プリンス「ファントムF1」の売り文句はこれまでにない“#フラットボール専用”人が興味を抱くのはどんなものか?端的に言えば「刺激」である。ところが人間とは良くも悪くも、その刺激に慣れてしまう。だからこ…

プリンス「ファントムF1」の売り文句は
これまでにない“#フラットボール専用”

人が興味を抱くのはどんなものか?
端的に言えば「刺激」である。ところが人間とは良くも悪くも、その刺激に慣れてしまう。だからこそ、“新たな価値観”には目を引かれるわけだ。人によっては「大同小異」だなんて言われてしまうテニスラケットだが、今、とにかく攻めているのが<プリンス>のテニスラケットである。





2019年、シャフトが左右非対称という、これまで見たこともない「プリンスエックス」をデビューさせると、翌年 “赤き野獣”「ビースト<BEAST>」シリーズを大成功させると、伝説のラケットと最新マテリアルを融合させた「ファントム・グラファイト<PHANTOM GRAPHITE>」が完売に。さらにボックス好きを唸らせる「ツアー<TOUR>」、従来のブランドとは一線を画す「ハイドロゲン」とのコラボラケットなど、プレーヤーに次々と新たな刺激を届けている。

そして、最新の“刺激”が届いた。
なんと「#フラットボール専用」という『ファントムF1<PHANTOM F1>』である。
プロの世界では、近年、より攻撃的なショットが増えてきている。つまり、よりスピードボールが増えている=フラットが増えてきているのだ。直線的に飛び、相手に時間を与えないフラットはある意味、最強のショットとも言える。我々も“あんな風に打ちたい!”のだが、インパクトのズレやスイング速度の問題で、抜けてしまったりして、イメージしたような良いボールが安定して行かないのが現実…。一般プレーヤーでも、より強烈なフラットを打ちたい。『ファントムF1<PHANTOM F1>』は、我々にもそれを可能とするラケットなのである。





打ち出し角度、空気抵抗、面剛性
強いフラットを打つために作られた
プリンス「ファントムF1」

まず、フラットを打つために重要なのが「軌道」だ。スピンを打つならば、ボールが持ち上がるほうがいいが、フラットの場合、それだとネットは減ってもオーバーが増ええしまう。そこで、今回すとリングパターンを縦18本×横18本というものにしている。これにより、打ち出し角度が過度に上がらないという研究結果が出ているのだという。
さらに3時・9時部分のフェイス部は、デコボコとした「ディンプルフレーム」にしている。この効果は「空気抵抗の軽減」、「フレームの面剛性強化」と2つのメリットがある。





つまり、より速くスイングでき、より球負けしにくい=パワーを伝えやすいのが『ファントムF1<PHANTOM F1>』なのだ。そして、フラットではより衝撃が大きくなるため、「PVS(ピュアファイ・バイブレーション・システム)」を採用している。シャフト下部からグリップ部のカーボンに高分子エラストマー(弾性、伸縮性が非常に高い素材)の「PVS」を混ぜることで、よりマイルドな打球感にすることができる。

そのほか、独占的に使用できる権利を持っている“奇跡の素材”「テキストリーム×トワロン」の採用。フレーム10時・2時部分に、その「テキストリーム×トワロン」を採用した「ATS(アンチ・トルク・システム)」、グリップ上部からフレームトップ部にかけて均等に厚みを増していく「CTS」など、プリンスのテクノロジーがぎっしりな1本となっている。

フェイスサイズ98平方インチでウェイトは平均305g、バランスポイント320mm、フレーム厚24.5-22-21mm、スイングウェイト300。スペック上、ハードに見える『ファントムF1<PHANTOM F1>』だが、実際に打ったらどう感じるのか? 編集部の試打コンビ、(川)&(広)が超攻撃型ラケットを味わってみた。









『ファントムF1<PHANTOM F1>』を
編集部が試打インプレ!





編集部(川)
初速がしっかり出て
芯を外しても「面ブレせず
安定して打てる」ところがすごい

最初に思ったのは、フラットで打った時の打球感。これが、ものすごく気持ちよかった。
ピュアな打球感というか、手に伝わってくるものが、澱んでいないというか欲しい情報だけ来る心地よい感じ。

そして、フラットで打った時の初速がしっかり出るのが、このラケットの特徴だ。手応えも心地良いから余計に感じられるが、ボールのスピードを出せ、なおかつ気持ちいいというラケットだと思う。
“#フラットボール専用”ではあるが、プレー中、フラットだけというわけにもいかない。それでは、スピンはどうかというと、ヘビースピンといよりは、フラットドライブ系のボールを打ったほうがより良いボールが飛ぶというイメージ。98平方インチの難しさというのも感じないし、よくできているラケットだなと思う。

ストローク同様に、サーブもフラットのほうが振り抜きも軽く、ボールが伸びていく。
すべてを通して感じる良さは、スイートスポットを外しても「面ブレがあまりせず、安定して打てる」ということ。やってしまった!と思った時も、修正してくれるラケットかなと思う。また、バランスもよくて、305gというと、ちょっと使いづらいかと思ったけど、振りやすいという印象だった。

一歩でボレーでは、ストロークでの打ち味の良さが、重さとして感じるようになる。回転がかかると軽やかさが出ないのだ。それでもボールがすーっと糸を引くように出てくれるので、狙ったところにコントロールしやすい。ファーストボレーは、しっかりコントロールができるので良かった。

“#フラットボール専用”とあって、やはりゴリゴリの高い弾道でスピンを打つタイプの人には向かない。自分で打っていく! そんな人におすすめしたいラケットである。










編集部(広)
手首を柔らかく使って
バコン!! とボールを潰していくと、
そりゃもう快感級のボールを打てる

まずコスメに注目。ビーストマックス同様のグロス加工でツートンカラー、ネイビー部分はガンメタリックとなっていて、かなりかっこいい。さらに、ディンプルフレームがこれまたかっこよく見える。まず軽く振ってみると、305gの重厚感はしっかりと感じられる。

エネルギーロスなく打てるというのが、このラケットの良さ。フラット系のボールを打つと、ラケットの重みがしっかりボールに伝わる感じ。フレーム自体の剛性が高いので、もっと打球感が硬く感じるかと思ったが、そこはさすが。ハードに捕らえても“モアッ”と手に柔らかさが伝わってくる感じ。これが気持ちいい。ほとんどの人は振動止めが不要なのではないだろうか? 手首やヒジに不安があったりするけど、打っていて何も問題なしだ。

トップスピンを打とうとすると、イメージより軌道が低く出る。逆に、フラットドライブはイメージどおりに気持ちよく飛んでいってくる。まっすぐ糸を引いてベースライン際に深く刺さるようなイメージで打てる。重くて大変…という部類ではないものの、やはりスイングに自信があるタイプのほうが、絶対良い。腰より上にきた時に、攻撃的に打っていくタイプには、ピッタリなラケットだと思う。

サーブに関しても、速いサーブのほうが、相性がいい。フレームが強いので、強いボールが出る。ボレーに関しては、かなりシュアな当たりという、カバーしてくれる感じではないので、個人的にはちょっと難しく感じられる。

どんな人におすすめか?
手首を柔らかく使って打ち込んでいくタイプの方! バコン!! とボールを潰していくと、そりゃもう快感級のボールを打つことができる。厚いグリップのほうが良いとは思うが、セミウエスタンやウエスタンでも結構いいボールは打てる。