木村和久の「新・お気楽ゴルフ」連載◆第15回 最近、ゴルフをやっていて「楽しい」と感じるようになりました。スコアは大して上向いていないのに、やる気に満ちていて、充実感がある。これは、今までとはちょっと違う感覚です。 大袈裟に言えば"ゴルフの…

木村和久の「新・お気楽ゴルフ」
連載◆第15回

 最近、ゴルフをやっていて「楽しい」と感じるようになりました。スコアは大して上向いていないのに、やる気に満ちていて、充実感がある。これは、今までとはちょっと違う感覚です。

 大袈裟に言えば"ゴルフの醍醐味"がわかった、とでも言いましょうか。飛ばなくなってから、いろいろとやりくりしてプレーするのがとても楽しいのです。スコア的にはたまに100を叩くこともありますが、逆に調子がいいと、80台を出せることもあったりします。

 そうなると、「オレのゴルフ人生、まだまだいけるじゃん」となるんですね。

 従来のゴルフの目標は、「うまくなる」「飛ばす」という2大テーマがメインでした。まさにゴルフはうまさがすべて。そしてそれは、ハンデキャップによって数値化されていました。

 そうした状況にあって、アマチュアゴルフ界はトップアマが君臨し、その下の一般アマチュア界でもシングルさんが羨望の眼差しを向けられていました。言うまでもなく、私も若い時は「いつかはシングル」を目指し、練習やラウンド、競技に明け暮れて、クラブハンデは「12」にまでなりました。

 けれども、一般的なアマチュアはそこら辺が限界です。少し気を抜くと、すぐにハンデが下がって、あっという間にハンデ20ぐらいになってしまいますから。

 そこからは、地味なアマチュアゴルファー生活を送ることに......。以降、「以前より飛ばない」とか「練習不足」だとか、「会員権がまたほしい」「海外でゴルフをしたい」などと、愚痴みたいなことばかり漏らしていました。

 ですが、最近の若者ゴルファーの進出を目の当たりにして、なんかゴルフ場の風景が変わったことに気づいたのです。

 みなさん、さほど上手じゃないのに、楽しそうにゴルフをしているのです。特に若いカップルなんか、リアルに充実している"リア充"そのものに見えます。

 他、アベレージのシニアグループなども、イキイキとゴルフをしていて実に羨ましい。70歳を過ぎてゴルフができること自体が、もはや人生勝ち組なのだなと思います。

 さしずめ、気分は相田みつを先生状態。「しあわせは、いつも自分のこころがきめる」という境地に達しつつあるのです。

 自分がスコアやゴルフの技術、飛距離の呪縛にとらわれていたのは何だったのでしょうか。今や考えを改めて、ゴルフ"リア充"生活をやろうと心かげるようになりました。

 では、ゴルフ"リア充"とは何ぞや。どうしたらそれが実践できるのか、考察してみたいと思います。

(1)まず「リア充」宣言から始める
 もう他人とはスコアを競いません。叩いてもくよくよしません。コンペの成績もさほど気にせず、決してニギリなどはしない、ということです。

 スコアやハンデは、他人との腕前を比較する指標です。それに立ち向かわないことにしました。

 原点に立ち返り、ゴルフをそこそこのペースでプレーできている――まずはそのことに感謝し、「ゴルフ"リア充"宣言」をしたいと思います。

(2)目標は自分で設定する
 ゴルフ"リア充"宣言をするのはいいのですが、やはり自分に対して、持続可能な目標を設定しないといけません。ダラダラとゴルフをやっていても引き締まりませんから。

 個人的には、コンスタントに100切りを続け、たまの80台達成が目標です。それに向けての練習は月2回程度、ラウンドは月1~2回程度、年間20ラウンドが目標です。

 もちろん、ノルマではありません。加えて、結果も二の次。ただただ丁寧なゴルフを心がける。

 たとえば、林に入ったら、欲張らないで横に出す、でいいのです。もう無理なゴルフはしないと決めました。

 そんな"攻めないゴルフ"をやり始めたら、不思議なことに大叩きが減りましたね。

(3)場違いなところには行かない。自分のテリトリーを決める
 誘われたからと言って、間違っても高額なコンペに参加しないし、若い飛ばし屋グループともラウンドしない。そうやって、自分のテリトリーを決めておくことが大事です。

 若い頃は大きなアマチュア競技にエントリーして、酷い目に遭いました。成績が下から何番目で、辛うじて最下位は免れましたが、なんでそんな試合にエントリーしたんだろう......。いまだもって謎です。

 他にも、友人に誘われてホイホイついて行ったら、飛ばし屋の多いコンペだったことがありました。しかも、スコア至上主義の方々の集まりで"下手な場違いなオジさん"扱いをされて、とてもしんどかったです。これも、時間とお金の無駄でした。

 こういうつらい思いを経て、今はよっぽどじゃないと新しい集まりには参加しません。もし行くとしたら、とことん調べて安心してプレーできると確信が持てたら行きます。

 じゃあ、ゴルフの集まりは減る一方じゃん。確かに、そうなります。私の場合、代わりに『ひとり予約』のゴルフに参加しようかと思っています。

(4)上を見たらキリがない

 上手な人たちの世界を覗けば、それはそれでいろいろと悩みはあります。

 ハンデ5ぐらいになってみなさい。そうやすやすと80台は叩けません。他のアベレージアマとラウンドする際に「ハンデ5ですか。すごいですねぇ~」なんて言われたら、相当なプレッシャーがかかります。

 以前、そういったうまい方々とラウンドしましたけど、こっちは気楽なもんですよ。"褒め殺し"をしておけばいいんですから。

 そうすると、たまたまこっちがパーを続けて、相手の調子が悪くてハーフ42ぐらいでスコアが拮抗してしまうことも。したらば、相手は真っ赤な顔をしてふくれっ面となり、機嫌が悪くなる。「こんなアマチュアに負けられない」と、自分を追い込んでしまうんですな。

 どうです? うまくなると、ストレスやプレッシャーが半端ないです。アベレージゴルファーでいるほうがラクだと思いますよ。

(5)細く長く、腕前を維持するには?
 これ以上、うまくなりたいとは思いませんが、今よりも下手になりたくはありません。最近は現状維持の難しさを痛感しています。

 できることは、飛ばなくていいから、ショットを安定させること。あとは、アプローチかな。



スコアや飛距離にこだわらず、自分なりにゴルフを楽しむことも大切かもしれませんね。illustration by Hattori Motonobu

 多くの場合、自分より飛ぶ人とラウンドするわけで、ティーショットで負ける。けど、上がってみると、スコアで勝っていることも。この"ウサギとカメの戦い"をいかに楽しめるかでしょうね。

 あと、これから定年を迎えて収入が減る方も多いでしょう。そうなった時の、お小遣いのやり繰りとか、いかに安くゴルフをするか、ということも大事です。お金の部分でストレスを抱えたら、健全なレジャーではなくなりますからね。

 もし、安くて楽しく回れるコースを見つけられたら、腕前も維持できて、末永くゴルフを楽しめると思いますよ。