中国の成都で30日に世界卓球(9月30日~10月9日)が開幕する。世界卓球は、毎年個人戦と団体戦が交互に行われ、今回は団体戦。2020年は新型コロナウイルスが流行し開催されなかったため、実に4年ぶりの開催となる。

男子は、22日に最年長で東京五輪代表の丹羽孝希(スヴェンソンホールディングス)がインフルエンザのために出場を辞退。同じく東京五輪代表でエースの張本智和(IMG)を軸に、団体戦初出場の戸上隼輔(明治大学)、及川瑞基(木下グループ)、横谷晟(愛知工業大学)の3名を加えた4人で世界に臨む。

また女子は、エースの伊藤美誠(スターツ)と現在世界ランク日本人トップ5位の早田ひな(日本生命)を筆頭に、世界卓球2019銅メダル、カットマンの佐藤瞳(ミキハウス)。そして、選考会を勝ち抜き勢い成長著しい"Wみゆう"こと、長﨑美柚(木下グループ)と木原美悠(JOCエリートアカデミー/星槎)の5名で打倒中国に燃える。

戦いを前に、張本智和にインタビューを行った。

Q.東京五輪後のこの一年間はどんな一年だった?

東京五輪後の半年間は自分にとっては苦しい半年でした。

世界卓球で負けて全日本でも負けて、納得のいかない日々が続いていたんですが、ブダペスト(今年7月)から最近のTリーグまでシングルスでもダブルスでも優勝を積み重ねることができて少しずつ状態も回復していると思います。一番強かった頃にも近付いて来ていると思います。

Q.まだ完全復活ではない?

完全復活は世界チャンピオンになった時や、大きな大会で優勝する時だと思っているので、今までの結果と同じでは自分はまだ満足できないです。今回の世界卓球やワールドカップで優勝することが今の目標です。

Q.この半年で徐々に復活してきた要因は?

4月から環境を変えて今までとは全く違う生活をしたということがプラスに働いていると思います。メンタルが整ったからこそ練習も良い練習ができています。自分の気持ちが整ったことが一番大きいと思います。

Q.新しい道を歩む決断に至ったのはどういう気持ちの変化だった?

良い環境というのは、良い食事、良いトレーニング場などがあることだと思っていたんですが、それだけでは良い環境ではないということに気が付きました。

練習相手を探すのが今は難しいですが、それでも楽しく卓球ができて打ち込めているということこそが良い環境なんだと気付きました。

Q.プレーが安定している要因は?

一番は焦らなくなったことです。リードしていてもリードされていても同じ気持ちで戦えています。あとはミスが減って来ているので、全体的に安定感が増して来ていると思います。



Q.今回二度目の団体戦。4年前の団体戦(世界卓球2018スウェーデン)の印象は?

今でもその時の悔しさは残っています。自分が負けた2試合、リーグ戦と準々決勝でチームも負けてしまって、日本のメダル獲得連続記録も途切れさせてしまって本当に責任を感じています。

今回は何としてでも最低限メダルは持ち帰らないといけないと思っています。

Q.水谷隼選手がいなくなり、エースとしての活躍が求められることについては?

自分が2点を取ることが日本の勝利に繋がることは間違いないと思いますが、団体戦は一人でやる競技ではないですし、チームの5人や監督、周りのスタッフの皆さんと力を合わせて3点取れるように頑張りたいと思います。

Q.勝利以外の自分の役割は?

今回のメンバーだと丹羽さん(※丹羽は欠場)の次に経験があると思いますし、プレー以外でも試合に出る2番手、3番手の選手にアドバイスは必要だと思います。

Q.団体戦のカギは?

「3番」というポジションは本当に大事だと思います。

前回大会の韓国戦(準々決勝)も1-1から韓国に取られて負けましたし、イングランド戦(グループリーグ第3戦)も1-1で3番を取られて負けてしまったので、どんな状況でも「3番」は必ず取らなければいけないポジションだと思います。

基本はお互いのチームが1点を取り合って、3番同士が勝った方が試合に勝つというパターンが多いです。

誰が「3番」で出るか分からないですが、団体戦を戦う上では非常に重要なポジションだと思います。

Q.団体戦は好き?

結構好きです。みんなで力を合わせて戦うことは中々ない機会なのでいつも楽しくできていると思います。

自分がプレーしていても他の選手や監督が後ろで応援してくれることは団体戦ならではですし、観客席でも日本チームの皆さんが応援してくれるので団結力を感じます。自分のプレーもいつも以上に気合が入ります。

Q.今大会、エースとしての覚悟はどう受け止めている?

自分が全勝してもチームが勝てるかどうかは分からないですが、もちろん自分が最低限全勝して他の選手にも上手くアドバイスができれば自分の仕事ができた、ということになると思います。

プレーでもそれ以外の面でもしっかり充実した団体戦になれば良いなと思います。

Q.今大会はどこを目指す?

準々決勝が一番大きな山場だと思います。そこまで行くと全ての国が五分五分だと思います。

まずは準々決勝まで行って、行ったからには前回の反省を活かして、前半で点を取って、もし回ってきたら2点目を取る気持ちで臨みたいです。全力で頑張りたいと思います。