世界卓球団体戦グループリーグ第2戦 世界卓球団体戦(テレビ東京系&BSテレ東で連日放送)が2日、中国・成都で行われ、男子グループリーグ第2戦に臨んだ世界ランク3位の日本は、同20位のルーマニアに3-2で勝ち、9月30日のイラン戦に続く2連勝…

世界卓球団体戦グループリーグ第2戦

 世界卓球団体戦(テレビ東京系&BSテレ東で連日放送)が2日、中国・成都で行われ、男子グループリーグ第2戦に臨んだ世界ランク3位の日本は、同20位のルーマニアに3-2で勝ち、9月30日のイラン戦に続く2連勝を飾った。チーム最年少19歳のエース・張本智和(IMG)が1勝1敗と苦戦する中、全日本王者の戸上隼輔(明大)が2勝の活躍で苦境を救った。大のプロレス好きの21歳。亡くなったアントニオ猪木氏の名言「迷わず行けよ」を胸に日の丸に闘魂を注入した。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

 決して迷うことなくコートに立った。2勝2敗でもつれた最終第5試合。1月の全日本選手権を初制覇した戸上が攻めた。E・イオネスクに対し、サーブで主導権をゲット。堅実な組み立てに強打を織り交ぜ、得点を重ねた。フルゲームの末に制した第2試合に続き、ストレート勝ちで雄叫び。エース・張本が1勝1敗となった日本の窮地で、魂を燃やした。

「1球目から自信を持ってプレーできました。相手が世界で活躍する選手というのは事前に知っていたので、こっちはチャレンジャー精神を持って臨みました。周りの選手、コーチにも、団体戦なのでなかなかうまくいかないこともあると言われていた。これが世界選手権だと思います」

 大粒の汗を流した一方、心も熱かった。実は大のプロレス好き。2001年生まれだが、1日朝に亡くなったアントニオ猪木氏(享年79歳)の試合にもYouTubeで熱中した。数々の逸話を残し、この世を去ったレジェンド。その一つは、1998年のプロレス引退試合で朗読された詩「道」だ。

「この道をいけばどうなるものか 危ぶむなかれ 危ぶめば道はなし 踏み出せば その一足が道となり その一足が道となる 迷わず行けよ 行けばわかるさ」

 戸上にとって生まれる前に紡がれた言葉。しかし、ファンとして魂は受け継がれている。

「迷わず行けよ、ですよね。僕、本当にそうだなって思っていて、卓球にも生かして迷わず行っています。今のプロレスも面白いけど、今とは違った昔のプロレスも僕はめっちゃ好きです」

プロレス好きの仲間からメッセージ「猪木さんに向けて頑張ろう」

 この日の試合に向かうにあたり、日本にいるプロレス好きの仲間から連絡が届いた。「今日のルーマニア戦は猪木さんに向けて頑張ろう」。スマホを手に闘志を燃やした。「それを見て、僕も本当にそうだなと思って戦いました」。プロレス界で一時代を築いた猪木氏の言葉を胸に激戦で勝利。天に拳を突き上げ、吠えた。

 12年ぶりにメダルなしに終わった前回2018年大会のリベンジを狙う日本。長年代表を引っ張ってきた水谷隼が引退し、東京五輪男子団体銅メダルメンバーの丹羽孝希がインフルエンザで直前に出場辞退。張本とともに軸になる選手の台頭は不可欠だ。3日は同12位の香港と対戦する。戸上はシングルス世界ランク27位・黄鎮廷とぶつかる可能性が高い。

「僕の中では日本のエースは張本選手なので、凄くやりやすいですし、2番手として相手のエースと先に対戦して、勝って張本選手、3番の及川(瑞基)選手に繋げる。5番で回ってきても、自分が必ず勝って日本を中国戦まで導いていける存在になりたい。チームの勢いに繋げられたら。」

 新時代のニッポン卓球を引っ張る男。「迷わず、ですね」。間違いなく勝利しか見ていない。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)