ニッポンハムレディス最終日 女子ゴルフの国内ツアー・ニッポンハムレディスは10日、北海道・桂GC(6763ヤード、パー72)で最終日が行われ、単独首位で出た21歳・西村優菜(スターツ)が4バーディー、2ボギーの70で回って通算18アンダーで…

ニッポンハムレディス最終日

 女子ゴルフの国内ツアー・ニッポンハムレディスは10日、北海道・桂GC(6763ヤード、パー72)で最終日が行われ、単独首位で出た21歳・西村優菜(スターツ)が4バーディー、2ボギーの70で回って通算18アンダーで今季2勝目を飾った。途中、独走態勢を築いたかに思えたが、同組の野澤真央(愛知製鋼)の猛追を受けて「もうダメかと思った」という状況に。それでも気持ちを切らさず、諦めずに戦った気持ちの強さが光った。

 まさに「ゴルフはメンタルスポーツ」と呼ばれるゆえんを示したラウンドだった。3日目を終えて2位に3打差をつける単独首位で迎えた最終日。前半こそバーディーは3番パー5での1つだけだったが、折り返しの10番パー5でもしっかり伸ばした。この時点で2位の野澤とは3打差。隙のない内容で優勝に向けて盤石の態勢かと思われた。

 しかし、12番パー4の2打目が「突き抜けてしまった」というミスショット。一方の野澤が花道から鮮やかなチップインバーディーを決めたのを見て「『ハーッ』って思ってしまった」と落ち込みかけた。冷静に進めてきた中で気持ちが揺らいだことも影響して、この日初のボギー。悪い流れを引きずった13番バー4でも連続ボギーとして野澤に並ばれた時は「もうダメかなと思うこともあった。苦しかった時間が長かった」と偽らざる心境を明かした。

 14番でお互いにバーディーを奪って迎えた15番パー4。ここで2人の明暗が分かれた。2打目を先に打った野澤は右の池に入れるミスショット。そこで西村は「右だけは行かないようにということだけ必死に考えていた。ああいうミスはあり得る。体をどう動かそうということだけ考えていた」

 細心の注意を払った西村の2打目はグリーン右奥、ピンからは8メートルにオン。「チャンスというほどの距離じゃなかったけど、上りのスライスで難しくはないなと。決められたらいいな、と思って打った」というボールはカップのど真ん中から入り、野澤との差を再び3ストローク差に広げた。

 それでも「野澤さんはいいパッティングを見せていて、朝イチから入っていたので全く安心できなかった。余裕ゼロです。最後まで気が抜けないと思った」との言葉通り、16、17番は慎重にパーセーブ。一方の野澤は意地の連続バーディーで、最終18番を迎える時に2人の差は1打となっていた。

西村「これは怖がらずに、ビビらずに打つしかない」、最終18番で見せた一打

 その大事なホールで今度は西村がミス。2打目を右のバンカーに入れてしまい「ここでのミスはショックだな…」とまたも気持ちが切れかけた。しかし、そこで持ち前の決断力の早さが好結果を呼び込んだ。

「正直、難しい状況だなと。ピンまで3メートルもないし、手前のラフに落とすとクッションになって前に転がらない。カラーかグリーンにスピンをかけたボールを打とうと。バンカーに足を入れたら下がすごく柔らかくて、これは怖がらずに、ビビらずに打つしかないと思って打ちました」

 勝負の1打は柔らかなタッチでピン横60センチにピタリ。ウィニングパットを決めてようやく西村の表情が緩んだ。抜群の技術はもちろん、揺れ動く心を懸命にコントロールした精神力の強さが今季2勝目、ツアー通算6勝目を呼び込んだ。(THE ANSWER編集部)