「世界卓球・日本代表連載」、開幕まであと2日―第4回は佐藤瞳 世界卓球団体戦(テレビ東京系&BSテレ東で連日放送)が30日に中国・成都で開幕する。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、4年ぶりの開催となる世界最強国決定戦。男女別に行われ、…

「世界卓球・日本代表連載」、開幕まであと2日―第4回は佐藤瞳

 世界卓球団体戦(テレビ東京系&BSテレ東で連日放送)が30日に中国・成都で開幕する。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、4年ぶりの開催となる世界最強国決定戦。男女別に行われ、日本は男子4人、女子5人が代表に名を連ねた。「THE ANSWER」では開幕4日前から当日まで連載を実施。日本代表全選手の想いを伝え、大会を盛り上げる。

 28日の第4回は佐藤瞳(ミキハウス)が登場。チーム最年長の24歳は若返りした女子日本代表の主将に任命された。プレースタイルは日本唯一のカットマン。チームをまとめ、熱中している日本ハム・新庄剛志BIGBOSSのような「意外性」を身につけながら金メダル獲得に貢献する。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平、協力=テレビ東京)

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 佐藤は自分の役割を果たすため、虎視眈々と準備を進めている。22歳の早田ひな、21歳の伊藤美誠、20歳の長崎美柚、18歳の木原美悠との日本代表。ミーティングの末、キャプテンを任された。歴代の代表でも面倒見のいい“お姉さん”的な役割を担う選手がいた日本卓球界。佐藤は自覚を込めて話す。

「キャプテンを決める時、みんなそれぞれ個性があって『大変なチームやね』『動物園みたいになるんちゃう?』と笑っていた。みんな明るい選手。いい雰囲気でやれるかなと思います。若い選手が多いけど、自分より経験豊富なところもある。試合以外の行動面でも一番年上として隙がないチームにしていきたい。ピシっとさせる役割になりたいですね」

 伊藤、早田とはジュニア時代のナショナルチームでも団体戦で共闘した旧知の間柄。当時もキャプテンを務め、「雰囲気づくりとか、まとめることはやってきたことがある。試合に臨みやすい雰囲気をつくっていけたら」と歓迎する。時間厳守の徹底やミーティングの総括、渡辺武弘監督との橋渡し役を担うつもりだ。

 もちろん、プレーでも貢献したい今大会。最近では「もともと好き」という新庄BIGBOSSから吸収できる姿があったという。「新庄効果にハマりました」と熱弁する。

「話が凄く面白い。(新庄氏が)監督になられてから気になってしまうし、自分の出身地も北海道。いろいろなアスリートの本を読んでいる中でも、新庄監督の思考は面白いなって。人と違う考え方。みんながぶっ飛んでいると思うものですし、『えっ!?』と思う人もいる。でも、一つひとつの行動が全て計算されていますよね。

 現役時代も常識では絶対にやらないことをやったり、それも全て事前に考えて練習していたり。誰よりも陰で練習していたという話もカッコいいなって思います。ルールもわからなかったんですけど、気になって試合結果を見ちゃいますね」

 現役時代から型破りなスタイルでファンを沸かせてきたBIGBOSS。佐藤は自らの性格を「真っ直ぐ過ぎる。卓球でも読まれやすい」と分析する。「やっぱり意外性とか、何か相手をビックリさせるようなことが自分のプレーに足りない部分。そういうものがあれば、自分にもともとある良さが生きてくると思います」。相手も、ファンも驚く常識外れの姿を吸収したいところだ。

19年には中国最強女王に2連勝、カットマンとして「相手を嫌がらせる存在に」

 今回の日本代表では唯一のカットマン。「エンドレスリターン」と称される守備力の高さに自信を持つ。17年の国際大会では一度に10分13秒(766回)もラリーを繰り返し、国際卓球連盟から「卓球史上最も長いラリー」として紹介された。一番の持ち味は粘り強さ。コートを広く使いながら相手を徐々に苦しめていく。

「そこを存分に使って、相手を嫌がらせる存在になれるような試合をしていきたい。広く動き回るのは注目ポイントです。カットマンなので、どうしても左右に広く打たれることが多いんですけど、そこを拾って相手を苦しめていく。相手が『まだ抜けないのか』と思うところまで粘り、そこから逆襲して攻撃に結びつける。忍耐力も自信があります。見ている方も楽しめると思うので、そういうところを見ていただけたらと思います」

 19年にはジャパンオープン、ITTFワールドツアーグランドファイナルでリオ五輪女王の丁寧(中国)に2連勝。世界ランク1位にも君臨した最強選手を倒す極意は、日本にとって大きな存在となりそうだ。

 世界卓球は2019年の個人戦に出場した。橋本帆乃香とペアを組んだダブルス準決勝で伊藤、早田ペアに敗れたものの、銅メダルを獲得。今年3月の代表選考会で4強入りし、出場権を掴みとった。団体戦は世界卓球では初めてだが、アジア選手権やTリーグなどで経験し、雰囲気を熟知している。

「個人戦より責任感が凄く大きい。シングルスに責任感がないわけではないですが、やっぱり自分の試合がチームの勝利に直接関係するので、自分のエネルギーがより湧いてきたり、良いプレッシャーになったりする。後ろで応援してくれる人がいっぱいいる。みんなでまとまっている感じが凄く良いです」

 カットマンが技を見せつければ、国籍に関わらずスタンドが沸く。「良いラリーが続いた時、カットマン側についてくれるんですよ。それも武器にして相手にプレッシャーをかける感じが楽しいです」。個性豊かで和気あいあいとした元気溢れるチーム。直近3大会は全て銀メダルだった。目標は一つしかない。

「やっぱり中国を倒して金メダルを獲るのが目標です」

 51年ぶりの快挙へ、キャプテンの存在は欠かせない。

(第5回は横谷晟が登場)

 ◆世界卓球 9月30日からグループリーグが行われ、上位16の国と地域が10月5日からの決勝トーナメントに進出。テレビ東京系&BSテレ東で連日放送。中継キャッチフレーズは「新時代の、目撃者になる。」(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)