世界卓球団体戦 世界卓球団体戦(中国・成都)に出場している中国代表の待遇に対し、一部の国から「不平等」の声が漏れている。「THE ANSWER」では、現地で関係者らを取材。他の参加国とは違い、開催国にはVIP専用高級車や練習場の使用時間に差…

世界卓球団体戦

 世界卓球団体戦(中国・成都)に出場している中国代表の待遇に対し、一部の国から「不平等」の声が漏れている。「THE ANSWER」では、現地で関係者らを取材。他の参加国とは違い、開催国にはVIP専用高級車や練習場の使用時間に差があることが明らかとなった。

 世界卓球は個人、団体含め、中国開催は7年ぶり6度目。卓球王国として威信をかけた戦いを迎えた。10連覇を狙う男子は樊振東、馬龍、梁靖崑の世界ランクトップ3が参戦。4連覇中の女子も上位4人を占める孫頴莎、陳夢、王曼昱、王藝迪らが名を連ねた。絶対に落とせない母国開催だけに一層熱が入っている。

 ゼロコロナ政策を掲げてきた中国。今大会は選手や大会関係者、報道陣もホテルと会場の往来しかできない完全バブル方式で行われている。海外から成都に入るには、全員がシンガポールまたはドバイから同じチャーター便に乗らなければならない。各国選手団は開幕4日前の9月26日夜にホテル入りし、時間と空間を制限された生活に入った。

 開幕まで本番コート、練習場が使えたのは、各国に割り当てられたタイミングのみ。一方、中国代表がバブル内に入ってきたのは開幕前日だった。1か月以上前から成都の別の場所で合宿をし、自由に調整していたという。会場で取材する中国記者が明かす。

「中国チームは成都にはいましたが、この会場ではありませんでした。それでも(成都入りは)1、2か月前ですかね。中国はとても広いので、ある程度気候にも適応しなければいけません。彼らにとってそれほど大きなアドバンテージにはならないと思いますが、少しは助けになるでしょう」

 ここまでは開催国の“地の利”の範疇かもしれない。だが、開幕前の会場ではどの国も本番コートで練習してはいけない時間に、中国だけが調整していることもあった。その反対に、割り当てられた時間に練習場に現れず、誰もコートを使わない時間もあったという。一部の国からは「不平等」といった声が漏れている。

移動はVIP用の高級車「紅旗」を利用

 各国は、30分または1時間おきに出発する大型バスでホテル―会場間を移動。他国の選手と一緒に決められた時間に乗らなければならず、会場の入場口から少し離れた駐車場で降ろされる。日本選手では帰りのバスの時間が迫り、取材を早めに切り上げて慌てて乗り込む選手がいた。

 一方、中国は自分たち専用のシャトルバスを利用。窓にはスモークが貼られ、入場口の真ん前まで送迎されていた。さらに、来賓などVIPのために中国の高級車ブランド「紅旗」が用意されており、選手も要望を出せば好きな時間に利用できる。他国の選手も万が一バスに乗り遅れた時など緊急時は利用を許されるが、基本的には大型バスに乗らなければならない。

 ホテルでは中華料理をメインとしたバイキングが用意されているものの、中国代表は個別にシェフを帯同させているという情報も。日本はホテル食を利用する時もあれば、チームで用意した日本食などで対応。早田ひなは母が作るうどん、おにぎりを食べていることを明かしていた。

 現地の中国記者は母国開催に「極めて大きなアドバンテージがある」としつつ、「そもそも、選手たちの持っている力と技術は、開催地が中国であってもなくてもアドバンテージになります。技術に加え、世界中での経験もありますからね」と強調。また、一部から不満の声が上がる一方で、日本女子の渡辺武弘監督は「それでストレスをためても仕方ない。中国に来たらそういうのもあるだろうし、織り込み済みです」と受け入れていた。

 中国、日本は男女とも5日からの決勝トーナメントに進出。日本は男子が2大会ぶりのメダル、女子が51年ぶりの優勝を目指して戦っている。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)