ニチレイレディス初日 国内女子ゴルフツアーのニチレイレディスが17日、千葉・袖ヶ浦CC新袖C(6563ヤード、パー72)で開幕した。ルーキーの佐藤心結(ニトリ)は、1イーグル、7バーディー、1ボギーの64で8アンダーの単独首位に立った。プロ…

ニチレイレディス初日

 国内女子ゴルフツアーのニチレイレディスが17日、千葉・袖ヶ浦CC新袖C(6563ヤード、パー72)で開幕した。ルーキーの佐藤心結(ニトリ)は、1イーグル、7バーディー、1ボギーの64で8アンダーの単独首位に立った。プロデビュー6戦目から7試合連続予選落ちと壁に当たり、一時はゴルフ自体が嫌になった。「何を食べてもおいしくなかった」と振り返るが、憧れの宮里藍から「魔法はないよ」と言葉をかけられ、目の前が開けたことを明かした。

 ルーキーの佐藤が、スランプを乗り越えてゾーンに入った。1番パー5では、残り225ヤードから3ウッドを放ってピン手前5メートルに2オン。迷いのないストロークでイーグルを奪った。続く2番パー4では、12メートルのパットをジャストタッチで決めてバーディー。「これで波に乗った」と、その後も4バーディーを重ねた。最終9番でもスコアを伸ばせば、2019年大会第2日の田中瑞希に並ぶ大会レコードだったが、パーで64。それでも、佐藤は会見で胸を張った。

「自己ベストを2つ更新しました。後半はスコアのことを気にせず、一打に集中できました。こういうのを『ゾーンに入った』と言うんだなと思いました」

 昨年10月のスタンレーレディスでプレーオフに進出。渋野日向子に敗れて2位に終わったが、270ヤード超のドライバーショットと高弾道のアイアンショットで一躍注目された。その後、最終プロテスト合格、ツアー最終予選会(QT)11位と順調に歩み、今季開幕戦でプロデビュー戦のダイキンオーキッドレディスで13位に入った。

 ただ、その後はアプローチで苦戦。第6戦の富士フイルム・スタジオアリス女子オープンからは、ショットが左右に曲がり始め、7試合連続予選落ちの苦悩を経験した。佐藤は「落ち込み過ぎて、何を食べてもおいしくなかった」と振り返ったが、7試合目のブリヂストンレディスの練習日、会場を訪れていた宮里藍に「救われた」という。

宮里からの「魔法はないよ」で気分一新「やっと精神状態よくなった」

「藍さんの『魔法はないよ』という言葉が印象に残っています。藍さんにもそういう(スランプの)時期があったと伺いました。それで、気持ちがリラックスできました」

 宮里は当日、ブリヂストン契約の若手プロたちと座談会を行い、佐藤はスランプの悩みを打ち明けていた。その際、宮里は「魔法はないよ。やっぱり、積み重ねしかない」と言い、自身が苦しみながらドライバーイップスを克服した経験談を明かしていた。

 そして、佐藤はパー5で無理に2オンは狙わず、「第3打をスピンがかかる60~70ヤードを残す。苦手な20~30ヤードのアプローチは残さない」ことを徹底し、同大会の第2日に69をマークした。翌週のリゾートトラストレディス以降は、3試合連続で予選通過。この日の64へとつなげた。

「やっと精神状態も良くなりました。苦しい間もずっと側で支えてくれた母やファンの方々には、これから恩返しをしていきたいです」

 前週の宮里藍サントリーレディスでは、最終プロテスト同期合格で同学年の尾関彩美悠が最終日最終組でプレーし、8位に入った。佐藤はライバルの尾関にLINEで「おめでとう」と祝福したそうで、「刺激になりましたし、また闘争心も湧いてきました」と思いを表現した。

 残り2日。佐藤は「ここまで来たら優勝したい」と言った。持ち前のショット力、好調なパットを武器に、同期で一番乗りのツアー優勝を狙う。(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)