2022年8月2日(火)、一般社団法人ロボッチャ協会によるロボッチャ®︎講習会が、東京都渋谷区総合センター大和田で開催された。メディア向け体験会と小学生向けのロボッチャ®︎講習会の二部構成で行われた。『「STEAM&time…

2022年8月2日(火)、一般社団法人ロボッチャ協会によるロボッチャ®︎講習会が、東京都渋谷区総合センター大和田で開催された。メディア向け体験会と小学生向けのロボッチャ®︎講習会の二部構成で行われた。『「STEAM×スポーツ×ダイバシティ」を、頭と体で体感する教育イベント』と銘打ったこの会は、終始和やかな雰囲気ながら、新たなスポーツであるロボッチャ®︎を介して盛り上がりを見せた。

ロボッチャ®︎とは、端的にいえば『ボッチャをロボットで行うもの』である。ボッチャとは、「ジャックボール(目標球)と呼ばれる白いボールに、赤・青のそれぞれ6球ずつのボールを投げたり、転がしたり、他のボールに当てたりして、いかに近づけるかを競う」スポーツであり、パラリンピックの競技としても採用されている(一般社団法人日本ボッチャ協会公式サイトより引用)。

このボッチャを、公式ルールの「10分の1」サイズの競技コートと球を用い、投てき用のロボットとプログラムを使って行うのがロボッチャ®︎である。ロボットを組み立て、プログラムによって制御し、戦略性を持って取り組む体験をできることが、テクノロジーやエンジニアリングを総合的に学ぶための切り口になるとして、近年注目を集めている。

当日配布された資料

代表理事である岡本弘毅氏(株式会社エデュソル代表)の簡単な挨拶から始まったメディア向けの体験会では、取材に訪れたメディアも実際に競技に参加した。2種類の投てき機構を用いた4種類の投てき方法の多様性や、投てきの角度、投てきをする速度によっても大きく結果に差が出ることを体験し、競技としてのゲーム性が大いに感じられた。

小学生向けの講習会では、「トライ&エラーを繰り返すこと」の重要性がはじめに提示され、8名の小学生たちが、二人一組の計4チームとなり、各々のアプローチでロボッチャ®︎に取り組んだ。投てきを成功させることを目標とする班もあれば、投てきのためのロボットを分解し、好みのデザインに再構築する班も見られるなど、それぞれのやり方でロボッチャ®︎を楽しんだ。

二人一組のチーム構成によって、小学生たちのコミュニケーションは活性化、講習会は大いに盛り上がり、まさに『頭と体で体感する教育イベント』の様相が見てとれた。幼少期の教育領域においてプログラミング的思考が重要視される現代、頭と体で総合的な学びを提供するロボッチャ®︎は、大きな可能性を秘めている。

以下、代表理事岡本弘毅氏のインタビュー
 

―実際にロボッチャ®︎イベントを開催しての気づきはありますか

積極的に参加する子もいれば、初めは全然喋れなかった子でも、終わった後「楽しかった!」と言う子もいます。投げる機械をデコレーションする子もいます。どうやったらうまくいくのかを考えて、ロボットを壊すじゃないですか。壊すと今度はうまくいかないんです。うまくできなかったら、ロボットの改良を始める子や、どうやって投げるかを考える子たちもいます。性格が出るので、見ているとすごく面白いですよ。子ども同士が会話して、考え、協同作業を行うので、その過程でチームビルディングができるため、終わる頃にはすっかり仲良くなっていますから。先日小学生と中学生が対戦するイベントを開催しましたが、小学生が勝つこともあるんですよ。ロボッチャ®を一から始める時に、小学生の方が余計なことを考えないで直感で取り組みます。中学生はまず頭の中で考えてからやるんです。面白いですよね。
 

-ロボッチャ®普及のために思い描く未来像は

普及のためには、社会人も参加してくれるのが1番いいと思うんですよ。まず(年齢層の)上と下が埋まると、間(の年齢層)が埋まる。それこそ入社試験や社内研修で使ってもらいたいと思うんです。あそこのチームはリーダーシップとフォロワーシップが機能している、あそこのチームは喋ってない、あの子は全体的に自分で夢中になっちゃったとか、ずっと取り組む様子をチェックしているだけでも性格が表れるので、新しい教育研修として活用してもらいたいですね。そして、ゆくゆくは競技人口を増やすためにも、小学生から社会人まで参加できるような構造を目指したいです。
 

-ロボッチャ®を通じて社会へどのようにプログラミング的思考やプログラミング教育を広めたいですか

ロボッチャ®の制御であれこれ考えることと、プログラムがうまく動かないことは、コードの順番や文法がどこで間違っているかを考えることと同じ概念のことだと思います。企画のアイデアを考えることに関してはどんな人でもできることなので、システムインテグレータみたいな立場になって少し学んでもらえたら、社員研修にもつながると思います。また、ロボッチャ®を単純に競技としてだけでなく、実施年ごとに特別ルールを設ける、大会を開催する地区と関係したルールを加えるなど、社会への意識を含んだパートを持たせていく予定です。