10月2日、東京六大学野球秋季リーグの第4週2日目が行われ、第1試合では早大が6対1で勝利。粘る東大を相手に終盤で勝ち越し、2連勝で勝ち点を獲得した。8回裏に満塁弾を放った熊田を出迎える早大ベンチ。2連勝で勝ち点を獲得した 前日完封勝利を…

 10月2日、東京六大学野球秋季リーグの第4週2日目が行われ、第1試合では早大が6対1で勝利。粘る東大を相手に終盤で勝ち越し、2連勝で勝ち点を獲得した。

8回裏に満塁弾を放った熊田を出迎える早大ベンチ。2連勝で勝ち点を獲得した

 前日完封勝利を収めた早大は清水大成(3年・履正社)、対する東大は鈴木健(3年・仙台一)と左腕同士が先発。序盤は投手戦となり、早大の清水は130キロ台後半ながら切れのあるストレートをハイテンポで投げ込み、変化球も効果的に交えて5回まで1安打無失点の好投。対する東大・鈴木も序盤から毎回安打を許しながらも「いつもより真っ直ぐに威力があった。特にピンチの時にアドレナリンが出て、一番いいコースに一番速い球を投げることができた」と要所を抑え、4回裏に背負った2死満塁のピンチも無失点で切り抜けた。

 試合が動いたのは5回裏だった。早大が1死から1番・熊田任洋(3年・東邦)が二塁打を放つと、四球を挟んで3番・中川卓也(4年・大阪桐蔭)が1ストライクからの2球目のストレートをセンター前に弾き返して1点を先制。しかし、「本人から『しんどい』という申し出があった。6回79球で交代を申し出るような鍛え方しかできなかった」(早大・小宮山悟監督)と先発の清水大が6回無失点のまま降板すると、続く7回表に東大が1番・宮﨑湧(4年・開成)のヒットから3番・別府洸太朗(3年・東筑)の左中間を破るタイムリー二塁打で同点。試合は振り出しに戻った。

早大が5回表に主将・中川卓の一打で1点を先制。力強いガッツポーズを見せる

 1対1の同点に追いつかれた早大だったが、「追いつかれた時、(センターの)蛭間からの返球、中継で(打者を)二塁でアウトにしたのが大きかった。あのプレーで勝てると思った」と小宮山監督。指揮官の思惑通り、早大は8回裏に2死から6番・吉納翼(2年・東邦)、7番・生沼弥真人(3年・早稲田実)の連打、代打・森田朝陽(3年・高岡商業)の死球で満塁とすると、9番・山縣秀(2年・早大学院)が押し出し死球。さらに1番・熊田が、カウント2-2からのストレートを捉えて、右中間スタンドへ放り込むダメ押しの満塁本塁打。「(満塁本塁打は)公式戦では初めて。とにかくつなぐことを意識して打席に入った。気持ち良かったです」と熊田。早大は最終的に計11安打で6点を奪って勝利を掴んだ。

8回裏2死満塁から1番・熊田が「公式戦では初めて」という満塁アーチを右中間スタンドに放り込んだ

 一方、敗れた東大は、先発の鈴木が粘りのピッチングで7回まで投げ、8安打を打たれながら1失点に抑えたが、2番手でリリーフした松岡由機(3年・駒場東邦)が痛打を浴びて敗戦。打線も計3安打に抑え込まれた。

敗れはしたが、東大の先発・鈴木は7回1失点の好投。次回登板へも大きな期待を抱かせた

■東京大vs早稲田大2回戦
東大 000 000 100=1
早大 000 010 05X=6
【早】清水大、原、○鹿田、伊藤樹-印出
【東】鈴木健、●松岡由、齊藤-松岡泰
本塁打:早大・熊田《8回満塁》

◎早稲田大・小宮山悟監督
「昨日もそんな簡単にはという話はしましたけど、今日もなかなか思うような試合ができなかった。8回は2アウトからの得点。前の週で明治に2アウトからやられたことをやり返したという意味ではいい攻撃ができたと思います。ただ、序盤でもう少しうまくやっていれば点が取れたので反省ですね。投手陣は明治2回戦ぐらい素晴らしい内容だったと思いますし、ある程度リーグ戦が始まる前に想定していた感じでは進んでいる。残りのカードもしっかりとした投球を期待しています。(先発・清水大の交代は)本人から『しんどい』という申し出があった。6回79球で交代を申し出るような鍛え方しかできなかった。ピンチらしいピンチもなく、スイスイ投げているばかり思っていたが、そうではなかった。夏場の鍛え方が足りなかった。はらわたが煮えくり返っています」

◎早稲田大・熊田任洋(3年・東邦)
「(8回の満塁本塁打は)何としても追加点が欲しい場面だったので、いいところで打てて良かったです。(満塁本塁打は)公式戦では初めてです。打ったのは真っ直ぐ。とにかくつなぐことを意識して打席に入った。(スタンドに)入るとは思わなかったです。気持ち良かったです」

◎早稲田大・中川卓也(4年・大阪桐蔭)
「(5回の先制打は)前の球がスライダーでファウル。タイミングは合っていたので、次はストレートかなと思った。きっちりといい形で打てたので良かったと思います。前半を終わって1対0の時もベンチ裏では0対0のつもりでやっていくぞ、と声をかけていた。我慢の試合だったと思いますけど、先発ピッチャーの清水からしっかりとゲームを作ってくれたので、バッターもしっかりと仕事をしないといけなかった。最後の最後でそれができたという面では、課題はもちろんあるんですけど、収穫はあったと思います」

◎東京大・井手峻監督
「松岡を出したところから相手投手との勝負だと思っていた。(勝負どころでの2死球は)インサイドを攻めるということを一生懸命やっている。うまく行くときは行くんですが…。(先発の鈴木は)粘りましたね。初めてのような球速も見たし、どんどん進歩している。今日のような投球をもう1回、2回とやってもらいたい。(4日の慶大3回戦へ向けて)こちらは連投に近い投手ばかりですから、総力戦で行きたい」

◎東京大・鈴木健(3年・仙台一)
「いつもより真っ直ぐに威力があったと思いますし、インサイドにも投げ分けることができた。真っ直ぐを軸にして、真っ直ぐに見せかけた変化球でゴロを打たせることができたのがよかった。特にピンチの時にアドレナリンが出て、一番いいコースに一番速い球を投げることができた。(自己最長イニングに)これまでは3イニングが最長だったので、集中力的な疲れは感じた。体の疲れはもちろんありましたけど、それよりもメンタル的な疲れの方が印象強いです」