「世界卓球・日本代表連載」、開幕まであと2日―第5回は横谷晟 世界卓球団体戦(テレビ東京系&BSテレ東で連日放送)が30日に中国・成都で開幕する。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、4年ぶりの開催となる世界最強国決定戦。男女別に行われ、…

「世界卓球・日本代表連載」、開幕まであと2日―第5回は横谷晟

 世界卓球団体戦(テレビ東京系&BSテレ東で連日放送)が30日に中国・成都で開幕する。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、4年ぶりの開催となる世界最強国決定戦。男女別に行われ、日本は男子4人、女子5人が代表に名を連ねた。「THE ANSWER」では開幕4日前から当日まで連載を実施。日本代表全選手の想いを伝え、大会を盛り上げる。

 28日の第5回は横谷晟(じょう・愛知工業大)が登場。初めて世界卓球への切符を掴みとった20歳の新星は、昨年からドイツで武者修行。技術も、意識も、顔つきも変わり、日本男子2大会ぶりのメダル獲得へガッツ溢れるプレーを誓った。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平、協力=テレビ東京)

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 初代表の横谷はいつでも行く。対戦国とシングルス5試合(3勝先取で白星)で勝敗を争い、各対戦3人が出場。うち2人は2試合ずつ行う。東京五輪男子団体銅メダルメンバーの丹羽孝希がインフルエンザで出場を辞退し、4人となった日本代表。緊張、怖さのどちらが大きいのか。20歳に迷いはなかった。

「もちろん、知らない世界なので楽しみですね。不安は全然ないです。初めてでわからないことが多いけど、未知だからこそ思い切っていける。どこで使われるかわからないような立場。選ばれたからには万全の準備で行く覚悟はあります」

 世界ランクは231位ながら、勢いを見せる次世代のホープだ。3月の代表選考会では4強入りで世界卓球代表に内定。準決勝は張本智和に敗れたが、3位決定戦では丹羽から勝利を挙げた。

 3歳から卓球を始めた。愛工大名電高3年時はナショナルチームの「候補」止まり。しかし、時を経るごとに才能が開花した。本人も代表入りできた「一番の要因」に挙げるのが、強豪ドイツでの武者修行だ。高校卒業後の昨年夏からブンデスリーガ2部で試合を重ねた。

 この1年が19歳を変えた。

「環境、取り組み方をモデルチェンジしたのがよかったです。練習の仕方、ドイツの考え方を日本に持ち帰った。プレースタイルは変わってないけど、自分の意識は変わったと思います。前は(コートにボールが)入らないと終わりだった。今は入らないなりに、入らなくなる前に、少し工夫を加えられるようメンタル的に落ち着いたと思います」

「もともと人見知りとかないんで」と物怖じしない性格。英会話も習い、「1年間でめちゃめちゃ成長した」とコミュニケーションを取れている。今では周囲に「顔つきが変わった」と言われることもしばしば。大らかな性格が多い外国勢に揉まれ、心身ともに逞しさを増した。

「ドイツの方が良くも悪くも適当ですね。しかも、自分が行ったのはコロナの期間だったので帰れないこともあった。そういう適当なところも吸収して、(自分の)悪いところにも生かして絶対に今に生きていると思います」

プレーも応援もアグレッシブ「ガッツでやり抜いていく」

 持ち味はアグレッシブなプレースタイル。世界ランク1位に君臨する樊振東(ファンジェンドン)ら中国選手を目標に腕を磨いてきた。「樊振東選手に似てる」と言われることもあり「あれぐらいもっと安定感がついて、かつダイナミックな部分も残していけたら」と、さらなる成長曲線を描いている。

 昔から五輪を夢に見てきたが、選考会3位で具体性を増した。この大会では父親がベンチ入り。「ちょっとは親孝行できたかなって勝手に思ってます」。周りからも期待の声を掛けられることが増え、「それが嬉しいんですよ」と今のモチベーションだ。

 ナショナルチーム入りし、国際大会の出場も増加。日本人と異なるスタイルの選手と対峙し、「前と違うような経験ができてます。今、めっちゃ楽しいです」と目を輝かせる。長く卓球界を引っ張ってきた水谷隼さんが引退し、新時代へ転換する最初の世界大会。5月に20歳になった横谷は、2大会ぶりのメダルを「獲ってきます」と宣言した。

「持ち味であるダイナミック、アグレッシブなところを貫き通して向かっていきたい。自分たちが引っ張って日本をメダルへ導いていけるように、自分の役割を全うして勝っていきたい。自分の役割はガッツ。もちろん試合の時もガッツで、応援の時もガッツでやり抜いていこうかなって思ってます」

 強気で熱い男が、日本に闘志を与える。

(第6回は木原美悠が登場)

 ◆世界卓球 9月30日からグループリーグが行われ、上位16の国と地域が10月5日からの決勝トーナメントに進出。テレビ東京系&BSテレ東で連日放送。中継キャッチフレーズは「新時代の、目撃者になる。」(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)