日本は序盤、ゆったりした試合の入り方をしてしまった。「正直疲れはある」と内山篤監督も戦前に話していたとおり、選手の動きは鈍重だった。そこに個人技とフィジカルに長けたベネズエラが襲いかかる。 グループステージ3戦で10得点無失点の破壊力と安…


 日本は序盤、ゆったりした試合の入り方をしてしまった。「正直疲れはある」と内山篤監督も戦前に話していたとおり、選手の動きは鈍重だった。そこに個人技とフィジカルに長けたベネズエラが襲いかかる。

 グループステージ3戦で10得点無失点の破壊力と安定感を誇る南米の雄は、スロースターターな日本を尻目にどんどん攻め立て圧力を掛けた。日本からすれば、今大会2戦目・ウルグアイ戦の再現のような展開。しかし、既視感を覚える試合でも前回とまったく同じでなかったのは、日本の守備陣がしっかり踏ん張り、早期の失点を喫しなかったからだった。

 徐々に落ち着いてボールを回し始めると、29分には敵陣ゴール前で得たFKを堂安律が左足で狙う。これはクロスバーに嫌われ、はね返りを岩崎悠人が再び狙ったが、これもゴールの枠を外れた。さらに40分には左サイドを攻略し、杉岡大暉からのクロスにニアサイドでこの日先発に抜擢された髙木彰人が反応するも、これもサイドネットに外れた。

 後半に入っても好機を作る日本。57分、市丸瑞希、堂安、髙木のG大阪トリオでゴールに迫ったが、GKのセーブに遭う。すると、再び日本はベネズエラの攻撃に耐える時間を迎える。しかし、動きの良かった市丸に代えて初戦での負傷から復帰した板倉滉が入り、守備を強化するとともに延長戦もにらんだ作戦に。結局、両チームの守備陣が決壊することはなく、勝負は120分間の戦いとなった。

 108分、日本はベネズエラにCKを与えると、これを主将のジャンヘル・エレーラに頭で決められてしまった。再三再四ピンチを防いでいた冨安健洋が競り合いに敗れた末の失点だった。

 あとがなくなった日本は長身の板倉を最前線に上げてクロスで勝機を見いだそうとしたが、ゴールは遠く。結局、最後まで決定力不足に泣いた。120分間タフに、激しく戦い続けた10年ぶりの世界大会だったが、その挑戦の歩みは、惜しくもラウンド16で終わった。

文・西川 結城