木村和久の「新・お気楽ゴルフ」連載◆第13回 ここ1カ月以上、ゴルフ練習場に足しげく通う生活が続いています。元来練習好きでしたが、生活に追われて次第に練習しなくなっていたのです。 今からおよそ20年前、自分のゴルフ人生の全盛期でした。当時は…

木村和久の「新・お気楽ゴルフ」
連載◆第13回

 ここ1カ月以上、ゴルフ練習場に足しげく通う生活が続いています。元来練習好きでしたが、生活に追われて次第に練習しなくなっていたのです。

 今からおよそ20年前、自分のゴルフ人生の全盛期でした。当時は倶楽部メンバーだったので、競技にも頻繁に出ていました。大きな大会や月例競技でも優勝し、ベストスコア76を達成。年間平均スコアは80台を維持していたものです。

 けれども、しばらくして燃え尽き症候群となり、成績が伸び悩みます。クラブハンデ12くらいになると、どうあがいても入賞するチャンスが減って、これ以上ハンデが上がらなくなるのです。

 要するに、アベレージゴルファーの限界ですね。

 そうなると、競技に出ても成績はいつも真ん中以下。これじゃ、競技に出る意味がない。いつか、もっと練習して腕を上げてから再チャレンジしよう、となった次第です。

 ただ、その「いつか」と思って、はや20年。自らの状況はますます悪化していきます。あまり足を運ばなくなった倶楽部はやめて、練習場も「面倒くさいから」と敬遠気味になってしまったのです。

 もともと広い練習場に通っていたのですが、そこは家から遠いので、行けば半日潰れてしまう。時間がもったいない。かといって、近所の練習場は狭いので打った気がしない、と行きませんでした。

 それが、今年になってどうしようもなくスイングが乱れ、さすがにこれは練習しないとゴルフにならない。そういう状況に追い込まれました。

 仕事のラウンドがあるので、ラウンドはサボれません。それで結局、しぶしぶソフトケースのクラブ入れを担いで、自転車に乗って近所の練習場に通い出しました。

 これが、行くと結構楽しいことに気づくんですね。何が楽しいかって、まずはこれです。

(1)クラブ選びの楽しさ
 持っているクラブはたくさんあります。だいぶ整理したのですが、いまだ何セットもキャディバッグに入っていて、家のなかの多くの場所を占拠しています。

 練習場に行くようになると、そういうクラブと改めて接し、使い勝手を確認します。そうして、次のラウンドではどのクラブをつれていこうかと考えるわけです。その選択が楽しいです。

 さしずめ、今なら日本ハムファイターズの新庄剛志監督の気分でしょうか。ビッグボスは選手を選び、私は14本のクラブを選ぶ。感覚は似ています。

 特に注意すべきは、ウェッジ類です。これからの季節、芝が生えてラフがきつくなっていきます。その時、どういうウェッジを選択するかが、大きなポイントになります。

 今までの経験則上で語ると、シャフトはスチールがよろしいです。草(の抵抗)に負けないからです。流行りの飛ぶ系は、性能は優れていますが、どうしても距離感のイメージが出しづらい。やはりウェッジは従来型で、自分と相性のいいものを探して使っています。

 そうやって、いろいろと選別して実際のコースで打ってみる。期待を裏切れば、"2軍に降格"。また、新たな"新人(クラブ)"をスカウトするわけです。

(2)新たな発見も...
 仕事柄、試打モニターで使うクラブもありますが、やっぱり、自分の小遣いで買ったクラブのほうが愛おしいです。だって、それを見初めて、惚れたわけですから。

 昨年購入したショートUT(ロフト45度)があります。これ、期待にそぐわず、大暴れして困っていました。"ここぞ"という時にボールが上がらず、トップをしてしまう。グリーンを狙ってのトップは、OBや池ポチャになる可能性が高く、ゴルフになりません。

 そこでどうしたものかと、ショートUTを練習場につれていく日々。すると、あることに気づきました。ひょっとして、もっとハンドファーストに構えれば、トップしないのでは? と。

 試しにやったら、実にいい球が出るようになりました。練習場に行くと、こういう創意工夫が楽しいのです。



「最近、練習してないなぁ~」という方、久しぶりに練習場に行ってみてはいかがでしょうか。新たな楽しさが発見できるかも...。illustration by Hattori Motonobu

(3)飛距離を求めない
 今通っているところはもともと小さい練習場なので、ドライバーなどで打ったボールはすぐにネットを直撃。どれだけ飛んでいるのか、見当がつきません。でも、歳をとると逆にそれがいいんですよね。

 昔は広い練習場でバカスカ打って、飛距離を伸ばそうとしていました。練習の目的の多くが、飛距離アップだったのです。

 ところが今は、そもそも飛ばないので、これ以上飛ばそうと思いません。ドライバーの練習なんて5球以下。あ~、当たったな、で終わりです。

 過去において、ドライバーは振れば振るほど、疲れてフォームを乱していました。今や、あれはバカスカ打つもんじゃないと、悟りました。

 じゃあ、練習場で何をするのか。それは、スイングチェックと番手の飛距離調整です。特にウェッジは、狭い練習場でも距離とランがわかるので、今はそれを頻繁にやっています。

 つまり、練習の7割はショートゲーム、ということです。

(4)ゴルフを考えるようになる
 練習場に通うようになってから、最近はラウンドの際の楽しみも増しています。

 これまでは、闇雲にグリーン近くへ打つことを考えていました。でも、今は飛ばないので、ほとんどパーオンしません。今ならパーオンを狙えるのは、ミドルホールだと360ヤードくらいまででしょうか。

 そうなると、グリーンまで何ヤード残すかが勝負となります。そして、残った距離をきっちり打ってグリーンに乗せないと、ボギーも難しくなります。

 元来面倒くさがりなので、距離計を使うことはありません。ほぼ目測で距離を測り、その狙った距離を正確に打つだけ。

 ライが悪ければどうするか。大きめか、転がすかなどを考えて、ゴルフをするのがとても楽しいのです。

(5)友だちゴルフでも満足
 倶楽部競技で好成績を残すのも楽しいですが、今や普通にラウンドして、たまに80台が出ると、それだけ楽しいのです。もちろん、90台後半、100を叩く時もあります。その時は反省会をして、何が失敗したのかを考え、是正します。

 ゴルフはお呼ばれして、ラウンド後に飲む場合が多いです。だから叩いても、一日仲間と会ってワイワイやっているので充実感があります。

 しかも、いいスコアで回ると、体全体が幸せオーラに包まれるというのでしょうか。ほんわかと至福の境地に達します。

 歳をとり、小さい幸せを求めるようになったんですね。

(6)生活のリズムのなかに練習をとり込む
 今の生活は朝から仕事をして、夕方に帰ってきてご飯を食べるという、フリーなのに、サラリーマン的な生活をしています。土日も仕事をしていますが、残業はナシ。そのため、夕方から時間が空きます。

 今まではその時間を使って散歩をしていましたが、最近はその代わり、週2回くらい練習場に通っています。だから、時間的にはまったくキツくありません。こうなると、練習場に行くのも、もはや散歩代わり。わざわざ練習に行っている、という感覚がなくなります。見たいテレビ番組があれば、録画をすればいいだけですし。

 今年はこんな感じで、このまま練習ライフを送ってみようと思いますが、年末にはどうなっているでしょうか......。また、報告します。

 途中で挫折しても怒らないでくださいね。あくまでも、お気楽なゴルフライフなので、できる範囲でがんばるつもりです。