第37節ボローニャ戦後に握手モンテッラ監督を交わす本田圭佑(写真:Getty Images)「終わり良ければすべてよし」の一言で済ませるには、あまりに厳しい一年だった。ミランMF本田圭佑にとって、今季はイタリアに来てから最悪のシーズンだった…


第37節ボローニャ戦後に握手モンテッラ監督を交わす本田圭佑(写真:Getty Images)

「終わり良ければすべてよし」の一言で済ませるには、あまりに厳しい一年だった。ミランMF本田圭佑にとって、今季はイタリアに来てから最悪のシーズンだったと言わざるを得ない。そして今季が、おそらくはイタリアでの、そして少なくともミランでのラストシーズンとなった。

 シニシャ・ミハイロビッチが率い、クリスティアン・ブロッキ体制で終えた昨季、本田はレギュラーから外された時期もあったが、誰もが認めるプロ意識の高さと献身的なプレーで指揮官たちの信頼を勝ち取り、最終的にはリーグ戦30試合出場(先発23試合)を果たした。

 しかし、自身にとって契約最終年であり、ヴィンチェンツォ・モンテッラ監督が就任した今季は、完全にレギュラーの座を失うことに。レンタルから戻った個人技に優れるスソとの競争に敗れ、ベンチで仲間を見守る日々が続いた。開幕から5戦で出場2試合。それも、終盤からの起用だ。

 前半戦のチームが周囲の予想を裏切る好調を保ったこともあり、本田の存在感は薄まる一方だった。そして決定的となったのが、10月25日の第10節ジェノア戦。ついに手にした今季初のスタメンというチャンスで、失点に絡むなど低調なパフォーマンスに終始し、酷評されてしまう。

 結果的には、この一戦が今季の本田の立場を決定づけた。以降の4試合でベンチを温めると、12月の2試合で若干のプレー時間を手にしたものの、第17節アタランタ戦から16試合出場なし。背番号10は2017年に入り、4月下旬までリーグ戦でピッチに立つことができなかったのだ。

 スーパーカップでユベントスを下し、久しぶりのタイトルを手にして以降、チームが調子を崩した時期でも、本田に出番は回ってこなかった。当然、試合勘は失われ、ついに絶対だった日本代表スタメンの座も失うことに。それでも、移籍の道を選ばなかった本田は腐らずに練習を続け、指揮官や同僚からは常にそのプロ意識の高さを称賛された。


第37節で今季初ゴールをマークした本田圭佑(写真:Getty Images)

 それがようやく実ったのが、本拠地サン・シーロでのラストゲームとなった第37節ボローニャ戦だ。スコアレスで迎えた58分から途中出場した本田は、73分に直接FKから今季初ゴールをマーク。ヨーロッパリーグ出場権獲得を決める勝利に貢献し、最後に存在感を見せつけたのである。

 同日、ツイッターでミラン退団を表明した本田は、カリアリとの最終戦で今季2度目の先発出場。「報いたかった」というモンテッラ監督からキャプテンマークも託され、チームは敗れたものの、自身は今季初のフル出場でシーズンを締めくくった。

 リーグ戦出場8試合(先発2試合)、1得点。2007年に欧州に挑戦して以降、最低の数字だったことは否めない。序盤戦で「契約最終年であることの影響を感じる」と話していた本田は、こうなることも覚悟の上でミランに残ったのかもしれない。2018年のワールドカップを見据え、フリーでミランを退団し、自身が望むクラブへの移籍を果たすためとみられる。

 もちろん、代償は大きかった。だが、決してバラ色ではなかったイタリアでの3シーズン半でも、彼は何かを得たに違いない。今季の選択が正しかったのか、答えは新天地で出すことになる。

《J:COMサッカー編集部》