47位のエレナ・オスタペンコ(ラトビア)が第30シードのティメア・バシンスキー(スイス)を7-6(4) 3-6 6-3で破り、約30年ぶりのノーシードの決勝進出者となった。

 これ以前にロラン・ギャロス(全仏)で決勝に進出したノーシードのプレーヤーは、1983年のミマ・ヤウソベッツ(ユーゴスラビア/現スロベニア)だ。彼女はその決勝で、7度全仏を制したチャンピオンのクリス・エバート(アメリカ)に敗れていた。

 オスタペンコは、2度目のマッチポイントをフォアハンドのウィナーでものにし、このセットで4度目のサービスブレークを果たして試合に決着をつけた。それは彼女にとって、この試合50番目のウィナーだった。彼女はまた45本のミスもおかした。

 オスタペンコはまさにこの日、20歳の誕生日を迎えた。フィリップ・シャトリエ・コートの観客たちは、彼女の勝利のあと、元ウィンブルドン・チャンピオンでオンコートのインタビューを担当しているマリオン・バルトリ(フランス)の音頭で、彼女のためにフランス語でハッピー・バースデーの歌を歌った。

「本当にうれしい」とオスタペンコは言った。「ここでプレーするのが大好きよ。(観客の)あなたたち皆を愛している。皆、素晴らしかった。応援に来てくれてありがとう。私はただただ、誕生日をこんな風に祝えたことがうれしいの」。

 オスタペンコはまだツアーレベルの大会で優勝したことがない。ロラン・ギャロス(全仏)で最初の大会優勝を遂げた最後の選手は、グスタボ・クエルテン(ブラジル)だ。彼はオスタペンコが生まれた日に、全仏の優勝杯を掲げたのである。

 この日の試合では、オスタペンコの強力なフォアハンドが違いを生み出した。それはときに時速122kmと、男子の世界ナンバーワンであるアンディ・マレー(イギリス)のフォアハンドの平均スピードより速かった。

「私はいつもアグレッシブにプレーし、チャンスがあるときにはボールを強打するよう努めているの」とオスタペンコ。「それがたぶん、今日私が勝つ助けとなったのかもしれない」。

 この木曜日はまた、バシンスキーの28歳の誕生日でもあった。彼女が全仏の準決勝で敗れたのは、ここ3年で2度目だ。

 バシンスキーは第7ゲームでサービスを落とした直後に、右膝に治療を受けた。しかし彼女がすぐにブレークバックしたことから判断しても、その故障が彼女をひどく煩わせているようには見えなかった。

 オスタペンコは今週まで、グランドスラム大会で一度も3回戦を超えたことがなかったが、彼女は舞台の大きさに恐れをなすこともなく、第1セットをタイブレークの末にもぎ取った。

 オスタペンコは第2セットの序盤にブレークを果たしたが、バシンスキーが最後の4ゲームを連取して、試合はセット・オールとなる。第2セットの最後のポイントは、オスタペンコのダブルフォールトだった。

 第3セットでは双方の選手がサービスで苦労した。この試合で起きた16のブレークのうち6ゲームが、このセットで起きた。

 オスタペンコは決勝で、第3シードのシモナ・ハレプ(ルーマニア)と対戦する。ハレプは第2シードのカロリーナ・プリスコバ(チェコ)を6-4 3-6 6-3で破って勝ち上がった。

 なお今年のロラン・ギャロスで最初の優勝杯は、この試合に先立ち、ミックスダブルスを制したガブリエラ・ダブロウスキー(カナダ)/ロハン・ボパンナ(インド)が獲得した。

 ダブロウスキー/ボパンナは2つのマッチポイントをしのいで、アンナ レナ・グロエネフェルト(ドイツ)/ロベルト・ファラ(コロンビア)を2-6 6-2 [12-10]で倒し、ふたりにとって初のグランドスラム・タイトルを獲得した。(C)AP(テニスマガジン)

※写真は「全仏オープン」準決勝でティメア・バシンスキー(スイス/右)を倒した直後のエレナ・オスタペンコ(ラトビア/左)(撮影◎毛受亮介/テニスマガジン)