インディカーシリーズ第5戦はインディアナポリス・モーター・スピードウェイのロードコースで開催され、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が今年早くも3回目のポールポジション(PP)を獲得、決勝でもそのまま優勝した。 同じくPPを手にして…

 インディカーシリーズ第5戦はインディアナポリス・モーター・スピードウェイのロードコースで開催され、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が今年早くも3回目のポールポジション(PP)を獲得、決勝でもそのまま優勝した。

 同じくPPを手にしていた開幕戦はエンジントラブルでリタイア。同じく第3戦は優勝間近でタイヤがパンクする不運に見舞われたが、三度目の正直でインディカー・グランプリと銘打たれたレースで今季初勝利を飾り、ポイント・スタンディングも5番手まで巻き返した。



第5戦インディカー・グランプリで優勝したウィル・パワー チーム・ペンスキーは開幕からの5戦すべてでPPを獲得している。パワーが3回で、エリオ・カストロネベスが2回。これはつまりシボレーエンジンの5連続PPということだ。開幕からの2戦ではホンダ勢のチームが優勝したが、この第5戦で勝利数はシボレーのリードに変わった。これらの3勝はいずれもチーム・ペンスキーによるものだ。第3戦がジョセフ・ニューガーデン、第4戦がシモン・パジェノー、第5戦がパワー。現在のポイント・トップはパジェノーで、ニューガーデンは3番手、カストロネベスは4番手につけている。

 チーム・ペンスキーは昨年の16戦で10勝を挙げた。今年も彼らの強さは保たれている。ニューガーデンの加入でさらに強くなったと見るべきかもしれない。

 彼らに対抗できるチームの筆頭は、チップ・ガナッシ・レーシング・チームズだ。彼らが今年からホンダに戻ってきたことには大きな意味がある。昨年までの3シーズン、ペンスキーとガナッシの2強はシボレー・ユーザーだったが、片方の陣営に偏っていた強豪チームが、ようやくイーブンに戻ったことになる。

 だが、さすがのガナッシでもショートオーバルでのホンダエアロの不利は大きすぎた。同じようにアイオワとゲートウェイの2レースでもホンダは苦戦を免れないだろう。ただし、ホンダ勢に勝機のあるストリートレースと、ホンダが優位に戦えそうな高速オーバルでの戦いが、まだ3戦ずつ残されている。

 チップ・ガナッシのエースで過去4回チャンピオンになっているスコット・ディクソンは、今季まだ勝利がない。それでも、第5戦インディカー・グランプリで2回目となる2位フィニッシュを飾り、早くも3回目の表彰台に上がった。ランキングはトップと10ポイント差の2位につけている。

 この先、ホンダvsシボレーの勝負のカギを握るのは、シーズン中盤から4戦がスケジュールされているロードコースになるだろう。今年のこれまでのロードコースはバーバーとインディの2戦でシボレーが2勝を挙げている。しかし、結果に現れているほどのアドバンテージを彼らは持っていないように見える。

 特にレースモードでのホンダ勢のパフォーマンスは悪くない。ハードとソフトの2種類あるタイヤをいかにマネジメントするかなど、作戦がピタリとはまれば、ホンダ勢のチームにも優勝を重ねる可能性は十分にある。

 ガナッシのホンダ移籍でシボレー軍団はエントリー数が激減し、活動を休止したチームもあったため、レギュラー21台の内訳はホンダ13台に対してシボレーは8台と少ない。ペンスキー以外のチームを見ると、エド・カーペンター・レーシングはオーバルでは優勝争いに絡む可能性を持っているが、もうひとつのAJ・フォイト・レーシングはガナッシのホンダ行きが決まり、トレードされるかたちでシボレー陣営に移った。マシンへの習熟度は浅く、ドライバーからエンジニアまでの大幅な体制変更も時期的に重なり、活躍を期待しにくい状況になっている。

 これに対してホンダ勢は、ここまで規模の小さい2チームが1勝ずつをマークしている。さらにビッグチームのアンドレッティ・オートスポートとチップ・ガナッシ・レーシング・チームズが勝利を記録することとなれば、シボレー対ホンダのバトルはさらにヒートアップすることになる。

 昨年、設立50周年を祝ったチーム・ペンスキーは今季、自らのチーム史上で最も強力な体制を整えている。4人のドライバーたちはいずれもチャンピオン候補と言っていい。

 2012年から5年連続でシボレーが獲得しているメーカー・タイトルを、ホンダは奪還することができるだろうか。その前に、ホンダ陣営としては得意の高速オーバルであり、シリーズ最大のレース、インディ500で2連勝(シボレーとの対決再開から6年間で4勝目)を飾ることが大きな目標になる。