全米女子オープンがいよいよ開幕、米記者が見た渋野「ロレーナと似ています」 米女子プロゴルフの今季メジャー第2戦、全米女子オープンは2日(日本時間3日)から4日間、ノースカロライナ州パインニードルズGC(6638ヤード、パー71)で行われる。…

全米女子オープンがいよいよ開幕、米記者が見た渋野「ロレーナと似ています」

 米女子プロゴルフの今季メジャー第2戦、全米女子オープンは2日(日本時間3日)から4日間、ノースカロライナ州パインニードルズGC(6638ヤード、パー71)で行われる。日本の国内ツアーに出場するため一時帰国していた渋野日向子(サントリー)は、約1か月ぶりの米ツアーで今季初勝利を目指す。

 渋野は昨年12月の米ツアー最終予選会を20位で通過し、今季からツアー本格参戦。ここまで7試合に出場し、3大会でトップ10入りし、予選落ちは1度だけ。メジャーのシェブロン選手権では2日目に首位に立ち、4位につけるなど大舞台での強さは健在。上々の滑り出しを見せている渋野のここまでの戦いぶりを、現地メディアはどう見ているのか。

 米女子ゴルフツアー取材歴20年の「Golfweek」記者、ベス・アン・ニコルズさんは「前途洋々だと思います。幸先良くスタートを切ったように見えます。今シーズン、いつ優勝しても誰も驚きません。シード権を持って臨んでいることで精神的に落ち着いてプレーできているのではないでしょうか。今は米国の環境に慣れている段階でしょう」と、高評価を与えている。

 渋野は2019年に、海外メジャー初挑戦となった全英女子オープンで見事優勝を飾り、「スマイリング・シンデレラ」の愛称とともに一躍脚光を浴びた。だが、それ以降は米国本土でのツアー初勝利が遠い。

 ニコルズさんは「異なる芝への対応やこちらのコース・マネジメントを学んでいるところだと思います。試合が続く中で新しい環境にすぐに対応していかないといけません。それは多くの選手が苦労するところ。彼女の場合は言葉や文化の違いにも適応しないといけないので毎週やることが山積みでしょう」と思いやる。

米本土で苦戦の原因はグリーン、最大の魅力は大舞台での勝負強さ

 その中で、ニコルズさんはグリーンでの苦戦が優勝争いに絡めていない原因とみている。「本人も語っていましたが、優勝するためにはパッティングの改善が必要でしょう」。今季の平均パット数は30.12で、154人中93番目の数字。パーオン率は72.44%で27番目の数字を残しているだけに、チャンスで決めきれるかが今季初優勝へのカギとなりそうだ。

 それでも、2019年の全英女子オープンで優勝後、20年の全米女子オープンの4位、今季のシェブロン選手権の4位と、メジャー大会では通算3度、トップ5に入っており、大舞台での強さが際立つ。ニコルズさんは「精神的な強さが最大の長所だと思います。プレッシャーの懸かる状況でより大きな力を発揮することができるのは印象的です。周りの期待が大きくなればなるほど集中力が増すのでしょう」と評価する。

 ニコルズさんは渋野のスター性にも着目。「ここまでファンに親しまれている選手を見たことがありません。人をひきつける魅力があります」と熱い視線を送る。また、似たタイプの選手として「一躍母国でスター選手になったという点では、ロレーナと似ていますね」と、元世界1位でメキシコ出身の人気選手だったロレーナ・オチョアの名前を挙げた。

「ロレーナをはじめ、ヤニ(・ツエン)やアリヤ(・ジュタヌガーン)も一躍スター選手になったということで同じタイプだと言えます。どの選手もプレッシャーに強いのが特徴ですね」。6月は全米女子オープンと全米女子プロ選手権のメジャー2試合があり、大舞台での旋風再現が期待される。(岡田 弘太郎 / Kotaro Okada)