プレハブや立体駐車場の製造・販売などを手がける日成ビルド工業(金沢市)は、バスケットボールチーム金沢武士団(サムライズ)のB2リーグ昇格の「影の立役者」と言われている。財務面の問題で一度は昇格に必要なB2クラブライセンス交付が見送られたサムライズに多額の支援を決断した。同社の森岡篤弘社長(55)に、その理由やスポーツへの思いを聞いた。

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■日成ビルド工業社長 盛岡篤弘さん(55)

 ――サムライズへのB2ライセンス交付が継続審議と発表されたのは3月1日。財務面の問題、お金が足りませんでした

 私が(サムライズの)中野秀光社長と食事したのは、サムライズが23連勝を達成した試合(3月4日)のあと。非常に迷った様子でしたが、お金の話を切り出された。「このまま選手のモチベーションがなくなってしまうのが怖い」。私もそう思った。こんなに勝っているメンバーが上に行けないのはもったいない。サムライズの活躍が地域の活性化につながるという感覚もあった。生まれ育った金沢に恩返ししたい気持ちもあり、その場で「わかりました」と伝えました。

 ――額は

 今シーズンから出資とスポンサードで数百万円を出していましたが、その何倍もの額です。すぐに役員会を開きました。「地域貢献として、資金面ではあるけどうちも参加していきたい」と説明すると、役員、取締役も賛同してくれた。期末でうちの決算も絡んでくるので手続きは大変。でもライセンスを取得し、昇格も決まって良かった。

 4月からコートの中央に社名のペイントが入りましたが、今回の件で本業との相乗効果は期待していません。あれを見たからといって立体駐車場を買おうという人はいないでしょう。

 ――スポーツによる地域貢献は以前から考えていた

 15歳の時、アメリカ・バファローに1年間、留学していました。アイスホッケーのセイバーズ、アメフトのビルズが街にあり、チケットがあれば男の子も女の子も「行く! 行く!」と大騒ぎ。ナイアガラの滝に行くのに通る街ですが、景気で言えば今の金沢の方がずっといい。だけどスタジアムはいっぱいになり、試合の日は街中大騒ぎ。プロクラブが地域を巻き込んで活性化させるすごさを目の当たりにしていました。

 アメリカの室内競技は大体、すり鉢状のアリーナでやる。体育館とは空間のイメージが違う。金沢の選手にもアリーナで試合をさせてあげたいと思っている。

 ――金沢には大規模アリーナはありません

 サムライズから新たなアリーナ建設に協力してもらえないかと言われています。大きな開発の話です。どこに建てるか、どのくらいの規模か、資金面などの調査に協力している。造るなら1万人規模で金沢駅西側の徒歩圏内が理想。

 ――ハードルは高い?

 国が推奨しているアリーナ構想があって、その助成金をどうとってくるか。地方自治体といかに話を進めるか。銀行の借り入れ、誰が事業主となって主体性をもって事業をみるのか。そういうのを全部同時に進めないと、成り立ちません。

 目星を付けている土地はあり、一部で交渉もしているが時期のめどがつく段階ではない。うまくやれば地域貢献につながる。プロ野球広島カープの魅力的な新スタジアムができて、街があれだけ盛り上がったのだから。(聞き手・塩谷耕吾)

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 〈もりおか・あつひろ〉 1962年、金沢市出身。金沢桜丘高から法大工学部に進学。卒業後に米アリゾナ州の大学院でMBAを取得し、86年に日成ビルド工業入社。98年から現職。