宮里藍サントリーレディス最終日 国内女子ゴルフツアーの宮里藍サントリーレディス最終日が12日、兵庫・六甲国際GC(6527ヤード、パー72)で行われた。単独首位から出た藤田さいき(チェリーゴルフ)は、3バーディー、4ボギーの73で回って通算…

宮里藍サントリーレディス最終日

 国内女子ゴルフツアーの宮里藍サントリーレディス最終日が12日、兵庫・六甲国際GC(6527ヤード、パー72)で行われた。単独首位から出た藤田さいき(チェリーゴルフ)は、3バーディー、4ボギーの73で回って通算11アンダー。68で回って通算12アンダーの山下美夢有(加賀電子)に逆転され、10年239日ぶりとなるツアー6勝目を逃した。終了後は悔し涙を流したが、単独2位で全英女子オープン(8月4~7日)出場権(今大会上位2選手)を獲得したことを喜び、「この歳で海外初メジャー。幸せです」と声を弾ませた。(取材・文=THE ANSWER編集部・柳田 通斉)

 最終18番パー4。3メートルのパーパットが左に外れると、藤田はその場に座り込み、そのまま尻もちをついた。観客のため息は、笑い声に変わり、藤田も照れ笑いした。だが、目に涙が浮かんでいた。

「(尻もちは)気が抜けて、足に力が入らなかったんでしょうね。悔しいです。でも、しばらくはこういう気持ちが起きていなかったので、『まだ、悔しいと思える』と確認できて良かったです」

 昨夜から緊張していた。単独首位で最終日を迎えたのは、2014年3月のアクサレディス以来で無理もなかった。朝、クラブハウスに入った際、同年齢で大会アンバサダーの宮里藍と顔を合わせたが、緊張のあまりに会話もできなかったという。

「もう、いっぱいいっぱいでした。でも、こうした緊張の中で、自分がどれだけやれるのかを感じてみようと思っていました」

 前半は1バーディー。最終9番パー4では4メートルのパーパットを決めた。10番パー4では15メートルのバーディーを沈めて前に右拳を突き出した。だが、11番パー3はショット、アプローチとミスを重ねてボギー。狂ったリズムは容易には戻らず、13番パー4、14番パー4でもスコアを落とした。

 そして、山下にトップを明け渡した。

全英女子OP出場へ「あれ、パスポート大丈夫かな…」

 だが、藤田はここからギアを入れた。左に池が広がる16番パー3では、グリーン左5ヤードに切られたピンを果敢に狙った。17番パー5では第3打をピン下4メートルにつけ、スライスラインのバーディーパットを沈めた。今度は右下に右拳を出した。

 再び灯った優勝への希望。藤田は18番パー4で勝負を決めるべく、残り120ヤードからの第3打をグリーン左4ヤードに切られたピンに向けて放った。その弾道を見て、観客は「あ~、池に」と声を上げた。だが、ボールは石垣で大きく跳ねてグリーン右側のバンカーへと向かった。最後に残された幸運だった。藤田は「ここからパーを拾う」と気持ちを込めた。だが、結果はボギー。目の前にあった勝利をつかむことはできなかった。

「完璧な(パー)パットでした。でも、(左に)抜けてしまいました……」

 ひとしきり悔しさを口にした後、藤田は自ら「全英には行きます」と切り出した。実は前夜、夫に「優勝して全英に行こう」と言われていたという。

「優勝で全英ではなかったですけど、全英には行きます。この歳でこんな立派な資格で挑戦できるなんて、ビックリです」

 2005年からプロ生活を送る藤田だが、海外メジャー戦には縁がなかった。

「(海外)メジャー、初めてです。いや、うれしいですね。あれ、パスポート大丈夫かな……。何年か前に更新したはずだけど、確認しなきゃ。まあ、(11年11月22日に結婚した)主人と新婚旅行に行けていないので、行ってきま~す。主人は海外初めてなんです。あっ、旅行じゃないか(笑)」

 優勝は逃したが、今季3度目の2位。36歳にして強さを増す藤田は、「こういう緊張の中でも戦えるゴルフはできました。まだ6月ですし、西郷(真央)さんのように何度も2位になって勝てればいいと思います」と言った。明るくてタフなベテラン。その存在感に揺るぎはない。(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)