リゾートトラストレディス最終日 女子ゴルフの国内ツアー・リゾートトラストレディス最終日が29日、山梨・メイプルポイントGC(6580ヤード、パー72)で行われ、2位と2打差の単独首位で出た24歳の小祝さくら(ニトリ)が2バーディー、1ボギー…

リゾートトラストレディス最終日

 女子ゴルフの国内ツアー・リゾートトラストレディス最終日が29日、山梨・メイプルポイントGC(6580ヤード、パー72)で行われ、2位と2打差の単独首位で出た24歳の小祝さくら(ニトリ)が2バーディー、1ボギーの71で回って通算17アンダーで今季初優勝。昨年8月以来9か月ぶり、ツアー通算7勝目を飾った。久々の優勝の裏には“新技”のフェード習得があった。(取材・文=THE ANSWER編集部・柳田通斉)

 小祝は9か月ぶりの優勝を飾っても、いつもの柔らかい空気をまとったままだった。

「今日はなかなか思い通りにいかず、長くてタフに感じた一日でした。暑かったですし……」

 2位のサイ・ペイインに2打差で出たが、サイが2番パー4、3番パー3で連続バーディーを奪い、追いつかれた。自身は前日会見で「最終日は5アンダーを出す」と決意していたが、アプローチ、パットが決まらず、焦りがあったという。

「想像しているより、すぐに追いつかれました。私はバーディーを獲れなかったので、『厳しい』と一瞬、思いました。パットがダメダメでしたし……」

 4番パー4の初バーディーで1歩リードしたものの、パットは思わしくないまま。ボギーを打ってもバーディーを獲るライバルに、リードしては追いつかれる展開になった。並んで迎えた13番パー4は、ピン左7メートルからのバーディーパットがカップイン。「このパットが大きかった」と振り返った。

「(同組の桑木)志帆ちゃんが似たラインで打っていたので、参考になりました。1カップ分曲がるスライスラインでした。強めに打ってしまったのですが、運よく入りました」

 最終18番パー5では、1メートル半のバーディーパットを外してパーで終えた。グリーン脇で見守っていた同じ黄金世代の勝みなみ、大里桃子、吉川桃に「さくらちゃん、おめでとう」と声を掛けられて微笑んだ。しかし、会見では「最後ぐらい決めたかったです」と苦笑い。一方で「優勝賞金(1800万円)で何を買いますか」と問われると、小祝らしい答が返ってきた。

「前からケアベアのぬいぐるみが欲しかったので、『優勝したら買おう』と思っていました。全部で10体なんですけど、何万円にもなるので…」

 ケアベアは米国を中心に世界各国に展開しているクマのキャラクターだ。小祝は無類のぬいぐるみ好き。すでに「部屋に15体以上ある」と明かし、2週間前にはケアベアのヘッドカバーも購入した。10体の一気買いに関しては「優勝してから」と決めていたという。

米女子ツアーの渋野日向子、古江彩佳から「刺激を受けている」

 9か月ぶりの優勝。その間に稲見萌寧、西郷真央が優勝を重ねた。小祝は「長かったか」の問いに「いや、意外と早かった気がします」と返した。理由は昨季終了後に前コーチとの契約を終了し、新コーチが決定しないまま今季に突入したからだった。その後にネットで知り、「お試し」で指導を受けていた吉田直樹コーチと契約。自身のテーマにしていたフェード習得に取り掛かった。

「(持ち球は)もともとドローなんですけど、左への曲がりが酷くなっていました。先週もそれが出て予選落ちしたので、土、日曜に神戸に行ってコーチに習ってきました。なので、ティーグラウンドの右側に立って、アウトサイドインで左に振り切るイメージでいきました」

 初日からハマり、この日はフェアウェーキープ率100%。パットはかみ合わなかったが、初めてフェードで手にした優勝だった。

「やっぱり、3日目に8つ伸ばせて良かったと思います。ただ、アイアンはあまりよくありませんでした。このままでは、来週の全米(女子オープン)では厳しいので、しっかり調整したいです。まずは予選通過をしたいです」

 全米女子オープン(6月2~5日)出場のため、2018年から続けてきた連続出場試合記録はツアー歴代4位の「142」でストップする。区切りの試合で優勝したが、本人に特別な感慨もないようで「あっという間でした」と表現した。

 今後についても「長いシーズンですし、夏場、暑さが心配です。その中で優勝を目指して頑張りたいです」と先を見据えた。今季から米女子ツアーに本格参戦した渋野日向子、古江彩佳から「刺激を受けている」と話す24歳。マイペースにスキルを磨き、着実に上を目指す。(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)