資生堂レディス最終日 女子ゴルフの国内ツアーの資生堂レディス最終日が3日、神奈川・戸塚CC(6570ヤード、パー72)で行われ、単独首位で出た青木瀬令奈(フリー)が6バーディー、3ボギーの69で回って通算14アンダーで優勝した。大会記録を2…

資生堂レディス最終日

 女子ゴルフの国内ツアーの資生堂レディス最終日が3日、神奈川・戸塚CC(6570ヤード、パー72)で行われ、単独首位で出た青木瀬令奈(フリー)が6バーディー、3ボギーの69で回って通算14アンダーで優勝した。大会記録を2打更新し、昨年6月の宮里藍サントリーレディス以来、約1年1か月ぶりのツアー通算3勝目。生涯獲得賞金は3億円を超えた。目指すは憧れの不動裕理を含めて6人のみの10億円。選手会長に相当するプレーヤーズ委員長の29歳は、貪欲に勝利を目指す。(取材・文=THE ANSWER編集部・柳田 通斉)

 最終18番パー4。青木は50センチのウイニングパットを決め、両手を挙げた。気温31度の中、ともに戦ったキャディーの大西翔太コーチとハイタッチ。ファンから「ナイス、ウィナー」の声が上がると、バイザーのツバに右手を添えて頭を下げた。

 青木は2位に1打差でスタートしたが、1番パー4、2番パー5で連続ボギー。瞬く間に4位に後退した。だが、大西コーチからの指示「リーダーボードを見ないように」を守り、目の前の一打に集中した。3番パー4は、残り144ヤードからの第2打をピン下6メートルにつけた。グリーンエッジ右から5ヤードに切られたピン位置だったが、「ここで取り返す」と決め、逃げずに8アイアンを振り切った。その思いをパットにも込め、起死回生のバーディーを奪った。

 だが、下からスコアを伸ばす選手が続出。6番を終えて、上位は2打差に12人がひしめく大混戦だった。青木はその状況を一切知らず、7番パー5で4メートルのバーディーパットを沈め、単独首位で後半を迎えた。

「あれがスライスしてフックするラインでした。昨日の16番で外したパットと同じラインで、懺悔ノートに書いた反省が生きました」

 後半の開始3ホールは、青木が持ち味をフルに発揮した。10番パー4では、グリーン奥から15ヤードの第3打をチップイン。11番パー3では、第1打を6UTでピンそばにつけた。続く12番パー4では、7メートルのパットを沈めて4日連続となる3連続バーディーを決め、混戦から抜け出した。

「飛ばないプロ」の部類に入る青木、強いメンタルと磨き上げた技術で手にした優勝

 順位は知らずとも、カメラマンが集まってくる状況から「おそらくトップに」と察知。それでもコーチの指示を守っていたが、18番第2打をピン3メートルにつけた後、初めて2打差で勝利を目前にしていることを知ったという。

「最後はバーディーでカッコ良く決めたかったですが、やってみたかった逃げ切り優勝を達成できて良かったです。この1年、毎日甘さを捨てて勝ちにこだわってきましたし、人生を変えられる一勝になったと思います」

 昨今は270ヤード以上のドライバー飛距離を持つ選手も出てくる中、「飛ばないプロ」の部類に入る青木は、今大会も平均226ヤード。しかし、「私にとっては3ウッドまでがピンを狙うクラブ」と言い、この日も同組選手の後方からショットをピンに絡めていた。

 強いメンタルと磨き上げた技術。結果、29歳の青木は出場270試合目にして、生涯獲得賞金3億1565万3908円を記録。でも、目標はまだまだ高いところにある。

「私は、ずっと不動裕理さんに憧れてきて、プロになってからは不動さんのように10億円を稼げるようになりたいと思ってきました。3億円突破はまだ不動さんへの第一歩です」

 歴代1位の不動が積み上げた額は、13億6894万4382円(出場469試合)。青木はその域を本気で目指し、これからもゴルフに向き合っていく。(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)