7月28日に決勝日を迎えたSUPER GT第4戦スポーツランドSUGO(宮城県)は、雨に見舞われたレース終盤、GT500の上位陣が壊滅状態に陥る大波乱の展開となり、ラルフ・ファーマン&松浦孝亮のARTA HSV-010が大逆…

7月28日に決勝日を迎えたSUPER GT第4戦スポーツランドSUGO(宮城県)は、雨に見舞われたレース終盤、GT500の上位陣が壊滅状態に陥る大波乱の展開となり、ラルフ・ファーマン&松浦孝亮のARTA HSV-010が大逆転優勝を果たした。

週末を通じて不安定だったSUGOの空模様。それでも午後2時の決勝スタート時点では雨の懸念は払拭されたように思われたのだが、そうではなかった。終盤の雨が上位陣を次々と罠に引きずり込んでいくこととなったのである。

雨が降ってきたのは、81周のレースが55周を消化した頃。しかも雨量は変化し続けていたようで、上位陣にしてみればレインタイヤへの交換に踏み切ることは決断しかねる性質の、実にやっかいな雨だった。そんななか、GT500クラスのトップ4が66周目に急接近、どのマシンが勝つのか予断を許さない緊迫した状況が創出された。

ところが、その4台に悲劇が訪れる。70周目、周回遅れのマシン群と接近遭遇した時だった。まず、#38 ZENT CERUMO SC430(平手晃平-立川祐路/タイヤはブリヂストン)が集団から弾き出されるような格好でスピンオフ。さらにはその直後、残り3台の#39 DENSO KOBELCO SC430(石浦宏明-脇阪寿一/ブリヂストン)、#18 ウイダー モデューロHSV-010(山本尚貴-フレデリック・マコヴィッキィ/ミシュラン)、#100 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也-小暮卓史/ブリヂストン)がバックストレートで並走状態となって交錯してしまう。2台のHSVは派手なクラッシュを演じ、生き残ったかに思われた#39 SC430も数周後にはこの時に負ったダメージの悪化によってスピン、首位から陥落してピットへ…。

この上位総崩れ劇のなか、順位を上げてきたのが#37 KeePer TOM’S SC430(アンドレア・カルダレッリ-伊藤大輔/ブリヂストン)と#8 ARTA HSV-010(ファーマン-松浦/ブリヂストン)だった。73周目、スピンした#39 SC430が再走しようかという瞬間にこの2台が先頭に躍り出て、しかもその後すぐ#8 HSVの松浦が#37 SC430の伊藤を抜く首位交代劇まで起きるという、なんとも目まぐるしい展開の末、大波乱のレースは決した。

最終ラップには#8 HSVとGT300クラス優勝の#55 ARTA CR-Z GT(高木真一-小林崇志/ブリヂストン)がランデブー走行となり、鈴木亜久里監督率いるARTA=オートバックス・レーシング・チーム・アグリはCM撮影のような美しいチェッカーシーンで両クラス制覇を達成した。ARTAのGT500クラス優勝は3年ぶり。「履いていた(ドライ)タイヤが終盤のコンディションに合っていて、まわりのクルマとは違うペースで追い上げられた」という松浦は、「(今年GT500で戦う)チャンスを得て、ここにいられたことを、亜久里さんをはじめとするすべての関係者の方々に感謝したい」と喜びを語った。ファーマンは「序盤、タイヤカスを拾って少しペースが落ちてしまったが、マシンのバランスが良かったので、落ち着いて戦うことができた」と語り、「(終盤の)孝亮の走りは素晴らしかったね」と僚友を讃えた。

2位は#37 SC430(伊藤組)。3位には#23 MOTUL AUTECH GT-R(ロニー・クインタレッリ-柳田真孝/ミシュラン)が入り、ホンダ、レクサス、ニッサンが表彰台を分け合った。#39 SC430(脇阪組)は最終的に4位。ポール発進だった#1 REITO MOLA GT-R(関口雄飛-本山哲/ミシュラン)は、雨が降る前、#38 SC430(立川組)とのバトル時にコースオフを喫して緊急ピットイン、大きく順位を下げていたが、その後の波乱の影響もあって7位でゴールしている。

8戦中4戦を終えて、ドライバーズチャンピオン争いも混戦となった。首位の#100 HSV(伊沢組)から14点差以内に計10組という状況。次戦の超長距離戦・鈴鹿1000kmでは、通常20点の優勝ポイントが25点に割増されるので、非常に重要な戦いとなりそうだ。

ホンダ、ニッサン、レクサス(トヨタ)の来季型マシンのお披露目も実施される予定の第5戦「ポッカサッポロ1000km」は、8月18日を決勝日とする日程(16日=搬入日、17日=予選日)で、三重県・鈴鹿サーキットにて開催される。