ニチレイレディス最終日 女子ゴルフの国内ツアー・ニチレイレディスは19日、千葉・袖ヶ浦CC新袖C(6563ヤード、パー72)で最終日が行われ、首位タイで出た西村優菜(スターツ)が6バーディー、ボギーなしの66で回り、大会新の通算17アンダー…

ニチレイレディス最終日

 女子ゴルフの国内ツアー・ニチレイレディスは19日、千葉・袖ヶ浦CC新袖C(6563ヤード、パー72)で最終日が行われ、首位タイで出た西村優菜(スターツ)が6バーディー、ボギーなしの66で回り、大会新の通算17アンダーで今季初優勝を飾った。昨年9月以来9か月ぶりのツアー通算5勝目。昨年5月の母の日に続き、父の日でも優勝し「両親にいい報告ができます」と笑みを浮かべた。(取材・文=THE ANSWER編集部・柳田通斉)

 最終18番パー5。西村は1メートル半のバーディーを決め、勝利に華を添えた。右手を高く挙げ、キャディーとハグ。大きな拍手を送る中には、母・枝里子さんの姿もあった。西村はそれがうれしかった。

「こんなに大勢の方の前で勝つのも初めてですし、母の前で優勝できたのも初めてです。父はきっと、家でテレビを見ながらハラハラドキドキしていたと思います(笑)」

 昨年5月9日、母の日に国内メジャー・ワールドレディスサロンパス杯を制した。だが、同年6月20日の父の日に開催されたニチレイレディスは60位。父・武彦さんから「父の日には何もないんか!」と冗談交じりに突っ込まれた。それだけに「これでいい報告ができます。今の自分があるのは、両親のおかげなので」と親孝行ができて声を弾ませた。

 父に対し、もう一つ胸を張れることがある。連絡を取ると、「ボギー打ちすぎ」と指摘されていた。しかし、初日から堂々のボギーなしで優勝。資料が残る1990年以降では、ツアー史上12人目だ。「父に自慢したいです」。特に14番パー4で3メートル、下りスライスを決めたパーパットを「一番大きかったです」と実感を込めた。

「(ボギーなしを)強く意識していたわけではないですが、伸ばし合いだったので、厳しいパットが入る度に『これはデカい』と思っていました」

 続く15番パー4では、森田遥のボギー以上が確定した後、7メートルのバーディーパットを沈めて逆転。180ヤードの17番パー3では、第1打をピン下50センチにつけ、森田を突き放すバーディーを奪った。

「17番は9ウッドでちょうどの距離なのですが、優勝争いをしている時はいつもより飛ぶ傾向にあるので、球筋を(持ち球のドローから)ストレートにして、キャリーを抑える感じで打ちました。それでピッタリでした」

世界ランクで海外メジャーへ出場へ

 冷静かつ緻密なプレー。2008年の三塚優子がマークした16アンダー(茨城・美浦GC)を上回る大会新記録で、12アンダーの大会コース記録も更新した。勝つべくして勝った状況だが、西村は昨年9月のミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン以来、約9か月ぶりの優勝を「長く感じてしました」と打ち明けた。

「調子がいいのに、優勝争いをして勝てないことに悩みました。特にプレーオフで勝てなかった(今年4月の)KKT杯バンテリンレディスは辛かったです」

 それだけに、森田、佐藤心結と同じ11アンダーで迎えた最終日は、「絶対に自分が勝つ」と強い気持ちで臨んでいた。しかも、後半にスコアを伸ばす展開。現在の世界ランクは49位のため、今月末に50位以内で確定する全英女子オープン、エビアン選手権の出場権獲得にも大きく前進した。

「海外メジャー出場は今年の目標にしてきたことなので、行けたらうれしいです。海外メジャーで優勝することは、プロになる前からの目標です」

 前々週の全米女子オープンは、好調を維持しながら予選落ちした。悔しさを抱えながらのつかんだ優勝。21歳の西村は「世界」を意識しながら、さらなるレベルアップを図る。(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)