毎年春と秋にヒストリックカー関連のイベントを開催しているマロニエ・オートストーリー・フォーラムだが、ここ数年はコロナ禍により開催を中止してきた。今回は告知等はほぼ行わず、規模も縮小して4月29日に開催された。クルマを末永く楽しむことができる…

毎年春と秋にヒストリックカー関連のイベントを開催しているマロニエ・オートストーリー・フォーラムだが、ここ数年はコロナ禍により開催を中止してきた。今回は告知等はほぼ行わず、規模も縮小して4月29日に開催された。

クルマを末永く楽しむことができる環境づくりと、自動車文化を通じ社会貢献をめざす組織、マロニエ・オートストーリー・フォーラムは特に栃木県を中心に活動を行っており、春はツーリングと愛車を囲んでのバーベキュー、秋はツーリングとともに植樹や観光を行うなど地域に根付いた活動を長年行っている。しかし、ここ数年はコロナ禍により開催を断念してきた。

緊急事態宣言や蔓延防止措置が解除された今年は、規模を大幅に縮小し、かつ、参加者や協力者の中には医師も多くいることから、開催方法や諸注意点のアドバイスをもらい開催に至った。従って、受付時の検温と手指の消毒をはじめ、マスクを着け、適度な人との距離を保つことを徹底。さらに、スタート時間をあえて9時半以降適宜とし、また、コースも途中からワインディングを楽しむコースと通常コースに分けることで、ランチ会場となるイタリアン創作レストラン香音(現在コロナ禍により休業中ながら、このイベントに共感し場所を提供)への到着時間をずらすなど、感染対策に独自の様々な工夫が凝らされた。ここまで対策を講じているヒストリックカーイベントは皆無であろう。付け加えるならランチは明治の館(栃木県日光市)が用意した特製のお弁当。その場で食してもよし、お持ち帰りも可能という配慮までなされていた。

宇都宮から日光の当日の天気予報は雨で気温もそれほど上がらないという予測はいい方に裏切られ、スタート会場となるろまんちっく村(栃木県宇都宮市)は時折薄日が差すお天気で、50台以上集まった参加者たちは一応に胸をなでおろした様子だ。参加したクルマ達に目を移せばその理由は明らかで、戦前車が複数台、特に1924年あたりと思われるラゴンダをはじめ、もう1台のラゴンダ、そしてリー・フランシスが参加していたからだ。そのほかにも1960年代を中心としたヒストリックカーが集合。また、今回は大きく年式を限らず、好きなクルマでということもあり、ランボルギーニ『アヴェンタドール』やアルファロメオ『ジュリアGTAm』といった参加車も見られるなど、古いクルマだから偉い、高価格なクルマだから偉いといった差別がなく本当のクルマ好きが集まっていることが伺われた。

これは参加者たちにも共通する。中には地元の著名人、高名な医師をはじめ、あるメーカーのデザイナーもいれば、メカニック、サラリーマンなど多種多様。そういった人たちが一堂に会し、単にクルマ好きという共通項だけで上下関係、老若男女分け隔てなく楽しそうに談笑する光景があちらこちらで見られるのもこのイベントならではだ。このように、クルマ好きの大人の社交場こそがまさにマロニエオートストーリーなのである。

そして、お昼過ぎに香音に到着した参加者たちは三々五々解散。ちょうどその頃から、雨が降り始めた。まさにイベントの終了を待っていたかのようだった。