「世界卓球・日本代表連載」、開幕まであと1日―第6回は木原美悠 世界卓球団体戦(テレビ東京系&BSテレ東で連日放送)が30日に中国・成都で開幕する。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、4年ぶりの開催となる世界最強国決定戦。男女別に行われ…

「世界卓球・日本代表連載」、開幕まであと1日―第6回は木原美悠

 世界卓球団体戦(テレビ東京系&BSテレ東で連日放送)が30日に中国・成都で開幕する。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、4年ぶりの開催となる世界最強国決定戦。男女別に行われ、日本は男子4人、女子5人が代表に名を連ねた。「THE ANSWER」では開幕4日前から当日まで連載を実施。日本代表全選手の想いを伝え、大会を盛り上げる。

 29日の第6回は木原美悠(JOCエリートアカデミー/星槎)が登場。幼い頃から数々のタイトルを手にしてきた18歳が、ついに世界卓球のコートに立つ。卓球一家に生まれた新世代の天才は、「打倒・中国」を目標に掲げた。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平、協力=テレビ東京)

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 福原愛、石川佳純、伊藤美誠、平野美宇。卓球界には幼い頃に脚光を浴び、「天才少女」と呼ばれてきた選手が数多くいる。その系譜を継いでいたのが木原だ。

 小学生時代から年代別の全国大会で優勝を重ね、同世代のトップを走ってきた。14歳で出場した2019年の全日本選手権は史上最年少で決勝進出。伊藤に敗れたが、堂々の準優勝だった。2学年上の長崎美柚とペアを組み、同年12月のITTFワールドツアーグランドファイナル準決勝で世界卓球女王の中国ペアから大金星。大会を制し、年間女王に輝いた。

 長崎とともに「Wみゆう」の仲良しペアとして卓球界注目の的に。翌年はコロナ禍で大会が制限されたが、見失わずに腕を磨いた。

「練習しかしないから、早く試合がしたいなという気持ちが強かったです。その中でもTリーグがあったのでそこで自分を成長させて、国際大会が少しずつ開催されるようになってからその成長を生かしたいと思っていました。残念というより、『今がもっと強くなれるチャンス』と考えていましたね。練習がたくさんできるから課題を埋めたり、強みをもっと伸ばしたりする期間にしようと思っていました」

 21年8月末、世界卓球個人戦の代表選考会が行われた。決勝リーグ上位2人が代表入りできた中、早田ひな戦でマッチポイントを握りながらも逆転負け。3勝4敗の4位に終わった。長崎も5位に沈み、「(世界卓球に)2人で一緒に行こうね」と交わした約束はかなわず。「最終的には、オリンピックでもシングルス。自分の力で切符を掴まないといけない」とシングルスの重要性を痛感した。

「家族に会うこと」を一番の楽しみに、秋に拠点を置く関東から兵庫に帰省した。元選手の父・博生さんは卓球教室を運営し、姉と兄もラケットを握る卓球一家。甥、姪と遊んでいても、会話は自然と卓球に向く。

「普段は凄く遠くで応援してくれたり、画面を通して試合を見てくれたりしている。家に帰って試合の振り返りとか、なんとなく卓球の話になるんですけど、そういう時に『やっぱり応援してくれてるな』って実感します。だから、もっと頑張っていい成績を出したい」

目標は「やっぱり打倒・中国。みんなで本気で勝ちに行きたい」

 支えに感謝して迎えた今年3月の代表選考会。ベスト4なら世界卓球の出場が決まる中、準々決勝で平野に勝利した。同じく準々決勝で伊藤を破り、代表入りした長崎とハグ。伊藤、早田、長崎、佐藤瞳との日本代表は「強いです」と言い切る。「個人に特徴があると思います。一人ひとりいろんな強みがあって面白い」と明かした。

 自身は中国選手に「回転がわからない」と言わしめるサーブと、卓球台に張り付いた前陣速攻から放たれる強力なカウンターが武器。さらに母親にも「試合中に何を考えているのかよくわからない」と言われるほどのポーカーフェイス。無意識というが、「心の中は、もうすんごい暴れてます。でも、外には出してない」と、これも一つの武器になっている。

 3大会連続銀メダルから51年ぶり悲願の優勝へ、木原の躍進が欠かせない。目標は当然のように中国の5連覇阻止を掲げた。

「やっぱり打倒・中国。日本を背負って団体戦を組むのは、世界ジュニアと世界ユースぐらいしか経験したことがない。世界選手権という凄く大きな舞台で中国選手と試合ができることがまず嬉しいです。けど、そこで終わったらダメ。チームのみんなで本気で勝ちに行きたいと思います。最近、海外の試合は中国選手にしか負けていない。だから、対中国で一回でもいいから勝ちたい」

 石川、平野が代表に入っていない今大会。24年パリ五輪では、木原が日本代表の中心選手になっている可能性もある。新世代の天才が、初の世界卓球で輝きを放つ。

(第7回は及川瑞基が登場)

 ◆世界卓球 9月30日からグループリーグが行われ、上位16の国と地域が10月5日からの決勝トーナメントに進出。テレビ東京系&BSテレ東で連日放送。中継キャッチフレーズは「新時代の、目撃者になる。」(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)