通算4オーバー、74位で予選落ち 女子ゴルフの国内ツアー・住友生命Vitalityレディス 東海クラシック第2日が17日、愛知・新南愛知CC美浜C(6502ヤード、パー72)で行われた。91位から出た17歳・馬場咲希(代々木高2年)は、2バ…

通算4オーバー、74位で予選落ち

 女子ゴルフの国内ツアー・住友生命Vitalityレディス 東海クラシック第2日が17日、愛知・新南愛知CC美浜C(6502ヤード、パー72)で行われた。91位から出た17歳・馬場咲希(代々木高2年)は、2バーディー、2ボギーの72で通算4オーバー。カットラインに4打足りずに74位で予選落ちした。日本人として37年ぶりに全米女子アマチュア選手権を制した時とは別人のように、ショット、パットともに精彩を欠いた。一方で、巧みなアプローチは目を見張った。注目された中で結果は残せなかったが、浮かび上がった2つの要因・課題をクリアし、次戦の日本女子オープン(9月29~10月2日、千葉・紫CCすみれC)に臨む。(取材・文=THE ANSWER編集部 柳田 通斉)

 2日続けて、馬場は力を発揮できなかった。ドライバーショットは左右に散らばり、アイアンやウェッジでピンを刺すショットも少なかった。全米女子アマチュア選手権の優勝で世界を驚かせた姿は影を潜めた。本人が事前に「20ヤードは落ちている」と話していた通り、ドライバーショットの飛距離は大幅にダウン。5月のブリヂストンレディスでは、同組選手を30~40ヤードを置く場面もあったが、今大会では1度も見られなかった。そして、パットも決まらなかった。

 本人、帯同した父・哲也さん、サポートするブリヂストンスポーツ関係者の話を聞くと、2つの要因が浮かび上がった。

1.コンディション不良と得意ではなかったコース

 今夏、4度の海外遠征で体重が大幅減。帰国後、鎌田貴トレーナーのもとでトレーニングは重ねたが、最高で秒速48メートルあったヘッドスピードは42メートル台に。大会中の練習では40メートル台を切ることもあり、本人もショックを受けていたという。その上、コースは横幅が狭く、振り切ることが難しかった。クラブを短く持ってのショットを繰り返したことを本人は「風が強かったので」と説明。だが、哲也さんは「ショットが曲がっていたからでしょう」と指摘した。

 アドレスで、ターゲットよりも左を向く悪癖も出ていた。本来は、ストレート系で少しフェードする球を得意とするが、調子が悪くなると、フェードを強くかける意識が強くなるという。しかし、ショットは出玉から右へ出ていた。本人は「左から回したかったけど、体とフェースが開いて」と説明。哲也さんは「まだ疲れがあり、体のキレが戻っていないのでフェードを打ち切れない状態ですし、アライメント(体の向き)は課題の1つになっています」と言った。

2.間に合わなかった「視力矯正」

 馬場は近眼だが、裸眼でプレーしている。それに慣れてはいたが、今夏になって0.7、0.2と左右のバランスが悪くなり、パットのラインが読みづらくなっているという。全米女子アマチュア選手権の際は、コースを知り尽くしていたキャディーのボウ・ブラッシャー氏から、教わった通りのラインにパット。ストロークの状態も良く、面白いようにボールがカップに収まっていた。しかし、今大会はそうはいかなかった。

本人は「アドレスにも問題があったと思います」と言ったが、視力矯正は急務。今大会に向けても、コンタクトレンズを購入する予定だったが、練習などでその時間が取れなかったという。だが、日本女子オープン開幕までには11日ある。無事、購入して目に違和感がなければ、馬場は初めてコンタクトレンズを装着してプレーすることになる。

目を見張った巧みなアプローチ

 課題が見えた一方で、アプローチの巧みさは目を見張った。初日からたびたび好アプローチを披露し、グリーン周りからピンに寄せ切れなかったは1度だけだった。特に第2日の後半は、9番パー4の90ヤードショットも含め、6ホールで、「寄せワン」のパー。7番パー4では、ピンまで約25ヤードあった第3打をスピンを効かせて80センチに寄せた。

 ボールはカラーにあり、パターでも打てる状況だったが、ウェッジを持った理由を問うと、「アプローチの方に自信があって、カップインが狙えるので」と返した。練習拠点にする山梨・フォレスト鳴沢G&Cで様々な状況を想定し、アプローチ練習を重ねてきたからこそのコメントだ。2日間を通して、フェアウェーキープ率25.00%、パーオン率52.78%、バーディーは3個のみ。この数値で通算4オーバーは、ハイレベルのアプローチ力があったからと言える。

 だが、馬場はまだ高2のジュニアゴルファーだ。好不調の波は必ずあり、全米女子アマチュア選手権優勝の凱旋試合で、予選落ちしたことは深刻なことではない。馬場自身にも悲壮感はなく、「大勢のギャラリーを前にプレーできて興奮しました。(予選落ちは)悔しいけど、楽しかったです」と笑顔で言った。未完の大器は、今後も課題を見つけながら成長を目指す。(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)