木村和久の「新・お気楽ゴルフ」連載◆第16回 今年の夏は6月に梅雨明けしたことにより、例年以上に長くなりそうです。このコラムが掲載される頃もまだ、夏の前半は終わっていません。そうなると、今夏は定期的にゴルフをやり続けるのはちょっとしんどいか…

木村和久の「新・お気楽ゴルフ」
連載◆第16回

 今年の夏は6月に梅雨明けしたことにより、例年以上に長くなりそうです。このコラムが掲載される頃もまだ、夏の前半は終わっていません。そうなると、今夏は定期的にゴルフをやり続けるのはちょっとしんどいかな、と。

 ともあれ、そんな夏の間にもたまには気持ちよくラウンドしたいものです。というわけで、夏名物のナイターゴルフについて考察していきたいと思います。

 まず、ナイターゴルフは涼しいのか? ですが、過去に何度もラウンドしてきた経験者としては、非常にコンフォータブルで"納涼効果"は抜群と言えます。

 何よりナイターゴルフは直射日光を避けられるので、日焼けが苦手な女性にも人気です。しかも、ゴルフ場は樹木と緑地に囲まれているので、実際の気温よりも低く感じます。

 じゃあ、もっと普及してもいいのに、と思うでしょ。そこはまあ、いろいろと問題もあるのです。そこで、ナイターゴルフの注意点などをまとめてみましたので、興味のある方はぜひ参考にしてみてください。



酷暑の夏、たまにはナイターゴルフを楽しんでみてはいかがでしょうか。illustration by Hattori Motonobu

(1)ナイターゴルフの「ハンデ」
 ナイターゴルフというのは、基本的には日没、早くて夕方あたりから始めて、ラウンド終了が夜の9時くらい。場合によっては、10時くらいになる時もあります。

 プレーヤーはその後、家に帰ることになるわけで、遠隔地でのプレーは体力的&時間的には厳しいもの。それゆえ、関東では都心から比較的近い千葉や神奈川あたりにナイターゴルフの施設が多いのです。

 いやいや、栃木や群馬、埼玉も暑いので、そういったところにもナイターゴルフの施設を作るのはどうか?って思いますよね。でも、栃木や群馬、埼玉方面の方は、昼間に那須や水上、秩父の奥のほうへ行って、涼しいゴルフをすればいいだけ。だから、ナイターゴルフの需要はさほどないのです。

 同様に、都会の人たちが栃木や群馬などに行って泊まりでナイターゴルフをする、というのも無理があります。泊まりでゴルフをするなら、最初から高原リゾートに行けばいいだけの話ですから。

 つまり、ナイターゴルフは時間の問題もありますが、プレーする場所も限られます。昼間のゴルフと比較した場合、多少のハンデを背負っているかなと思います。

 その辺りをさらに解説していきましょう。

(2)ナイターゴルフの魅力と難易度
 夜にゴルフ場でゴルフをするのは、まさに非日常体験です。生まれて初めて行った時は妙に興奮したものです。

 その感覚は草野球と一緒でしょうか。昼間しかやったことがなかったのに、突如ナイターでやるとなったら、なんか贅沢な気分になるでしょ。

 ゴルフもそう。普段はプレーすることのない時間に開放してもらい、LED照明が煌々と輝いたコースには、昼間とは違った景色があります。その分、俄然やる気が出ます。

 しかしながら、ナイターゴルフは特別な営業形態ですから、電気代が結構かかります。今はLED照明になってだいぶ助かっているようですが、それでも1組や2組のためにナイターゴルフの開催はあり得ません。

 そこそこ集客があって、ナイター営業は成立するのです。だから、近くに大都市がないといけないマーケットなんですね。

 では、実際のプレーですが、ナイターゴルフは慣れれば問題はありません。とはいえ、突然真っ暗な場所につれてこられて、いきなり照明のもとでボールを打つとなると、やはり昼間とは感覚が違って、最初はダフッたり、トップしたりします。

 人生初のナイターゴルフに臨む時は、夕方の薄暮からラウンドするのがよろしいかと。多少薄暗くなった状態でのプレーに慣れておけば、暗くなっても目が慣れているので、比較的ミスなくボールを打つことができます。

 また、フェアウェーから外れると暗いところが結構あります。ボールをなくしやすいので、カラーボールでラウンドすることをお勧めします。最近は発光性のボールなどもありますから、それを使用すれば見つけやすいと思います。

 いずれにせよ、ボールをなくす確率は高く、暗いなかではゆっくりとボールを探す気分にはなれません。そうした場合に備えて、最初に何らかの救済措置、あるいはローカルルールを設定して、効率よくプレーするのがいいのではないでしょうか。

(3)"デートゴルフ"には最適
 夜にゴルフをするのは、ロマンチックなイメージがします。先にも触れたとおり、日焼けも気になりませんから、女性には好評です。ということは、"デートゴルフ"として大いに使えるのです。

 コースもそれを知っていて、あるコースでは夜店みたないスタートハウスをこしらえて、縁日気分を盛り上げてくれます。

 デート向けロケーションとして考えれば、煌めく照明のなか、星空も見えてとてもロマンチック。心地よい虫の音もBGM代わりになって、ふたりを盛り上げてくれます。

 となると、日焼け止めクリームより、防虫スプレーの活躍となりますかね。照明に導かれてたくさんの虫が集まってきますから、これは絶対の必需品です。決して、お忘れにならないように。

(4)最初はハーフプレーがお勧め
 何度もナイターゴルフをやりましたが、山奥でプレーをしていると不思議な気持ちが湧いてきます。それは、淋しさです。

 平日の昼間にゴルフをしていると、「他のやつらはあくせく働いているのに、こっちはゴルフだぜ」と優越感に浸れます。

 片やナイターゴルフの場合は、「みんな家族団らんの最中なのに、オレはこんな山奥で何をやっているんだろう......」といった、一抹の淋しさに襲われることがあります。これは、何なんでしょうかね。

 ナイターゴルフは頻繁にするものではないので、おそらく暗がりのなかで自分の置かれている状況に不安を感じるのでしょう。そんなに山奥じゃない近郊コースでも、周りの暗い山々を見ると、すごく遠いところに来た感じがするのです。

 そんなこともあり、ナイターゴルフに初めて行く時は、9ホールのハーフプレープランもありますから、まずはそれで様子を見るのもいいかもしれません。理想は薄暮の頃、5時過ぎくらいから7時半くらいまでハーフゴルフを楽しんで、あとはどこぞのファミレスか、健康ランドに寄って帰る、というのがベストプランかと。

 もしデートだったら、彼女を家の近くまで送らねばなりません。時間も余分にかかるので、最初からがっつり18ホールラウンドするのは、お勧めしません。

(5)名門コースのナイター営業があったら...
 平成時代の終わりの頃には、上がりの2ホールほどナイター照明を設置しているコースをよく見かけました。夕方以降もプレーできるようにして、たくさんのお客さんを入れるようにしたのです。

 けど今は、ゴルフ人口がだいぶ減ったので、昼のプレーで十分需要を満たしています。だとしても、地球温暖化ですからナイターでプレーできるコースが増えるかなと思ったりしたのですが......。なかなか適した場所がないのでしょうね。

 でも、もし東京や神奈川にある都心から近郊の名門コースがナイター営業に踏みきって、夜だけパブリックにしたら、お客さんは殺到するでしょう。移動の時間もかかりませんし、場所がいいですからね。

 誰か、そういう英断を下してくれませんかね......。