東京都江東区の芝浦工業大学で9月20日、豊洲キャンパス完成お披露目会が開催され、関連行事のひとつとして寄贈されたダットサン『16型セダン』(1937年式)の除幕式が行われた。この車は、同大学の卒業生であり全日本ダットサン会の佐々木徳治郎会長…

東京都江東区の芝浦工業大学で9月20日、豊洲キャンパス完成お披露目会が開催され、関連行事のひとつとして寄贈されたダットサン『16型セダン』(1937年式)の除幕式が行われた。

この車は、同大学の卒業生であり全日本ダットサン会の佐々木徳治郎会長が持つコレクションのひとつ。「開かれた大学」として、9月21日からは豊洲キャンパス本部棟1階で一般公開も行っていく。

展示車両は、2011年に日本自動車殿堂歴史遺産車に選定されたダットサン『12型フェートン』をさらに熟成・改良し1937年5月に発表したもの。722cc・16馬力の7型エンジンを搭載し、最高速度は80km/h。日中戦争による物資不足でシンプルな造りとなっている。

それでも発売当時の価格は2100円で、当時の物価は公務員の初任給が75円、喫茶店でのコーヒー1杯10銭、山手線初乗り運賃は5銭だったことを考えると高価なものだった。ダットサン16型にはこれ以外にクーペやフェートン、ロードスターのほか、トラックなどがあり、当時の乗用車市場をけん引していた。

佐々木会長は1965年に同大学機械工学科を卒業、自動車関連企業を経て72年にサファリモータース(東京都港区)を創業し、日産車を中心とした整備等を行う。後に全日本ダットサン会を立ち上げ、1台でも多くのオールドダットサンを残そうと、今年で81歳になる今も精力的に活動を続けている。

この16型セダンは元々米軍関係者が所有していたものを譲り受け、ボロボロだった車体を自社で丁寧にレストア。当初は書類がなかったが後に見つかり、希望ナンバーの「1」を取り付けた。現在は品川ナンバーだが、寄贈に伴なって江東ナンバーとなるが、「1」はそのままに。車体の掃除等は大学自動車部のメンバーが行い、これからの車検もサファリモータースが続けていくという。つまり動態保存というのがすごいところである。

除幕式の後は自動車部のメンバーやOB、ダットサン会のメンバーなどが佐々木会長を囲んでの撮影会に。「これは自動車の基礎の基礎がある車。85年前の歴史を知ることによって新しい歴史があることを知ることができると思います。1台でも多くのダットサンを残したくて活動してきましたが、こういう場所に展示されて幸せです!」と会長は嬉しそうだった。