(写真:ロイター/アフロ) 第37節が終了し16-17シーズンのリーガもついに1試合を残すだけになった。先週末は7試合が同時開催となり、チャンネルを替えながら並行して見ていた。早々に点差が開いたラス・パルマス対バルセロナ、レアル・マドリード…
(写真:ロイター/アフロ)
第37節が終了し16-17シーズンのリーガもついに1試合を残すだけになった。先週末は7試合が同時開催となり、チャンネルを替えながら並行して見ていた。早々に点差が開いたラス・パルマス対バルセロナ、レアル・マドリード対セビージャを切り捨て、残留争い&ヨーロッパリーグ(EL)出場権争いが懸かった5試合に集中した。
どの試合も熱がこもった良い試合だった。デポルティーボ・ラ・コルーニャがビジャレアルの猛攻をしのぎ切り、レガネスがアスレティック・ビルバオをコントロールして引き分けに持ち込み、スポルティング・ヒホンのファンがエイバルでの勝利にかかわらず涙を流すのを見た後、ニュースをチェックしていたらセビージャの広報からメッセージが入った。「来週の月曜と火曜は休み。練習再開は水曜夕方から……」。4位が確定し最終節が消化試合になったから、選手たちは2日半の休養日をもらえたわけだ。
S・ヒホンの降格が決定、アトレティコ・マドリードの3位、セビージャの4位も確定した。残すところは優勝争いとEL出場権争いだけ。この結果を受けて、LFP(プロリーグ協会)も素早く動き、今週末の試合の日時を変更した。当初ほとんどの試合が現地21日20時に一斉開催とされていたが、21日16時45分からEL出場権を懸けた3試合、20時から優勝が懸けた2試合が開催されることになった(残り5試合は19日と20日に開催)つまり、EL出場権争いをオープニングアクトにしクライマックスで優勝を決定させよう、という粋な計らいである。
ご存じの通り、消化試合が1つ少ないR・マドリードには今週セルタとマラガとの連戦が待っている。いずれも敵地でバルセロナがともに敗れた相手との対戦という巡り合せも面白い。バルセロナが最終節エイバル戦に勝利しても2試合で1勝1分以上ならR・マドリードが優勝だから、状況はバルセロナが圧倒的に不利。だが、最後までわからない。エイバル、セルタ、マラガがプロフェッショナルである限り……。
エイバル、セルタ、マラガにはファンを喜ばせる、という以外の目標がない。タイトルも、欧州カップ戦出場権も、残留も懸かっていないから150%で戦えない、というのはわかる。だが、それなら100%で戦ってほしい。精一杯抵抗して優勝争いを最後まで掻き回してほしい。結果的に実力差が出てしまうのは仕方がないが、そのプロセスの必死さに我われはドキドキするのだ。
先週末のセルタはEL敗退の疲れが出たのか悪かったが、エイバル、マラガはファイトあふれるバトルを見せてくれた。特にマラガはここ5試合負け知らず。監督ミチェルが元R・マドリードの名選手ということもあって、“R・マドリードに優勝をプレゼントする”などという憶測があったが、そんな失礼極まりない噂を吹き飛ばす戦いぶりだ。最後まで手を抜かないのが真のプロフェッショナリズムというものだということを、この3チームとEL出場権が懸かった試合の対戦相手A・マドリード(対A・ビルバオ)、バレンシア(対ビジャレアル)、セルタ(対レアル・ソシエダ)には見せてほしい。
最後に、セビージャ在住でのジャーナリストとして一言言いたい。残留という目標を達成済みのベティスが前節、前々節の惨敗(対アラベス1ー4、対レガネス4ー0)にぶりに「我われのエンブレムに泥は塗れない!」と憤慨してビクトル・サンチェス監督を更迭し、アレクシス・トルヒージョ暫定監督の下、先週末A・マドリード相手に大健闘したのは正しい。プロならクラブのエンブレムと自分のプライドが懸かっている、という危機感を持って戦うべきなのだ。
もう1チームのセビージャの方は……。相手ボールの前に立って速いリスタートさせないという、私が指揮する小学生チームでもやっていることを怠って失点する、というのは何なのか? セビージャファンは4位確定に胸を撫で下ろしていることだろう。降格済みながらグラナダに勝利して最下位を脱出したオサスナの姿を見ていると、今週末のオサスナ戦に持ち込していたら、正直危なかった……。
《文=木村浩嗣》